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第1章 運命の歯車が動く時
第9話 戦いの後に残る悲しさ
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「くぐもっている声だけど、ちゃんと感情があるんだな」
「それがどうした? お前達人類が魔族のことを知る必要はない。ここで朽ち果てろ!」
防御魔法を弾けさせた魔族は剣の剣身を闇魔法を纏わせ、黒い光を放つその剣で勢いよく出雲に斬りかかろうとしていた。
「お前は後々厄介になりそうだ。ここで死ぬがいい!」
感情をあらわにした魔族は、連続で剣を振るう。
出雲はその剣を虹色に輝いている剣で防いでいた。
「俺は負けない! お前を許さない!」
「戦場は生死をかける場所だ。お前なにを許さないのかは知らないが、許す許さないなど私には興味がないな!」
興味がないと言い終えた魔族は、さらに剣を振るう速度を上げた。
風切り音を上げながら出雲に襲うその剣は、地面に触れていないのに振り下ろされた瞬間地面を抉っていた。
「地面が!? あの剣身に纏わせている魔法の影響か!」
剣に纏わせている魔法をおかげで自身に影響がないのかと考えている出雲だが、もしあの魔法の影響が自身に及んだとしたら体が抉れると恐怖を感じていた。
「怖いけど、だけど……恐れていたら負ける! 俺は戦場に勝利を届けるんだ!」
自身を鼓舞した出雲は左手に4色の丸い盾を作成し、右手だけで剣を強く握り締める。
「剣と盾で戦うしかない! 俺は必ず勝つ!」
「私に勝つなどあり得ない。お前達人類は滅ぼされる運命だ」
「運命は決まっていない! 運命は自分で決めるんだ!」
出雲と魔族が勢いよく斬り合い始めると、その姿を見た伊吹が口を開けて驚いていた。
「さっきまであんなに弱かった配達人が……俺でも敵わない魔族と対等に戦ってやがる……くそが!」
地面を何度も叩いて出雲を睨みつける伊吹。
その顔からは妬みか嫉妬か分からないが、出雲に悪意が向けられているのが分かる。
「俺に恥をかかせたお前を許さない」
悪意を放ちながら伊吹はその場で二人の戦いを見ているしかなかった。
出雲は悪意を向けられていることなど知らないまま戦い続け、切り上げた剣を魔族の兜に当てる。すると兜の左側が砕け散り、隠されていた素顔が見えるようになった。
「魔族の顔ってそんな感じなのか。それに、女だったんだな」
兜から現れた顔を見た出雲は、魔族を初めて見た感想を呟いた。
「肌が極端に白くて、額に小さな角が生えているんだな」
自身の顔のことを言われた魔族の女性は、それがどうしたと睨みつけながら低い声で言う。兜が破壊されているので、くぐもった声ではなく素のままの声が出雲の耳に入っていた。
魔族の女性の声はハスキーボイスであり、威圧感を感じる声色をしていた。
出雲は砕けている兜の左側から見えるその鋭い眼光も、さらに威圧感を加えているように感じている。
「お前が魔族の姿を見たところで何も変わらない」
「そうかもな。だけど、姉さんに攻撃を加えたやつの姿くらい知りたいじゃないか」
鍔ぜり合いながらお互い言葉を発していると、二人が戦っている地域の地面に多数の亀裂が走り始めていた。
「おい! そいつのせいで地面に亀裂が走っているぞ! 逃げろ!」
伊吹が出雲に逃げろと話しかけると、後方から武が走ってきて伊吹の右腕を掴んだ。
「お前こそ逃げるんだ! 巻き込まれるぞ!」
「俺は逃げない! あいつに負けるわけにはいかないんだ!」
「負けるとか何を言っている!? お前は魔族に負けただろうに!」
魔族に負けた。
そう言われた伊吹は魔族にではないと叫ぶ。
「時間がないぞ! ほら!」
武に体を掴まれて伊吹はその場から移動をする。
俺は負けてないと終始叫びながら、伊吹は多数の部下と武によって強制的に運ばれていく。
魔族の女性と戦っている出雲は地面に多数の亀裂が入っていることなど気が付かず、亀裂が入る地面の上で戦い続けていた。
「さっきまでとは強さが違うな。本気を出していなかったのか?」
「俺は弱いさ。ただ教わった剣術を使っているだけさ」
弱いと言う出雲に対し、魔族の女性は左手で闇属性の魔法を発動する。
その魔法は左手に魔法を纏わせて斬撃を飛ばす魔法であった。
「この魔法で朽ちろ!」
「そんな魔法なんかに!」
魔族の女性は斬撃を左手の盾で受け流したり防いでいると二人の地面が揺れ始め、亀裂によって周囲が陥没し始める。
「うわ!? 地面が!?」
「チッ! 迂闊だった! 予想以上に地面が脆かったのか!」
二人は崩れる地面の上でさらに戦っているが、出雲の目線の先にある地面が崩れて下に落下を始めていた。
「落下先は崖みたいだ……何があるかは分からないが、やるしかない!」
出雲が何かを企んでいるのを察した魔族の女性は、何を考えていると言葉を発する。だが出雲は教えるわけないだろうと返答をする。
「お前はここで死ぬんだ! 俺と共に!」
出雲は大量の血を流しているので顔色が悪く、いつ絶命をしてもおかしくなかった。時間がない中で、さらに力を込めて魔法を使っていたので出雲の体力は限界に近づいていた。
「共に死ぬ? ふざけたことを! お前だけ死ね!」
「俺だけは死なない! 差し違える覚悟だ!」
揺れる地面を力強く蹴ると、魔族の女性が剣を構える。
「お前の覚悟は無意味だ! ここで消え去れ! 閻翔剣!」
魔族の女性が左手から黒い魔力を剣に注ぎ込むと、剣の形状が太く変化をした。
まさしく大剣と呼べる形に変化をした剣は鋭利な刃を持っており、その重さから威力が高いことが目視でも理解ができる。
「あの剣はヤバイ……あれを受け切れるか分からない……俺の命も尽きそうなきがする……どうするか……」
魔族の女性と奥の方に見える崩れた地面を交互に見た。
これしかないと考えると、魔族の女性との距離を一度取ることにした。
「私から離れて何をする気だ? 血が滴り落ちているな。もうすぐお前は死ぬぞ?」
「そんなことは分かっているよ。だからこうするのさ!」
その言葉と共に勢いよく魔族の女性に体当たりをすると、出雲は背中を大剣で斬られてしまう。
「うぐッ……それでも俺は!」
剣を後方に向けて纏わせている4属性を解放する。
すると出雲の体を強く押すほどの爆風が巻き起こり、魔族の女性共々前方に押し出すことが出来た。
「お前! 何をした!」
「俺と一緒に崖下に落ちてもらう! 一緒に死のうぜ!」
「お前となど死ねるものか! 私にはなさねばならぬことがあるのだ!」
「そんなこと知るものか!」
魔族の女性の体を強く掴むと、そのまま声を上げて押し続ける。
力が拮抗し一度は止まってしまうものの、出雲が魔族の女性の顎に兜の上から頭部で衝撃を与えたことで一気に押し込むことが出来た。
「お前お前お前! お前の顔は覚えたからな! 絶対に息の根を止めてやる!」
「これから死ぬのにどうやって息の根を止めるんだ」
出雲は心の中で姉さんごめんと言うと、魔族の女性と共に崩れた地面に落ちていく。その様子を見ていた騎士達が伝令として情報を伝えに走った。
「伝令! 配達人の少年と、魔族が共に崖に落下しました! 生死は不明ですが、2人共死んだとみて間違いないかと思います!」
2人共死んだと伝えられたが、魔族が死んだという情報だけが強調して伝えられることとなった。
その情報が戦場を駆け巡ると、魔物と戦っている騎士達の戦意が向上し、一気に戦況が変わっていく。瞬く間に魔物が討伐されていき、生き残りの魔物は後退をしていった。
「黒羽が死んだ? 嘘だろ? あいつは俺が殺すはずだったのに!」
自身を差し置いて魔族と互角に戦い、共に死んだ出雲に対して伊吹は異様な感情を抱いていた。武はそんな伊吹を見て、これは大変なことになりそうだと頭絵を抱えてしまう。
「武さん! 気絶をしていた配達人の女性が気が付きました! こちらに来てください!」
「分かった。すぐに行こう」
武は伊吹に支度をして帰るように伝え、その場を後にした。
気絶をしていた配達人の女性というのは久遠のことであり、戦場の入り口に作られている救護テントにて治療を受けている。火傷の手当てや切り傷などの多数あった傷の手当てをされて、火傷以外は綺麗に治っているようである。
「それがどうした? お前達人類が魔族のことを知る必要はない。ここで朽ち果てろ!」
防御魔法を弾けさせた魔族は剣の剣身を闇魔法を纏わせ、黒い光を放つその剣で勢いよく出雲に斬りかかろうとしていた。
「お前は後々厄介になりそうだ。ここで死ぬがいい!」
感情をあらわにした魔族は、連続で剣を振るう。
出雲はその剣を虹色に輝いている剣で防いでいた。
「俺は負けない! お前を許さない!」
「戦場は生死をかける場所だ。お前なにを許さないのかは知らないが、許す許さないなど私には興味がないな!」
興味がないと言い終えた魔族は、さらに剣を振るう速度を上げた。
風切り音を上げながら出雲に襲うその剣は、地面に触れていないのに振り下ろされた瞬間地面を抉っていた。
「地面が!? あの剣身に纏わせている魔法の影響か!」
剣に纏わせている魔法をおかげで自身に影響がないのかと考えている出雲だが、もしあの魔法の影響が自身に及んだとしたら体が抉れると恐怖を感じていた。
「怖いけど、だけど……恐れていたら負ける! 俺は戦場に勝利を届けるんだ!」
自身を鼓舞した出雲は左手に4色の丸い盾を作成し、右手だけで剣を強く握り締める。
「剣と盾で戦うしかない! 俺は必ず勝つ!」
「私に勝つなどあり得ない。お前達人類は滅ぼされる運命だ」
「運命は決まっていない! 運命は自分で決めるんだ!」
出雲と魔族が勢いよく斬り合い始めると、その姿を見た伊吹が口を開けて驚いていた。
「さっきまであんなに弱かった配達人が……俺でも敵わない魔族と対等に戦ってやがる……くそが!」
地面を何度も叩いて出雲を睨みつける伊吹。
その顔からは妬みか嫉妬か分からないが、出雲に悪意が向けられているのが分かる。
「俺に恥をかかせたお前を許さない」
悪意を放ちながら伊吹はその場で二人の戦いを見ているしかなかった。
出雲は悪意を向けられていることなど知らないまま戦い続け、切り上げた剣を魔族の兜に当てる。すると兜の左側が砕け散り、隠されていた素顔が見えるようになった。
「魔族の顔ってそんな感じなのか。それに、女だったんだな」
兜から現れた顔を見た出雲は、魔族を初めて見た感想を呟いた。
「肌が極端に白くて、額に小さな角が生えているんだな」
自身の顔のことを言われた魔族の女性は、それがどうしたと睨みつけながら低い声で言う。兜が破壊されているので、くぐもった声ではなく素のままの声が出雲の耳に入っていた。
魔族の女性の声はハスキーボイスであり、威圧感を感じる声色をしていた。
出雲は砕けている兜の左側から見えるその鋭い眼光も、さらに威圧感を加えているように感じている。
「お前が魔族の姿を見たところで何も変わらない」
「そうかもな。だけど、姉さんに攻撃を加えたやつの姿くらい知りたいじゃないか」
鍔ぜり合いながらお互い言葉を発していると、二人が戦っている地域の地面に多数の亀裂が走り始めていた。
「おい! そいつのせいで地面に亀裂が走っているぞ! 逃げろ!」
伊吹が出雲に逃げろと話しかけると、後方から武が走ってきて伊吹の右腕を掴んだ。
「お前こそ逃げるんだ! 巻き込まれるぞ!」
「俺は逃げない! あいつに負けるわけにはいかないんだ!」
「負けるとか何を言っている!? お前は魔族に負けただろうに!」
魔族に負けた。
そう言われた伊吹は魔族にではないと叫ぶ。
「時間がないぞ! ほら!」
武に体を掴まれて伊吹はその場から移動をする。
俺は負けてないと終始叫びながら、伊吹は多数の部下と武によって強制的に運ばれていく。
魔族の女性と戦っている出雲は地面に多数の亀裂が入っていることなど気が付かず、亀裂が入る地面の上で戦い続けていた。
「さっきまでとは強さが違うな。本気を出していなかったのか?」
「俺は弱いさ。ただ教わった剣術を使っているだけさ」
弱いと言う出雲に対し、魔族の女性は左手で闇属性の魔法を発動する。
その魔法は左手に魔法を纏わせて斬撃を飛ばす魔法であった。
