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第56話 講堂へ

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椿は教室の中に入ると、もしかしてあの二人も貴族なのではと思い聞いてみることにした。

「もしかして、蓮君と琴音ちゃんって貴族だったりする?」

椿のその言葉を聞いた蓮と琴音は声を揃えて貴族だよと言う。椿はやっぱりかーと遠くを見てこの学校の生徒怖いと呟いていた。出雲は俺達がいるからと言って椿の頭を軽く撫でた。

「きゅ、急に撫でるな!」

椿はそう言いながら出雲の右足を蹴ると、黒板に貼られている大きな紙に書かれている名前を頼りに自分の席を探す。

「あ、私はこの窓側の一番後ろだ!」

椿はいい席だなと前を向くと、前の席に出雲が座ろうとしていた。

「出雲がその席なの!?」

そう聞かれた出雲はそうだよと笑顔でいた。そして、出雲は右が美桜で椿の右側が琴音でその前が蓮だよと言った。

「私の周りが貴族だらけ!?」

そう叫ぶと、出雲が俺がいるでしょと言った。その言葉を聞いても貴族の割合多いじゃないのと言うと、一握りだから大丈夫よと美桜が言った。

「そうだけど……まぁ友達だからいいわ」

椿が笑って言うと出雲達が友達だよと言ってくれた。椿は入学早々貴族だけど友達が出来て良かったよ内心思っていた。そんな一幕があったが、時間になると担任の教師がクラスに入って来て、入学式をすると全員を廊下に出した。

「入学式は講堂でするから外に出て、案内に従って迷わずに行ってね」

その担任の教師は女性であったので、優しい言葉でクラスメイト全員に話しかけていた。出雲達五人は談笑をしながら先を歩く新入生達に続いて階段を下りて本校舎から出ていく。外に出ると朝日が気持ちいと出雲は感じながら途中の道に立っている教師陣が誘導してることに気がついた。

「迷う人が多いんだね。 教師達が誘導してるよ」

出雲が隣を歩く蓮に話しかけると、本校舎と講堂は結構離れているから毎年迷う新入生が多いみたいだよと教えてくれた。

「そうなんだ。 それだと誘導が必要だね」

出雲は頷きながら必要だと言っていると、前を歩く美桜が入学式楽しみだと琴音と椿に話している声が聞こえた。出雲は楽しくしている美桜は可愛いと思いながら歩いていると、目の前にある木に気がつかなかったのか出雲は木と衝突してしまった。

「ぐはぁ!? 何で木がここに……」

出雲はその場で蹲って痛いと言っていると、隣にいた蓮と音に気がついた美桜が駆け寄った。

「ちょっ、ちょっと大きな音がしたけど大丈夫なの!?」

美桜が蹲る出雲に話しかける。

「ちゃんと前を向いて歩きなよ。 美桜に見惚れ過ぎだって」

痛がる出雲を指さして笑っている蓮。出雲は蓮に笑われて美桜に心配されて複雑な思いであったが、友達との関わりってこういうものなのかなと嬉しく感じていた。出雲は美桜の手を握って立ち上がると、美桜が出雲の背中を叩いてしゃきっとしなさいよと言う。その言葉を聞いて出雲はごめんねと言って、美桜と共に歩き出す。

「講堂に到着! 凄い人の多さ!」

椿が驚いていると、琴音が新入生が百五十人いると椿に言う。

「そんなにいるの!? 確か私達のクラスが三十人だから……五クラスあるの!?」

椿が驚いていると、今年が少し多いみたいと琴音が加えた。椿は流石は国一番の魔法学校だわと自身の入学した学校の凄さを再確認していた。講堂では入り口側から下に階段を下るように座席が作られており、一番下に舞台が設置されていた。その舞台にはマイクスタンドが置かれ、そこに人が立つんだなと出雲は考えていた。

出雲達は講堂の入り口に立っていた教師の一人が一番前の座席に座ってと言われたので、出雲達五人は指示された席に座った。席に座ると美桜達女性陣が楽しく話し始めているが、出雲と蓮は静かに始まるのを待っていた。

「お、暗くなった。 そろそろ始まるのかな?」

座席に座って五分程度が経過すると講堂内の明かりが消えたので、そろそろ始まるのかと出雲は思った。ちなみに、新入生百五十人が座っても席が多数残っているので、全校生徒が入っても余る程に広い作りとなっているようである。
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