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第41話 謎の剣
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扉の先には明るい空間が広がっていた。白い大理石の天井に奥の方にある神秘的なターコイズの水の色が反射して幻想的な空間となっている。また、両サイドの壁側には直径四メートル以上ある水晶が複数個縦横無尽に生えていた。
出雲達はその幻想的な空間を歩いて進んでいくと、一番奥のターコイズ色の水の中に一個の出雲の身長と同じくらいの水晶があった。その水晶の中に一本の長剣が入っていた。その長剣は握りの部分が銀色であり、柄頭が黒色であった。そして、剣身は金色に輝く鮮やかな色合いであった。長さは全長一メートルあるように見え、その剣身の幅は一般的な剣の幅と同一に見える。
「な、なんなのあれ! 凄い綺麗な剣!」
椿は出雲の腕を掴んで凄い凄いと何度も言っていた。出雲は何でこんな地下があって、水晶や水溜まり、そして剣があるのかと疑問に感じていた。出雲は唸りつつもその剣が気になったので、水溜まりに入って水晶を触ってみようとした。
「だ、大丈夫!? 触って何か起きないかな!?」
椿が水たまりに入って水晶に触ろうとしているので、何も起きないか叫んで聞いた。椿のその声はこの空間に響き渡って何度も出雲の耳に入る。
「多分大丈夫だよ! こんな場所に剣があるだけだから、何も起きないさ!」
そう言いながら出雲が長剣が入っている水晶を触ると、その水晶が眩い光を放って大きな音と共に砕け散った。その際に砕け散った水晶と共に出雲も吹き飛んでしまい、椿の目の前の地面に落下した。
「ぐへぇ!? 腰を打った……」
出雲は腰を擦りながらゆっくりと立ち上がろうとしていた。椿はその様子を見て同い年なんだから腰を打ったくらいでと言って出雲の右手を持って立ち上がらせた。
「ありがとう! 一人じゃ痛みで立ち上がれなかったよ」
そういう出雲に椿がちゃんとしてよねと言う。
「ごめんごめん。 あ、次はどうなってる?」
出雲が水晶があった場所を見ると、剣が入っていた水晶は真ん中で割れているようで、剣の柄の部分から剣身の半分まで出ていた。出雲は剣の前まで行くと、その剣の柄を掴んで引き抜こうとした。しかし、すぐには抜くことが出来ずに出雲は歯を喰いしばって力を腕に込める。すると、剣身が埋まっている方の水晶に亀裂が入り始めた。
「亀裂が入ってきた! もう少しで抜けるよ!」
出雲に椿が応援して鼓舞をすると、出雲は声をあげて力を一気に両腕に入れた。
「うがあああああ! 抜けろおおおお!」
出雲は叫ぶながら柄を持つ手に力を入れると、バキっという音と共に剣が抜けた。
「ぬ、抜けたああああああ! やった!」
出雲が喜んでいると、剣が淡く光った。その淡い光と共に出雲の頭の中に少女の声が響き渡る。
「な、なんか声が聞こえる!? 頭の中に声が響いて……」
出雲は右手で頭を支えながら声が聞こえると呟く。椿はその出雲の様子を見て剣を手放せようとするも、出雲はその手を離さない。
「何で離さないの! 早く手を離して!」
椿が出雲の手を握って剣を触ると、バチっと音がして椿は弾き飛ばされてしまう。
「うきゃ!?」
椿は弾かれて尻もちをついてしまう。出雲は椿に大丈夫というと、頭が痛いと言い続ける。
「少女の声が何度も響く……」
出雲の頭の中には少女の綺麗な心に響くような声で、何度もその剣で世界を救ってと何度も繰り返し言っていた。
「世界を救うってどういう意味!? 俺にそんな力なんてないよ!」
出雲がそう叫ぶも、少女の声が何度も繰り返される。そして、何度目かの声が聞こえると少女の言葉が変わってそのうち会った時にもう一度言うねとの言葉と共にその声は聞こえなくなった。
声は聞こえたが、その剣は出雲の手に握られているままであり、出雲はこの剣を使っていいのか悩んでいた。
「不思議なことが起きたね? もう頭は大丈夫?」
椿が出雲の肩を掴んで倒れこみそうなのを抑えると、カランとの音が聞こえた。それは剣の鞘のように見えた。
出雲達はその幻想的な空間を歩いて進んでいくと、一番奥のターコイズ色の水の中に一個の出雲の身長と同じくらいの水晶があった。その水晶の中に一本の長剣が入っていた。その長剣は握りの部分が銀色であり、柄頭が黒色であった。そして、剣身は金色に輝く鮮やかな色合いであった。長さは全長一メートルあるように見え、その剣身の幅は一般的な剣の幅と同一に見える。
「な、なんなのあれ! 凄い綺麗な剣!」
椿は出雲の腕を掴んで凄い凄いと何度も言っていた。出雲は何でこんな地下があって、水晶や水溜まり、そして剣があるのかと疑問に感じていた。出雲は唸りつつもその剣が気になったので、水溜まりに入って水晶を触ってみようとした。
「だ、大丈夫!? 触って何か起きないかな!?」
椿が水たまりに入って水晶に触ろうとしているので、何も起きないか叫んで聞いた。椿のその声はこの空間に響き渡って何度も出雲の耳に入る。
「多分大丈夫だよ! こんな場所に剣があるだけだから、何も起きないさ!」
そう言いながら出雲が長剣が入っている水晶を触ると、その水晶が眩い光を放って大きな音と共に砕け散った。その際に砕け散った水晶と共に出雲も吹き飛んでしまい、椿の目の前の地面に落下した。
「ぐへぇ!? 腰を打った……」
出雲は腰を擦りながらゆっくりと立ち上がろうとしていた。椿はその様子を見て同い年なんだから腰を打ったくらいでと言って出雲の右手を持って立ち上がらせた。
「ありがとう! 一人じゃ痛みで立ち上がれなかったよ」
そういう出雲に椿がちゃんとしてよねと言う。
「ごめんごめん。 あ、次はどうなってる?」
出雲が水晶があった場所を見ると、剣が入っていた水晶は真ん中で割れているようで、剣の柄の部分から剣身の半分まで出ていた。出雲は剣の前まで行くと、その剣の柄を掴んで引き抜こうとした。しかし、すぐには抜くことが出来ずに出雲は歯を喰いしばって力を腕に込める。すると、剣身が埋まっている方の水晶に亀裂が入り始めた。
「亀裂が入ってきた! もう少しで抜けるよ!」
出雲に椿が応援して鼓舞をすると、出雲は声をあげて力を一気に両腕に入れた。
「うがあああああ! 抜けろおおおお!」
出雲は叫ぶながら柄を持つ手に力を入れると、バキっという音と共に剣が抜けた。
「ぬ、抜けたああああああ! やった!」
出雲が喜んでいると、剣が淡く光った。その淡い光と共に出雲の頭の中に少女の声が響き渡る。
「な、なんか声が聞こえる!? 頭の中に声が響いて……」
出雲は右手で頭を支えながら声が聞こえると呟く。椿はその出雲の様子を見て剣を手放せようとするも、出雲はその手を離さない。
「何で離さないの! 早く手を離して!」
椿が出雲の手を握って剣を触ると、バチっと音がして椿は弾き飛ばされてしまう。
「うきゃ!?」
椿は弾かれて尻もちをついてしまう。出雲は椿に大丈夫というと、頭が痛いと言い続ける。
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