「この魔法で朽ちろ!」
「そんな魔法なんかに!」
魔族の女性は斬撃を左手の盾で受け流したり防いでいると二人の地面が揺れ始め、亀裂によって周囲が陥没し始める。
「うわ!? 地面が!?」
「チッ! 迂闊だった! 予想以上に地面が脆かったのか!」
二人は崩れる地面の上でさらに戦っているが、出雲の目線の先にある地面が崩れて下に落下を始めていた。
「落下先は崖みたいだ……何があるかは分からないが、やるしかない!」
出雲が何かを企んでいるのを察した魔族の女性は、何を考えていると言葉を発する。だが出雲は教えるわけないだろうと返答をする。
「お前はここで死ぬんだ! 俺と共に!」
出雲は大量の血を流しているので顔色が悪く、いつ絶命をしてもおかしくなかった。時間がない中で、さらに力を込めて魔法を使っていたので出雲の体力は限界に近づいていた。
「共に死ぬ? ふざけたことを! お前だけ死ね!」
「俺だけは死なない! 差し違える覚悟だ!」
揺れる地面を力強く蹴ると、魔族の女性が剣を構える。
「お前の覚悟は無意味だ! ここで消え去れ! 閻翔剣!」
魔族の女性が左手から黒い魔力を剣に注ぎ込むと、剣の形状が太く変化をした。
まさしく大剣と呼べる形に変化をした剣は鋭利な刃を持っており、その重さから威力が高いことが目視でも理解ができる。
「あの剣はヤバイ……あれを受け切れるか分からない……俺の命も尽きそうなきがする……どうするか……」
魔族の女性と奥の方に見える崩れた地面を交互に見た。
これしかないと考えると、魔族の女性との距離を一度取ることにした。
「私から離れて何をする気だ? 血が滴り落ちているな。もうすぐお前は死ぬぞ?」
「そんなことは分かっているよ。だからこうするのさ!」
その言葉と共に勢いよく魔族の女性に体当たりをすると、出雲は背中を大剣で斬られてしまう。
「うぐッ……それでも俺は!」
剣を後方に向けて纏わせている4属性を解放する。
すると出雲の体を強く押すほどの爆風が巻き起こり、魔族の女性共々前方に押し出すことが出来た。
「お前! 何をした!」
「俺と一緒に崖下に落ちてもらう! 一緒に死のうぜ!」
「お前となど死ねるものか! 私にはなさねばならぬことがあるのだ!」
「そんなこと知るものか!」
魔族の女性の体を強く掴むと、そのまま声を上げて押し続ける。
力が拮抗し一度は止まってしまうものの、出雲が魔族の女性の顎に兜の上から頭部で衝撃を与えたことで一気に押し込むことが出来た。
「お前お前お前! お前の顔は覚えたからな! 絶対に息の根を止めてやる!」
「これから死ぬのにどうやって息の根を止めるんだ」
出雲は心の中で姉さんごめんと言うと、魔族の女性と共に崩れた地面に落ちていく。その様子を見ていた騎士達が伝令として情報を伝えに走った。
「伝令! 配達人の少年と、魔族が共に崖に落下しました! 生死は不明ですが、2人共死んだとみて間違いないかと思います!」
2人共死んだと伝えられたが、魔族が死んだという情報だけが強調して伝えられることとなった。
その情報が戦場を駆け巡ると、魔物と戦っている騎士達の戦意が向上し、一気に戦況が変わっていく。瞬く間に魔物が討伐されていき、生き残りの魔物は後退をしていった。
「黒羽が死んだ? 嘘だろ? あいつは俺が殺すはずだったのに!」
自身を差し置いて魔族と互角に戦い、共に死んだ出雲に対して伊吹は異様な感情を抱いていた。武はそんな伊吹を見て、これは大変なことになりそうだと頭絵を抱えてしまう。
「武さん! 気絶をしていた配達人の女性が気が付きました! こちらに来てください!」
「分かった。すぐに行こう」
武は伊吹に支度をして帰るように伝え、その場を後にした。
気絶をしていた配達人の女性というのは久遠のことであり、戦場の入り口に作られている救護テントにて治療を受けている。火傷の手当てや切り傷などの多数あった傷の手当てをされて、火傷以外は綺麗に治っているようである。
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