魔法の世界で新たな人生を~捨てられた人生のやり直し~

天羽睦月

文字の大きさ
上 下
53 / 120

第53話 入学前のある一日④

しおりを挟む
出雲は注文票を手に取ったのを見ると、季節の野菜セットを二つを言った。注文を繰り返す案内をしてくれた店員の人は、かしこまりましたと言って厨房の方に歩いて行った。

「季節の野菜ってどんなのがあるのかなー」

美桜がどんな野菜なのかなと言っていると、出雲は調べることにした。出雲は商品一覧が書かれている紙を見てみると、そこにはふきのとうやうど、タケノコなどが書かれており、それに加えて海老やカボチャなどの定番の天ぷらも乗せられているようである。

美桜にそのことを伝えると楽しみだわといった言葉が返ってきた。美桜と天ぷらについて雑談をしていると、二人の注文した季節野菜の天ぷらが届いた。

「お待たせしました。 季節野菜の天ぷらとセットの味噌汁です」

そう言われて二人掛けの席に料理が置かれていく。出雲はありがとうございますと料理を運んでくれた店員に言うと、美桜もありがとうと言っていた。

「さ、食べましょう! お腹空いたわ!」

美桜はわさび塩を天丼に一気にかけて食べ始めた。出雲は大丈夫かなと思って見ていると、美味しいと目を輝かせていた。出雲は良かったと思って美桜と同じ食べ方で食べ進める。

「わさびの味もあって美味しい! 」

出雲が喜んで食べていると、美桜が家以外の料理も美味しいでしょと話しかけてきた。美桜は経緯はどうあれ、この世界をもっと知ってほしかったのだろうと出雲は思った。家以外の情景や料理、文化などまだ知らないことは多いけれど、美桜は出雲のためを思っていつも行動をしてくれている。

出雲は美桜の見えない気遣いが凄いし、感謝しきれないと思っていた。出雲は食べている美桜の姿を見て幸せだなと考えていた。

「美味しい?」

出雲は食べている美桜に話しかけると、素材の味が凄い出てて美味しわと言っていた。美桜が美味しいというのだからかなりの美味しさなのだろうと察することが出来た。

こんな風に誰かと外で食べ個と、こんな風に楽しく外で食べること、こんな風に好きだと思う女の子と食事をするなんて少し前の自身でなら考えたこともなかった。今は違うが、もしこの世界に来れていなければ死んで自身の運命を恨んでいたと思えた。

「なーにしかめっ面をしているの? もっと美味しく食べなさい!」

美桜にそう言われてしまい、出雲はごめんと笑顔で返す。そして、その後は楽しく談笑しながら食事を食べていた。お会計は約束通り出雲が払った。元は美桜からもらっているお金であるが、今は出雲のお金なので、出雲が払ったと言えるだろう。

「美味しかったぁ! たまには外食も良いわね!」

美桜が喜んでいる姿を見て、出雲も元気になっていた。美桜の喜ぶことをすることが一つの趣味になっているので、出雲はそれを実行出来て嬉しかった。家に到着をすると、もうすぐ学校の入学の日になるのが嬉しいと思いながらベットにダイブをした。やっと夢にまで見た魔法学校への入学が出来るとウキウキでいた。そんなことを考えてると椿からメールが届いていること気がついた。

「あ、椿からメールが来てたんだ……明後日一緒に登校をしようって書いてある……」

出雲は多分美桜と一緒に登校をするから一緒に行けるのかなと悩むも、とりあえず一緒に行こうねと返信しておいた。するとすぐにメールが届き、絶対だよと怒っているとも笑っているともとれる顔文字と共に送られてきた。

「椿は面白いな。 色々な表情があって元気になる」

椿の表情が変わることや元気で天真爛漫な感じが魅力的だなと感じていた。そして、出雲は風呂に入ってベットに入って学校に期待を込めて寝ることにした。

そしてついに国立中央魔法学校に入学する日がやってきた。出雲はその日の早朝から起きて忘れ物がないか、必要なものは揃っているのか何度も確認をしていた。

神経質なほどに手荷物を確認したり、制服がちゃんと着れているかも姿見の前で確認をし、完璧だと笑顔になっていた。出雲がそんなことをしていると、部屋の扉が少し開いており、その扉の隙間から美桜が覗いていた。

「あんた何やっているの? そんなに神経質だっけ?」

美桜がそう出雲に話しかけると、出雲がうぎゃっという変な声をあげて突然美桜に話しかけられたことに驚いていた。

「急に話しかけられたから驚いちゃって。 あ、もう行く時間?」

出雲がそう美桜に言うと、そうよと教えてくれた。出雲は美桜と共に玄関口に行くと、そこにお弁当箱を二個手に持っている雫が待っていた。

「やっと来ましたね。 はい、お弁当です。 今日から学校ですね、頑張ってください!」

二人に向けて頑張ってという雫の顔は笑顔であり、出雲と美桜は二人して行ってきますと言い、家を出ていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

転生王子の異世界無双

海凪
ファンタジー
 幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。  特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……  魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!  それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!

国から見限られた王子が手に入れたのは万能無敵のS級魔法〜使えるのは鉱石魔法のみだけど悠々自適に旅をします〜

登龍乃月
ファンタジー
「どうしてこうなった」  十歳のある日、この日僕は死ぬ事が決定した。  地水火風四つの属性を神とする四元教、そのトップであり、四元教を母体とする神法国家エレメンタリオの法皇を父とする僕と三人の子供。  法皇の子供は必ず四ツ子であり、それぞれが四つの元素に対応した魔法の適性があり、その適性ランクはSクラスというのが、代々続く絶対不変の決まり事だった。  しかし、その決まり事はこの日破られた。  破ったのは僕、第四子である僕に出るはずだった地の適性ランクSが出なかった。  代わりに出たのは鉱石魔法という、人権の無い地の派生魔法のランクS。  王家の四子は地でなければ認められず、下位互換である派生魔法なんて以ての外。  僕は王族としてのレールを思い切り踏み外し、絶対不変のルールを逸脱した者として、この世に存在してはならない存在となった。  その時の僕の心境が冒頭のセリフである。  こうした経緯があり、僕としての存在の抹消、僕は死亡したということになった。  そしてガイアスという新しい名前を授けられた上で、僕は王族から、王宮から放逐されたのだった。  しかしながら、派生魔法と言えど、ランクSともなればとんでもない魔法だというのが分かった。  生成、複製、精錬、創造なども可能で、鉱石が含まれていればそれを操る事も出来てしまうという規格外な力を持っていた。    この話はそんな力を持ちつつも、平々凡々、のどかに生きていきたいと思いながら旅をして、片手間に女の子を助けたり、街を救ったり世界を救ったりする。  そんなありふれたお話である。 --------------------- カクヨムと小説家になろうで投稿したものを引っ張ってきました! モチベに繋がりますので、感想や誤字報告、エールもお待ちしています〜

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜

二階堂吉乃
ファンタジー
 瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。  白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。  後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。  人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話。

処理中です...