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第53話 入学前のある一日④

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出雲は注文票を手に取ったのを見ると、季節の野菜セットを二つを言った。注文を繰り返す案内をしてくれた店員の人は、かしこまりましたと言って厨房の方に歩いて行った。

「季節の野菜ってどんなのがあるのかなー」

美桜がどんな野菜なのかなと言っていると、出雲は調べることにした。出雲は商品一覧が書かれている紙を見てみると、そこにはふきのとうやうど、タケノコなどが書かれており、それに加えて海老やカボチャなどの定番の天ぷらも乗せられているようである。

美桜にそのことを伝えると楽しみだわといった言葉が返ってきた。美桜と天ぷらについて雑談をしていると、二人の注文した季節野菜の天ぷらが届いた。

「お待たせしました。 季節野菜の天ぷらとセットの味噌汁です」

そう言われて二人掛けの席に料理が置かれていく。出雲はありがとうございますと料理を運んでくれた店員に言うと、美桜もありがとうと言っていた。

「さ、食べましょう! お腹空いたわ!」

美桜はわさび塩を天丼に一気にかけて食べ始めた。出雲は大丈夫かなと思って見ていると、美味しいと目を輝かせていた。出雲は良かったと思って美桜と同じ食べ方で食べ進める。

「わさびの味もあって美味しい! 」

出雲が喜んで食べていると、美桜が家以外の料理も美味しいでしょと話しかけてきた。美桜は経緯はどうあれ、この世界をもっと知ってほしかったのだろうと出雲は思った。家以外の情景や料理、文化などまだ知らないことは多いけれど、美桜は出雲のためを思っていつも行動をしてくれている。

出雲は美桜の見えない気遣いが凄いし、感謝しきれないと思っていた。出雲は食べている美桜の姿を見て幸せだなと考えていた。

「美味しい?」

出雲は食べている美桜に話しかけると、素材の味が凄い出てて美味しわと言っていた。美桜が美味しいというのだからかなりの美味しさなのだろうと察することが出来た。

こんな風に誰かと外で食べ個と、こんな風に楽しく外で食べること、こんな風に好きだと思う女の子と食事をするなんて少し前の自身でなら考えたこともなかった。今は違うが、もしこの世界に来れていなければ死んで自身の運命を恨んでいたと思えた。

「なーにしかめっ面をしているの? もっと美味しく食べなさい!」

美桜にそう言われてしまい、出雲はごめんと笑顔で返す。そして、その後は楽しく談笑しながら食事を食べていた。お会計は約束通り出雲が払った。元は美桜からもらっているお金であるが、今は出雲のお金なので、出雲が払ったと言えるだろう。

「美味しかったぁ! たまには外食も良いわね!」

美桜が喜んでいる姿を見て、出雲も元気になっていた。美桜の喜ぶことをすることが一つの趣味になっているので、出雲はそれを実行出来て嬉しかった。家に到着をすると、もうすぐ学校の入学の日になるのが嬉しいと思いながらベットにダイブをした。やっと夢にまで見た魔法学校への入学が出来るとウキウキでいた。そんなことを考えてると椿からメールが届いていること気がついた。

「あ、椿からメールが来てたんだ……明後日一緒に登校をしようって書いてある……」

出雲は多分美桜と一緒に登校をするから一緒に行けるのかなと悩むも、とりあえず一緒に行こうねと返信しておいた。するとすぐにメールが届き、絶対だよと怒っているとも笑っているともとれる顔文字と共に送られてきた。

「椿は面白いな。 色々な表情があって元気になる」

椿の表情が変わることや元気で天真爛漫な感じが魅力的だなと感じていた。そして、出雲は風呂に入ってベットに入って学校に期待を込めて寝ることにした。

そしてついに国立中央魔法学校に入学する日がやってきた。出雲はその日の早朝から起きて忘れ物がないか、必要なものは揃っているのか何度も確認をしていた。

神経質なほどに手荷物を確認したり、制服がちゃんと着れているかも姿見の前で確認をし、完璧だと笑顔になっていた。出雲がそんなことをしていると、部屋の扉が少し開いており、その扉の隙間から美桜が覗いていた。

「あんた何やっているの? そんなに神経質だっけ?」

美桜がそう出雲に話しかけると、出雲がうぎゃっという変な声をあげて突然美桜に話しかけられたことに驚いていた。

「急に話しかけられたから驚いちゃって。 あ、もう行く時間?」

出雲がそう美桜に言うと、そうよと教えてくれた。出雲は美桜と共に玄関口に行くと、そこにお弁当箱を二個手に持っている雫が待っていた。

「やっと来ましたね。 はい、お弁当です。 今日から学校ですね、頑張ってください!」

二人に向けて頑張ってという雫の顔は笑顔であり、出雲と美桜は二人して行ってきますと言い、家を出ていった。
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