40 / 120
第40話 謎の扉
しおりを挟む
「痛い痛い! 急に引っ張らないでよ!」
出雲が椿の両腕を掴むと両頬を引っ張るのを止めさせた。そして出雲は椿と現在時刻を聞いた。
「今は何時頃かな?」
その言葉に椿は十六時になったところねと返した。
「ワニとの戦闘結構長かったんだね……三時間くらいしてたんだ…‥‥」
その場にいる全員が必死で戦ったので、時間など見ていなかった。そのため大幅な時間経過に誰も気がついていなかった。出雲はあと一時間で試験が終わるけど、どのように終わるのか分からないままである。
「これからどうしようか? あと一時間で試験が終わるけど」
そう出雲が言うと、椿は湖から離れてもう少し探索してみようと言った。その言葉を聞いた出雲はそうだねと言って椿と共に湖を後にした。湖を抜けると岩石でできているトンネルがあった。そのトンネルは出雲の身長でギリギリ天井に届くか届かないかくらいだったので、軽く屈んで歩いていた。そのトンネルを抜けると、そこには初めに見た草原が広がっていた。
「草原!? 草原に出ちゃったよ!」
出雲がそう叫ぶと、その草原には湖で見なかった受験者達が時間を潰していた。その受験者達は出雲達が湖でワニと戦っている際に別の怪物と戦っていたが、ワニ程の強さはなかったのである。
なので、それほど苦労もなく怪我を負うこともなく試験の間の時間を過ごしていた。出雲達はそれを知らないので、この受験者達もそれなりの苦労をしたのだろうと考えていた。出雲は周囲にいる受験者達みたく時間を潰さないで歩き回ろうと決めた。
試験終了までそれほど時間は残ってはいないが、まだ行っていない部分があるのかなと思ったからである。出雲は草花が咲いている草原を歩いて行くと、最初に来た時には気がつかなかった草原の北側に何やら道が多少ずれている場所があることに気がついた。
「椿! あそこ何か変だよ!」
出雲が指をさした場所を椿が見ると、そこには何かを開けて閉めた形跡があった。その形跡のある場所には長年使われていないかのように草が生い茂っていた。出雲はその草を取り払うと、取ってガ見えたのでその取っ手を右手で持って扉を開けた。
「こ、これは!? 地下に続く階段?」
出雲が驚いていると椿が何かありそうとワクワクしていた。出雲は地下に続く階段を降りると、その階段は螺旋状に地下にまで続いているようで、なかなか終わりが見えなかった。
「結構下に降りるわね。 何があるんだろうね?」
椿は出雲に話しかけると、次第に空気が冷たくなってきたのが分かった。出雲は寒くなってきたねと言い、この下に何があるか分からないけどワクワクすると返答した。階段を降り続けると時折椿が足を滑らせて転びそうになるので、出雲は椿の手を握って一緒に降りることにした。
「大丈夫か? もうこれで転ばなくて済むね!」
出雲がそう言うと椿は掴む力が強いと呟きながら頬を紅くしていた。地下に降りる階段を下って何分かが経過すると、視界の先に階段の終わりが見えた。
「やっと階段が終わった! 階段の先に大きな扉があるよ!」
椿が小走りで椿の身長の二倍近い大きさの銅で作られていると思われる扉があった。出雲はその扉を押そうとするも、重すぎるために押すことは出来なかった。
「かなり重い! でも、頑張れば押せる!」
出雲は意気込んで思いっきり重い銅製の扉を押すが、それでも扉は動かない。出雲はどうしてだと首を捻りながら考えるも、答えは出なかった。出雲が唸って考え続けていると、椿が扉のある右側の壁にスイッチのようなものがあるよと出雲に言った。
「これを押せばいいのかな?」
出雲は椿が発見したスイッチを躊躇なく押すと、静かに銅製の扉が開いた。
「やった! 開いた!」
椿が喜んで出雲に抱き着くと、出雲は反射的に抱きしめ返した。
「やった! 椿のおかげで開いたよ! ありがとう!」
出雲がそう言うと、椿はあっと小さな声を漏らして出雲から離れた。
「強くしちゃってごめん! 痛かったかな?」
出雲が謝ると、椿は大丈夫と言って出雲の横に立つ。出雲は椿のその行動を見て、何かしちゃったかなと出雲は思うが、椿がそのことについて何も言わないので自分からは聞かないようにした。
出雲が椿の両腕を掴むと両頬を引っ張るのを止めさせた。そして出雲は椿と現在時刻を聞いた。
「今は何時頃かな?」
その言葉に椿は十六時になったところねと返した。
「ワニとの戦闘結構長かったんだね……三時間くらいしてたんだ…‥‥」
その場にいる全員が必死で戦ったので、時間など見ていなかった。そのため大幅な時間経過に誰も気がついていなかった。出雲はあと一時間で試験が終わるけど、どのように終わるのか分からないままである。
「これからどうしようか? あと一時間で試験が終わるけど」
そう出雲が言うと、椿は湖から離れてもう少し探索してみようと言った。その言葉を聞いた出雲はそうだねと言って椿と共に湖を後にした。湖を抜けると岩石でできているトンネルがあった。そのトンネルは出雲の身長でギリギリ天井に届くか届かないかくらいだったので、軽く屈んで歩いていた。そのトンネルを抜けると、そこには初めに見た草原が広がっていた。
