69 / 120
第69話 魔法講習
しおりを挟む
出雲達は授業が終わるチャイムを聞くと、雑談などをしながら楽しく教室に帰っていく。教室に戻ると六時限目の魔法講習Ⅰの時間となった。魔法講習は属性魔法以外の魔法の使い方の講習が主の授業を講義形式で教えている。
「次は魔法講習Ⅰか今日はどんな授業だったけ?」
出雲はど忘れをしてしまい、教室に入りながら蓮に聞いた。
「今日は回復魔法についてらしいから、よく聞いておくといいな」
出雲は美桜から教わった回復魔法についての授業だと喜んでいた。また、美桜も回復魔法だけは極めると意気込んでいるようである。
「あのさ、美桜は――」
出雲が美桜に話しかけようとした瞬間、教室のドアが開いて初老の男性教師が入ってきた。
「皆席に着いたか? これから授業を始めるぞ」
そう言いながら初老の男性教師は教科書を開いて、板書を始めた。
「皆も知っている通り、属性魔法と呼ばれる以外にも現代では多くの魔法がある。 これから教える回復魔法はそんな多くの魔法の一つだ」
初老の男性教師は属性魔法以外の魔法の一つ、回復魔法と板書していく。出雲達も説明を聞きながらノートに書いていた。
「回復魔法は以前あった戦争で魔法による回復手段がなかった時に、一人の前線にいた若い女性が死んでいく仲間達を救いたいと嘆いた末に発動が出来た魔法と言われている」
嘆いた末と聞いた出雲は、心や想いが関係しているのかと考えていた。出雲は突然魔法が発動するのかとも思っていると、初老の男性教師は説明を進めていく。
「回復魔法を発動させたその女性は、自身の魔力量も気にせずに倒れていく仲間達を治していったと言われている。 まだ発動したてて緻密な魔力操作も出来ないなかで、切断された腕や足、抉れた腹部に切り傷などの軽症から重症まで幅広い傷を治療したと伝わっている」
クラスメイト全員が、知っている回復魔法とは違うのではないかと思っていた。一般的に現在知られている回復魔法は、切り傷を治すことや手術に用いて救うことである。
切断された手足を戻したり抉れた腹部を治すなんて聞いたことがなかった。自分達が授業で習うということは大人達は知っているはずと思うと、知っていてもそこまでの回復魔法には達する人はいなかったということだろうとクラスメイト全員が思っていた。
「誰でも練習をすれば使用が出来る回復魔法と侮ってはいけない。 誰でも使えるということは、誰でも極められるということである。 しかし、今現在回復魔法のトップと言われている人でさえ数日かけて切断された腕を縫合して動かせるようにするのが精いっぱいなのだ」
出雲は属性魔法以外の魔法も凄いのが多いんだなと考え、光と闇に美桜に習った回復魔法以外にも使ってみたいと思っていた。
「全員にそうなれとは言わない。 ただ、守りたい人を守れるレベルの回復魔法を扱えるようにすると良いかもしれないな」
初老の男性教師はそう締めくくると、授業が終わるチャイムが鳴り響いた。授業が終わり、いつも通り蓮達と話しながら家に帰ると雫が慌てて玄関先にいる美桜に駆け寄ってきた。
「み、美桜様! 大変です!」
雫が慌てて美桜に一通の手紙を手渡す。美桜はその手紙の中身を見ると嘘でしょと言葉を漏らした。出雲は何があったのと美桜に話しかけると、手紙の中身を読んでいるようで出雲の言葉が聞こえていなかった。
戸惑っている出雲に雫が手招きをして、こっちに来てくださいと言う。出雲はそれに従って雫の側に行くと、雫があの手紙は美桜様のお父様からですと耳うちをする。
「父親からの手紙!? 美桜は何であそこまで驚いているの?」
出雲がそう聞くと、雫はそれはと眼を出雲から逸らした。雫が言おうか悩んでいると美桜が手紙を読み終えたようで、出雲の方を向いた。美桜は出雲にごめんねと一言だけ言うと自室の方向に歩いて行った。
「ごめんねって、何があったんだよ! 美桜!」
出雲が美桜に向かって叫ぶも、その声が届いているにも関わらず美桜は振り向かない。雫は出雲に説明をする時かと思い、食堂に出雲を連れて行くことにした。
「すぐに食堂に来てください。 美桜様の身に起きたことをご説明します」
雫は出雲にそう言うと、食堂に歩いて行く。出雲も早く行かないと思い、雫の後に続いてい歩いて行く。
「次は魔法講習Ⅰか今日はどんな授業だったけ?」
出雲はど忘れをしてしまい、教室に入りながら蓮に聞いた。
「今日は回復魔法についてらしいから、よく聞いておくといいな」
出雲は美桜から教わった回復魔法についての授業だと喜んでいた。また、美桜も回復魔法だけは極めると意気込んでいるようである。
「あのさ、美桜は――」
出雲が美桜に話しかけようとした瞬間、教室のドアが開いて初老の男性教師が入ってきた。
「皆席に着いたか? これから授業を始めるぞ」
そう言いながら初老の男性教師は教科書を開いて、板書を始めた。
「皆も知っている通り、属性魔法と呼ばれる以外にも現代では多くの魔法がある。 これから教える回復魔法はそんな多くの魔法の一つだ」
初老の男性教師は属性魔法以外の魔法の一つ、回復魔法と板書していく。出雲達も説明を聞きながらノートに書いていた。
「回復魔法は以前あった戦争で魔法による回復手段がなかった時に、一人の前線にいた若い女性が死んでいく仲間達を救いたいと嘆いた末に発動が出来た魔法と言われている」
嘆いた末と聞いた出雲は、心や想いが関係しているのかと考えていた。出雲は突然魔法が発動するのかとも思っていると、初老の男性教師は説明を進めていく。
「回復魔法を発動させたその女性は、自身の魔力量も気にせずに倒れていく仲間達を治していったと言われている。 まだ発動したてて緻密な魔力操作も出来ないなかで、切断された腕や足、抉れた腹部に切り傷などの軽症から重症まで幅広い傷を治療したと伝わっている」
クラスメイト全員が、知っている回復魔法とは違うのではないかと思っていた。一般的に現在知られている回復魔法は、切り傷を治すことや手術に用いて救うことである。
切断された手足を戻したり抉れた腹部を治すなんて聞いたことがなかった。自分達が授業で習うということは大人達は知っているはずと思うと、知っていてもそこまでの回復魔法には達する人はいなかったということだろうとクラスメイト全員が思っていた。
「誰でも練習をすれば使用が出来る回復魔法と侮ってはいけない。 誰でも使えるということは、誰でも極められるということである。 しかし、今現在回復魔法のトップと言われている人でさえ数日かけて切断された腕を縫合して動かせるようにするのが精いっぱいなのだ」
出雲は属性魔法以外の魔法も凄いのが多いんだなと考え、光と闇に美桜に習った回復魔法以外にも使ってみたいと思っていた。
「全員にそうなれとは言わない。 ただ、守りたい人を守れるレベルの回復魔法を扱えるようにすると良いかもしれないな」
初老の男性教師はそう締めくくると、授業が終わるチャイムが鳴り響いた。授業が終わり、いつも通り蓮達と話しながら家に帰ると雫が慌てて玄関先にいる美桜に駆け寄ってきた。
「み、美桜様! 大変です!」
雫が慌てて美桜に一通の手紙を手渡す。美桜はその手紙の中身を見ると嘘でしょと言葉を漏らした。出雲は何があったのと美桜に話しかけると、手紙の中身を読んでいるようで出雲の言葉が聞こえていなかった。
戸惑っている出雲に雫が手招きをして、こっちに来てくださいと言う。出雲はそれに従って雫の側に行くと、雫があの手紙は美桜様のお父様からですと耳うちをする。
「父親からの手紙!? 美桜は何であそこまで驚いているの?」
出雲がそう聞くと、雫はそれはと眼を出雲から逸らした。雫が言おうか悩んでいると美桜が手紙を読み終えたようで、出雲の方を向いた。美桜は出雲にごめんねと一言だけ言うと自室の方向に歩いて行った。
「ごめんねって、何があったんだよ! 美桜!」
出雲が美桜に向かって叫ぶも、その声が届いているにも関わらず美桜は振り向かない。雫は出雲に説明をする時かと思い、食堂に出雲を連れて行くことにした。
「すぐに食堂に来てください。 美桜様の身に起きたことをご説明します」
雫は出雲にそう言うと、食堂に歩いて行く。出雲も早く行かないと思い、雫の後に続いてい歩いて行く。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

鑑定能力で恩を返す
KBT
ファンタジー
どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。
彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。
そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。
この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。
帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。
そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。
そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。

スナイパー令嬢戦記〜お母様からもらった"ボルトアクションライフル"が普通のマスケットの倍以上の射程があるんですけど〜
シャチ
ファンタジー
タリム復興期を読んでいただくと、なんでミリアのお母さんがぶっ飛んでいるのかがわかります。
アルミナ王国とディクトシス帝国の間では、たびたび戦争が起こる。
前回の戦争ではオリーブオイルの栽培地を欲した帝国がアルミナ王国へと戦争を仕掛けた。
一時はアルミナ王国の一部地域を掌握した帝国であったが、王国側のなりふり構わぬ反撃により戦線は膠着し、一部国境線未確定地域を残して停戦した。
そして20年あまりの時が過ぎた今、皇帝マーダ・マトモアの崩御による帝国の皇位継承権争いから、手柄を欲した時の第二皇子イビリ・ターオス・ディクトシスは軍勢を率いてアルミナ王国への宣戦布告を行った。
砂糖戦争と後に呼ばれるこの戦争において、両国に恐怖を植え付けた一人の令嬢がいる。
彼女の名はミリア・タリム
子爵令嬢である彼女に戦後ついた異名は「狙撃令嬢」
542人の帝国将兵を死傷させた狙撃の天才
そして戦中は、帝国からは死神と恐れられた存在。
このお話は、ミリア・タリムとそのお付きのメイド、ルーナの戦いの記録である。
他サイトに掲載したものと同じ内容となります。

我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる