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第24話 抽選
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「なーに!? 何かあったの!?」
出雲がそう叫ぶと、こっちに来てと美桜がさらに叫ぶ。出雲はその声の通りに人だかりに入り、その先頭にいた美桜の右隣に立つ。
「やっときた! これから番号札をもらって抽選が始まるよ!」
美桜が出雲に説明をすると、店員と思わしき若い男性が小さな正方形の箱を持ってきた。
「今からこの箱から一枚紙を取ってもらいます! その紙の番号がこちらにある抽選機から出た番号と同じであれば、現在放送中の大人気アニメである魔法使いの剪定から、主人公である三枝詩織の初めてフィギュア化されるこの場面!」
若い店員がマイクを持って声を上げて長方形の箱にかかっている包装紙を取ると、周囲にいた男女含めた三十人以上がどよめいた。
「あの場面か! 最高じゃないか!」
そう白髪混じりの中年の男性が言うと、その右隣にいた髪が肩までかかっている若い男性が歴史的瞬間だと目を輝かせる。そして、その後ろにいる茶髪の肩までの長さがある若い女性が神かと声を上げていた。
「これは必ず手に入れないと! もう一生手に入らないかもしれない!」
美桜がかなり興奮している口調で、目の前にあるフィギュアをみて言う。
「この場面は! 初期の詩織ちゃんが初めてステッキを持って魔法を使った、私服と戦闘衣装が混じった作画ミスと言われた伝説の一話のシーン!」
美桜が鼻息を荒くして誰かに説明をし始めた。
「後に発売をしたブルーレイディスクでは修正されたことからやはり作画ミスであると判明して、この服装のフィギュアの発売はなかったあの伝説のシーン!」
美桜がフィギュアを右指で指差してさらに叫ぶ。その様子を出雲は目を点にしながら見て聞いていた。
「だ! か! ら! 絶対手に入れたい! 絶対再販ないと思うから! ここで手に入れないと!」
美桜が出雲の鼻先数ミリまで近づいて手に入れたいと鼻息を荒くしていた。
「わかった! わかった! 俺はどうすればいいの!?」
出雲が美桜の両肩に手を置いて距離を置かせると、美桜は番号札を引いてと言ってくる。わかったと出雲は頷いて、若い男性店員の指示に従って番号札を引いている列に並ぶ。
「沢山人いるなー。 これ全員があのフィギュアを狙っているのか」
出雲は列に並んで自身の順番を待っていると、前にいる美桜が早く早くとうずうずしていた。
「落ち着いて。 番号札を取れても当たらないと意味ないよ」
出雲がそう言うと、美桜がまずは番号札を取らないとと返す。
「はいはい」
出雲がやれやれといた感じで落ち着いていると、美桜の順番が回って来て番号札を引き、引けたと喜んでいた。そして、出雲の順番が回って来て箱の中に手を入れると番号札が一枚しかなかった。
「俺で終わり?」
最後の一枚を出雲が引くと、若い男性店員が番号札は終わりですと言った。終わりという言葉を聞いた出雲の後ろに並んでいた数人は、肩を落として文句を言いながら帰っていった。
「出雲! ギリギリ番号札をゲット出来たわね! よかったわ!」
美桜が出雲によくやったわと言って頭を撫でると、抽選機による抽選を行いますとアナウンスが入る。
「やっと! やっとよ! やっと抽選よ!」
美桜が大はしゃぎしていると、何かを思い出したかのように番号確認しなきゃと慌てて手に持っている番号札に書かれている数字を確認した。
「私の番号は五番ね! 出雲は?」
そう言われて出雲は手に持っている番号札を番号を見ると、そこには一番と書かれていた。
「一番!? これは何かいいことがあるかも!」
美桜が出雲の両手を握ってワクワクと笑顔でいると、若い男性店員が抽選を始めますと宣言をした。その宣言と共に周囲に緊張感が走り、ピリピリとした空気が流れ始めた。美桜も出雲の生唾を飲んだりし、美桜は手が震えているようであった。出雲はその震えている美桜の手を握って、大丈夫だよと優しく笑って言った。
「ありがとう。 かなり緊張しちゃった……」
美桜は右手の人差し指で自身の右頬を軽くかくと、手の震えが止まっていた。
「ちゃんと見ないとね!」
美桜がそう言いながら抽選機を見ると、若い男性が抽選機を回しますと言う。周囲にいる美桜と出雲を含めた全員が、若い男性店員の一挙手一投足に注目していた。
「抽選機が回りだしたわ! 何番の玉が出るのかしら!」
目を輝かせている美桜に出雲も当たれと心の中で祈っていた。そして、抽選機からついに一個の玉が出た。
出雲がそう叫ぶと、こっちに来てと美桜がさらに叫ぶ。出雲はその声の通りに人だかりに入り、その先頭にいた美桜の右隣に立つ。
「やっときた! これから番号札をもらって抽選が始まるよ!」
美桜が出雲に説明をすると、店員と思わしき若い男性が小さな正方形の箱を持ってきた。
「今からこの箱から一枚紙を取ってもらいます! その紙の番号がこちらにある抽選機から出た番号と同じであれば、現在放送中の大人気アニメである魔法使いの剪定から、主人公である三枝詩織の初めてフィギュア化されるこの場面!」
若い店員がマイクを持って声を上げて長方形の箱にかかっている包装紙を取ると、周囲にいた男女含めた三十人以上がどよめいた。
「あの場面か! 最高じゃないか!」
そう白髪混じりの中年の男性が言うと、その右隣にいた髪が肩までかかっている若い男性が歴史的瞬間だと目を輝かせる。そして、その後ろにいる茶髪の肩までの長さがある若い女性が神かと声を上げていた。
「これは必ず手に入れないと! もう一生手に入らないかもしれない!」
美桜がかなり興奮している口調で、目の前にあるフィギュアをみて言う。
「この場面は! 初期の詩織ちゃんが初めてステッキを持って魔法を使った、私服と戦闘衣装が混じった作画ミスと言われた伝説の一話のシーン!」
美桜が鼻息を荒くして誰かに説明をし始めた。
「後に発売をしたブルーレイディスクでは修正されたことからやはり作画ミスであると判明して、この服装のフィギュアの発売はなかったあの伝説のシーン!」
美桜がフィギュアを右指で指差してさらに叫ぶ。その様子を出雲は目を点にしながら見て聞いていた。
「だ! か! ら! 絶対手に入れたい! 絶対再販ないと思うから! ここで手に入れないと!」
美桜が出雲の鼻先数ミリまで近づいて手に入れたいと鼻息を荒くしていた。
「わかった! わかった! 俺はどうすればいいの!?」
出雲が美桜の両肩に手を置いて距離を置かせると、美桜は番号札を引いてと言ってくる。わかったと出雲は頷いて、若い男性店員の指示に従って番号札を引いている列に並ぶ。
「沢山人いるなー。 これ全員があのフィギュアを狙っているのか」
出雲は列に並んで自身の順番を待っていると、前にいる美桜が早く早くとうずうずしていた。
「落ち着いて。 番号札を取れても当たらないと意味ないよ」
出雲がそう言うと、美桜がまずは番号札を取らないとと返す。
「はいはい」
出雲がやれやれといた感じで落ち着いていると、美桜の順番が回って来て番号札を引き、引けたと喜んでいた。そして、出雲の順番が回って来て箱の中に手を入れると番号札が一枚しかなかった。
「俺で終わり?」
最後の一枚を出雲が引くと、若い男性店員が番号札は終わりですと言った。終わりという言葉を聞いた出雲の後ろに並んでいた数人は、肩を落として文句を言いながら帰っていった。
「出雲! ギリギリ番号札をゲット出来たわね! よかったわ!」
美桜が出雲によくやったわと言って頭を撫でると、抽選機による抽選を行いますとアナウンスが入る。
「やっと! やっとよ! やっと抽選よ!」
美桜が大はしゃぎしていると、何かを思い出したかのように番号確認しなきゃと慌てて手に持っている番号札に書かれている数字を確認した。
「私の番号は五番ね! 出雲は?」
そう言われて出雲は手に持っている番号札を番号を見ると、そこには一番と書かれていた。
「一番!? これは何かいいことがあるかも!」
美桜が出雲の両手を握ってワクワクと笑顔でいると、若い男性店員が抽選を始めますと宣言をした。その宣言と共に周囲に緊張感が走り、ピリピリとした空気が流れ始めた。美桜も出雲の生唾を飲んだりし、美桜は手が震えているようであった。出雲はその震えている美桜の手を握って、大丈夫だよと優しく笑って言った。
「ありがとう。 かなり緊張しちゃった……」
美桜は右手の人差し指で自身の右頬を軽くかくと、手の震えが止まっていた。
「ちゃんと見ないとね!」
美桜がそう言いながら抽選機を見ると、若い男性が抽選機を回しますと言う。周囲にいる美桜と出雲を含めた全員が、若い男性店員の一挙手一投足に注目していた。
「抽選機が回りだしたわ! 何番の玉が出るのかしら!」
目を輝かせている美桜に出雲も当たれと心の中で祈っていた。そして、抽選機からついに一個の玉が出た。
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