「草原!? 草原に出ちゃったよ!」
出雲がそう叫ぶと、その草原には湖で見なかった受験者達が時間を潰していた。その受験者達は出雲達が湖でワニと戦っている際に別の怪物と戦っていたが、ワニ程の強さはなかったのである。
なので、それほど苦労もなく怪我を負うこともなく試験の間の時間を過ごしていた。出雲達はそれを知らないので、この受験者達もそれなりの苦労をしたのだろうと考えていた。出雲は周囲にいる受験者達みたく時間を潰さないで歩き回ろうと決めた。
試験終了までそれほど時間は残ってはいないが、まだ行っていない部分があるのかなと思ったからである。出雲は草花が咲いている草原を歩いて行くと、最初に来た時には気がつかなかった草原の北側に何やら道が多少ずれている場所があることに気がついた。
「椿! あそこ何か変だよ!」
出雲が指をさした場所を椿が見ると、そこには何かを開けて閉めた形跡があった。その形跡のある場所には長年使われていないかのように草が生い茂っていた。出雲はその草を取り払うと、取ってガ見えたのでその取っ手を右手で持って扉を開けた。
「こ、これは!? 地下に続く階段?」
出雲が驚いていると椿が何かありそうとワクワクしていた。出雲は地下に続く階段を降りると、その階段は螺旋状に地下にまで続いているようで、なかなか終わりが見えなかった。
「結構下に降りるわね。 何があるんだろうね?」
椿は出雲に話しかけると、次第に空気が冷たくなってきたのが分かった。出雲は寒くなってきたねと言い、この下に何があるか分からないけどワクワクすると返答した。階段を降り続けると時折椿が足を滑らせて転びそうになるので、出雲は椿の手を握って一緒に降りることにした。
「大丈夫か? もうこれで転ばなくて済むね!」
出雲がそう言うと椿は掴む力が強いと呟きながら頬を紅くしていた。地下に降りる階段を下って何分かが経過すると、視界の先に階段の終わりが見えた。
「やっと階段が終わった! 階段の先に大きな扉があるよ!」
椿が小走りで椿の身長の二倍近い大きさの銅で作られていると思われる扉があった。出雲はその扉を押そうとするも、重すぎるために押すことは出来なかった。
「かなり重い! でも、頑張れば押せる!」
出雲は意気込んで思いっきり重い銅製の扉を押すが、それでも扉は動かない。出雲はどうしてだと首を捻りながら考えるも、答えは出なかった。出雲が唸って考え続けていると、椿が扉のある右側の壁にスイッチのようなものがあるよと出雲に言った。
「これを押せばいいのかな?」
出雲は椿が発見したスイッチを躊躇なく押すと、静かに銅製の扉が開いた。
「やった! 開いた!」
椿が喜んで出雲に抱き着くと、出雲は反射的に抱きしめ返した。
「やった! 椿のおかげで開いたよ! ありがとう!」
出雲がそう言うと、椿はあっと小さな声を漏らして出雲から離れた。
「強くしちゃってごめん! 痛かったかな?」
出雲が謝ると、椿は大丈夫と言って出雲の横に立つ。出雲は椿のその行動を見て、何かしちゃったかなと出雲は思うが、椿がそのことについて何も言わないので自分からは聞かないようにした。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
やっと買ったマイホームの半分だけ異世界に転移してしまった
ぽてゆき
ファンタジー
涼坂直樹は可愛い妻と2人の子供のため、頑張って働いた結果ついにマイホームを手に入れた。
しかし、まさかその半分が異世界に転移してしまうとは……。
リビングの窓を開けて外に飛び出せば、そこはもう魔法やダンジョンが存在するファンタジーな異世界。
現代のごくありふれた4人(+猫1匹)家族と、異世界の住人との交流を描いたハートフルアドベンチャー物語!
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します
華音 楓
ファンタジー
旧題:re:birth 〜勇者じゃないと追放された最強職【何でも屋】は、異世界でチートスキル【DIY】で無双します~
「役立たずの貴様は、この城から出ていけ!」
国王から殺気を含んだ声で告げられた海人は頷く他なかった。
ある日、異世界に魔王討伐の為に主人公「石立海人」(いしだてかいと)は、勇者として召喚された。
その際に、判明したスキルは、誰にも理解されない【DIY】と【なんでも屋】という隠れ最強職であった。
だが、勇者職を有していなかった主人公は、誰にも理解されることなく勇者ではないという理由で王族を含む全ての城関係者から露骨な侮蔑を受ける事になる。
城に滞在したままでは、命の危険性があった海人は、城から半ば追放される形で王城から追放されることになる。 僅かな金銭で追放された海人は、生活費用を稼ぐ為に冒険者として登録し、生きていくことを余儀なくされた。
この物語は、多くの仲間と出会い、ダンジョンを攻略し、成りあがっていくストーリーである。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる