24 / 120
第24話 抽選
しおりを挟む
「なーに!? 何かあったの!?」
出雲がそう叫ぶと、こっちに来てと美桜がさらに叫ぶ。出雲はその声の通りに人だかりに入り、その先頭にいた美桜の右隣に立つ。
「やっときた! これから番号札をもらって抽選が始まるよ!」
美桜が出雲に説明をすると、店員と思わしき若い男性が小さな正方形の箱を持ってきた。
「今からこの箱から一枚紙を取ってもらいます! その紙の番号がこちらにある抽選機から出た番号と同じであれば、現在放送中の大人気アニメである魔法使いの剪定から、主人公である三枝詩織の初めてフィギュア化されるこの場面!」
若い店員がマイクを持って声を上げて長方形の箱にかかっている包装紙を取ると、周囲にいた男女含めた三十人以上がどよめいた。
「あの場面か! 最高じゃないか!」
そう白髪混じりの中年の男性が言うと、その右隣にいた髪が肩までかかっている若い男性が歴史的瞬間だと目を輝かせる。そして、その後ろにいる茶髪の肩までの長さがある若い女性が神かと声を上げていた。
「これは必ず手に入れないと! もう一生手に入らないかもしれない!」
美桜がかなり興奮している口調で、目の前にあるフィギュアをみて言う。
「この場面は! 初期の詩織ちゃんが初めてステッキを持って魔法を使った、私服と戦闘衣装が混じった作画ミスと言われた伝説の一話のシーン!」
美桜が鼻息を荒くして誰かに説明をし始めた。
「後に発売をしたブルーレイディスクでは修正されたことからやはり作画ミスであると判明して、この服装のフィギュアの発売はなかったあの伝説のシーン!」
美桜がフィギュアを右指で指差してさらに叫ぶ。その様子を出雲は目を点にしながら見て聞いていた。
「だ! か! ら! 絶対手に入れたい! 絶対再販ないと思うから! ここで手に入れないと!」
美桜が出雲の鼻先数ミリまで近づいて手に入れたいと鼻息を荒くしていた。
「わかった! わかった! 俺はどうすればいいの!?」
出雲が美桜の両肩に手を置いて距離を置かせると、美桜は番号札を引いてと言ってくる。わかったと出雲は頷いて、若い男性店員の指示に従って番号札を引いている列に並ぶ。
「沢山人いるなー。 これ全員があのフィギュアを狙っているのか」
出雲は列に並んで自身の順番を待っていると、前にいる美桜が早く早くとうずうずしていた。
「落ち着いて。 番号札を取れても当たらないと意味ないよ」
出雲がそう言うと、美桜がまずは番号札を取らないとと返す。
「はいはい」
出雲がやれやれといた感じで落ち着いていると、美桜の順番が回って来て番号札を引き、引けたと喜んでいた。そして、出雲の順番が回って来て箱の中に手を入れると番号札が一枚しかなかった。
「俺で終わり?」
最後の一枚を出雲が引くと、若い男性店員が番号札は終わりですと言った。終わりという言葉を聞いた出雲の後ろに並んでいた数人は、肩を落として文句を言いながら帰っていった。
「出雲! ギリギリ番号札をゲット出来たわね! よかったわ!」
美桜が出雲によくやったわと言って頭を撫でると、抽選機による抽選を行いますとアナウンスが入る。
「やっと! やっとよ! やっと抽選よ!」
美桜が大はしゃぎしていると、何かを思い出したかのように番号確認しなきゃと慌てて手に持っている番号札に書かれている数字を確認した。
「私の番号は五番ね! 出雲は?」
そう言われて出雲は手に持っている番号札を番号を見ると、そこには一番と書かれていた。
「一番!? これは何かいいことがあるかも!」
美桜が出雲の両手を握ってワクワクと笑顔でいると、若い男性店員が抽選を始めますと宣言をした。その宣言と共に周囲に緊張感が走り、ピリピリとした空気が流れ始めた。美桜も出雲の生唾を飲んだりし、美桜は手が震えているようであった。出雲はその震えている美桜の手を握って、大丈夫だよと優しく笑って言った。
「ありがとう。 かなり緊張しちゃった……」
美桜は右手の人差し指で自身の右頬を軽くかくと、手の震えが止まっていた。
「ちゃんと見ないとね!」
美桜がそう言いながら抽選機を見ると、若い男性が抽選機を回しますと言う。周囲にいる美桜と出雲を含めた全員が、若い男性店員の一挙手一投足に注目していた。
「抽選機が回りだしたわ! 何番の玉が出るのかしら!」
目を輝かせている美桜に出雲も当たれと心の中で祈っていた。そして、抽選機からついに一個の玉が出た。
出雲がそう叫ぶと、こっちに来てと美桜がさらに叫ぶ。出雲はその声の通りに人だかりに入り、その先頭にいた美桜の右隣に立つ。
「やっときた! これから番号札をもらって抽選が始まるよ!」
美桜が出雲に説明をすると、店員と思わしき若い男性が小さな正方形の箱を持ってきた。
「今からこの箱から一枚紙を取ってもらいます! その紙の番号がこちらにある抽選機から出た番号と同じであれば、現在放送中の大人気アニメである魔法使いの剪定から、主人公である三枝詩織の初めてフィギュア化されるこの場面!」
若い店員がマイクを持って声を上げて長方形の箱にかかっている包装紙を取ると、周囲にいた男女含めた三十人以上がどよめいた。
「あの場面か! 最高じゃないか!」
そう白髪混じりの中年の男性が言うと、その右隣にいた髪が肩までかかっている若い男性が歴史的瞬間だと目を輝かせる。そして、その後ろにいる茶髪の肩までの長さがある若い女性が神かと声を上げていた。
「これは必ず手に入れないと! もう一生手に入らないかもしれない!」
美桜がかなり興奮している口調で、目の前にあるフィギュアをみて言う。
「この場面は! 初期の詩織ちゃんが初めてステッキを持って魔法を使った、私服と戦闘衣装が混じった作画ミスと言われた伝説の一話のシーン!」
美桜が鼻息を荒くして誰かに説明をし始めた。
「後に発売をしたブルーレイディスクでは修正されたことからやはり作画ミスであると判明して、この服装のフィギュアの発売はなかったあの伝説のシーン!」
美桜がフィギュアを右指で指差してさらに叫ぶ。その様子を出雲は目を点にしながら見て聞いていた。
「だ! か! ら! 絶対手に入れたい! 絶対再販ないと思うから! ここで手に入れないと!」
美桜が出雲の鼻先数ミリまで近づいて手に入れたいと鼻息を荒くしていた。
「わかった! わかった! 俺はどうすればいいの!?」
出雲が美桜の両肩に手を置いて距離を置かせると、美桜は番号札を引いてと言ってくる。わかったと出雲は頷いて、若い男性店員の指示に従って番号札を引いている列に並ぶ。
「沢山人いるなー。 これ全員があのフィギュアを狙っているのか」
出雲は列に並んで自身の順番を待っていると、前にいる美桜が早く早くとうずうずしていた。
「落ち着いて。 番号札を取れても当たらないと意味ないよ」
出雲がそう言うと、美桜がまずは番号札を取らないとと返す。
「はいはい」
出雲がやれやれといた感じで落ち着いていると、美桜の順番が回って来て番号札を引き、引けたと喜んでいた。そして、出雲の順番が回って来て箱の中に手を入れると番号札が一枚しかなかった。
「俺で終わり?」
最後の一枚を出雲が引くと、若い男性店員が番号札は終わりですと言った。終わりという言葉を聞いた出雲の後ろに並んでいた数人は、肩を落として文句を言いながら帰っていった。
「出雲! ギリギリ番号札をゲット出来たわね! よかったわ!」
美桜が出雲によくやったわと言って頭を撫でると、抽選機による抽選を行いますとアナウンスが入る。
「やっと! やっとよ! やっと抽選よ!」
美桜が大はしゃぎしていると、何かを思い出したかのように番号確認しなきゃと慌てて手に持っている番号札に書かれている数字を確認した。
「私の番号は五番ね! 出雲は?」
そう言われて出雲は手に持っている番号札を番号を見ると、そこには一番と書かれていた。
「一番!? これは何かいいことがあるかも!」
美桜が出雲の両手を握ってワクワクと笑顔でいると、若い男性店員が抽選を始めますと宣言をした。その宣言と共に周囲に緊張感が走り、ピリピリとした空気が流れ始めた。美桜も出雲の生唾を飲んだりし、美桜は手が震えているようであった。出雲はその震えている美桜の手を握って、大丈夫だよと優しく笑って言った。
「ありがとう。 かなり緊張しちゃった……」
美桜は右手の人差し指で自身の右頬を軽くかくと、手の震えが止まっていた。
「ちゃんと見ないとね!」
美桜がそう言いながら抽選機を見ると、若い男性が抽選機を回しますと言う。周囲にいる美桜と出雲を含めた全員が、若い男性店員の一挙手一投足に注目していた。
「抽選機が回りだしたわ! 何番の玉が出るのかしら!」
目を輝かせている美桜に出雲も当たれと心の中で祈っていた。そして、抽選機からついに一個の玉が出た。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~
水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート!
***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
*****************************
***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。***
*****************************
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。

ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~
楠富 つかさ
ファンタジー
地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。
そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。
できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!!
第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!
異世界グランハイルド・アレンと召喚獣-守護魔獣グランハイルド大陸物語ー
さん
ファンタジー
アレンは5才、母親と二人で叔父夫婦の牧場に居候している。父親はいない。いわゆる私生児だ。
虐げられた生活をしている。
そんな中、アレンは貴族にしか手に入れる事のできない召喚獣ー『守護魔獣』を手に入れる。
そして、アレンの運命は大きく変わっていく・・
グランハイルド大陸は4つの地域にほぼ分かれそれぞれの環境に合った種族が暮らしている。
大陸の北は高い山々が聳え立ちドラゴン等の魔獣や大型獣の生息地であり、人族が住むには非常に厳しい環境だ。
西も灼熱の砂漠が大きく広がり、砂漠にはワームが蔓延り地底人(サンドマン)と呼ばれる種族やドワーフ、コボルトがそれぞれに棲み分けている。
東から南東にかけて大きな森林地帯や樹海が広がり、エルフやリザードマン等、亜人と呼ばれる種族達が住んでいて大型獣も跋扈している。
大陸のほぼ中央から南には温暖な気候に恵まれ人族がそれぞれの4つの国家を形成している。しかしながら、種族的には一番劣る人族が一番温暖で豊かな大地を支配しているには訳が有る。
それは彼らが守護魔獣と呼ばれる大型魔獣を使役し、守護魔獣を使役した貴族がそれぞれの領地や民を守っているのである。
2頭の守護魔獣である獅子を使役し、その獅子の紋章を持つエイランド王家がライデン王国として、長年に渡って統治して来た。
そのライデン王国の東方地域を領地に持つフォートランド伯爵領に生を受けたアレンと言うの名前の少年の物語である。

嫌われ者のお姫様、今日も嫌われていることに気付かず突っ込んでいく
下菊みこと
ファンタジー
家族の愛をひたすら待つのではなく、家族への愛をひたすら捧ぐ少女がみんなから愛されるまでのお話。
小説家になろう様でも投稿しています。
ごめんなさいどのジャンルに含まれるのかわからないのでとりあえずファンタジーで。違ってたらご指摘ください。
異世界着ぐるみ転生
こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生
どこにでもいる、普通のOLだった。
会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。
ある日気が付くと、森の中だった。
誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ!
自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。
幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り!
冒険者?そんな怖い事はしません!
目指せ、自給自足!
*小説家になろう様でも掲載中です

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“
瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
だが、死亡する原因には不可解な点が…
数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、
神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています

追放幼女の領地開拓記~シナリオ開始前に追放された悪役令嬢が民のためにやりたい放題した結果がこちらです~
一色孝太郎
ファンタジー
【小説家になろう日間1位!】
悪役令嬢オリヴィア。それはスマホ向け乙女ゲーム「魔法学園のイケメン王子様」のラスボスにして冥界の神をその身に降臨させ、アンデッドを操って世界を滅ぼそうとした屍(かばね)の女王。そんなオリヴィアに転生したのは生まれついての重い病気でずっと入院生活を送り、必死に生きたものの天国へと旅立った高校生の少女だった。念願の「健康で丈夫な体」に生まれ変わった彼女だったが、黒目黒髪という自分自身ではどうしようもないことで父親に疎まれ、八歳のときに魔の森の中にある見放された開拓村へと追放されてしまう。だが彼女はへこたれず、領民たちのために闇の神聖魔法を駆使してスケルトンを作り、領地を発展させていく。そんな彼女のスケルトンは産業革命とも称されるようになり、その評判は内外に轟いていく。だが、一方で彼女を追放した実家は徐々にその評判を落とし……?
小説家になろう様にて日間ハイファンタジーランキング1位!
※本作品は他サイトでも連載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる