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第4章
第39話 大罪人が正義を成す
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「人を人と思わずに、自分の道具にしているお前の方が馬鹿だ! 誰かに何も与えなければ、人はお前を慕わない! お前は一人なんだよ!」
剣を掴む手が強くなる。
指が折れそうになるほどの力が出るが、折れてもいい。
今はマグナを殺す――ただそれだけしか考えられない。
高鳴る心臓を深呼吸によって鎮めると、ノアはユティアに支援を頼むことにする。
「俺が前で戦うから、支援を頼む!」
「分かりました! 任せてください!」
完全には信じられないが、今は頼るしかない。
ユティアが光属性を使うことしか知らないが、マグナとは違い効果は低いと推測できる。なんせ光り輝く槍を防ぐのに苦労をしていたくらいだ。劣化版か限定的な光属性を与えられているはず。マグナによってユティアの光属性が奪われる前に終わらせたいと、ノアは考えている。
「大罪人や道具は俺のために働いていればいいんだ! 俺のためにぼろ雑巾になるまで生きて働いていれば幸せだろうに!」
「違う! ニアもユティアも一人の人間だ! お前のために働くわけじゃない! 二人は二人の幸せのために働いているんだ! お前はそれを裏切った! お前は一人で惨めに死ね!」
言葉を言い終える前にノアは斬りかかる。
一撃二撃、今までとは違い昔にヘリスから教わった剣術が脳裏に描かれる。腰を入れて身体全体で振るうこと。足さばきが重要で、一撃に重さや威力を加えるためだと口酸っぱく言われたことを思い出していた。
なぜ今なのか疑問に感じるが、それは自身やステラの命運を懸けた戦いだからだろう。ノアは心の中でヘリスに感謝しつつ、苛烈な斬撃を浴びせていく。
「前とは違うが、それがどうした? ただ威力とキレが良くなっただけか?」
「だとしても、ここでお前を殺すことには変わりない!」
受け流され、突きが迫るが首を右に傾けて避ける。
あまりの速度に避けきれずに左頬が裂けた。恐怖から冷や汗が流れ、地面に落ちる。口が渇いて気持ち悪く、高鳴る心臓の鼓動が治まらない。耳の横に心臓があるかと勘違いしてしまうほどだ。
「ほら、どうした! 俺を殺すんだろう? そんな攻撃で殺せるのかよ!」
剣を上部に弾かれると、ノアの腹部に光剣が迫る。
まさに流れるような攻撃だ。一瞬の動きに対応ができないでいると後方にいるユティアが「光壁!」と叫ぶ声が聞こえたので、約束通り支援をしてくれるようだ。
ノアの前に輝く光る壁が現れ、迫る剣を防ぐ。支援してくれと言ったが、実際にしてくれるかは賭けだったのでノアは胸を撫で下ろして安堵していた。
「小賢しい真似を!」
「二人でと言ったはずだ。俺は犯罪者だ……だけど人を信じている。俺が信じるから相手も信じでくれる。お前はどうだ? 人を信じていないから、一人だ。お前に味方はいない!」
「ふん、味方など不要だ。俺の邪魔をするヤツは全て消え去れ!」
眩い光を放ちながらノアに攻撃を仕掛けてくる。
ルナ達がいようとやはり標的は決まっているようだ。地面を砕きながら剣を振るうが、その斬撃はユティアの輝く光の壁で防いでもらう。
明らかに連携が取れていることが嬉しい。ノアは敵であっても味方として共に戦える未来があるのではないかと考えるが、それは相手がユティアのような場合に限定されると自ら答えを導く。
「そのまま頼むぞ!」
「任せてください!」
明らかにマグナの攻撃を防げている。
このまま追い詰めて殺せたらいいのだが、そう簡単にはいかない。なにせ近衛騎士副団長だ。まだ見ぬ力を残している可能性を失念してはならない。
「私も前衛に行きます。このままじゃ埒があきませんからね」
「分かった。無理はするなよ?」
「私だって、これまでしてきた鍛錬は嘘じゃありません。償いとは言えませんが、少しでも良い方に世界が向くのなら力を使いましょう!」
償いという言葉に胸がチクリとなるが、今は自身が償う場面じゃない。
ノアはマグナに向けて黒炎の槍を投げつけ、それに隠れるようにユティアが輝く槍を投げる。
「隠そうが無駄だ! 光と闇は目立つぞ!」
マグナの言う通り背後に輝く槍は目立つが、ノアはそれが目的ではない。
闇属性を混ぜた業炎一閃を放つ態勢を取ると、その姿を見たユティアが右手に光を集めている。
「私が先に行きます!」
「頼んだ!」
連続でユティアは光線を放つが、それは軽々と弾かれる。
多少は目くらましになればいい。今は魔法を発動する時間が欲しいが、ユティア一人で耐えられるだろうか。
「早く来てください! 私一人では――」
背後を向いたユティアにマグナの剣が迫っているのが見える。
その攻撃を見ていたノアは勢いよく地面を蹴り、本来は放つ魔法である業炎一閃を放たずに剣に纏わせた。そしてマグナの剣を防ぐとユティアに目配せし、二人でリズムを合わせて攻撃をし始める。
「ユティア行くぞ!」
「分かっています!」
左右からマグナに向けて斬撃を繰り出す。
右手を剣に変化させているので、右側からの攻撃への反応が若干遅い。それに気が付いたノアは、身体の限界を超えた速度で攻撃を繰り出した。
「な、何だこの力は!? 一体何をした!」
「何もしていない! 俺の力はただお前を殺す……そのためだけにある! 犯罪者出ない人を大罪人にしたり、自分の利益のためだけに人を潰してきた報いを受けろ!」
マグナと斬り合う音が轟音として周囲に響き渡る。
間近で聞いているノアは、攻撃の音が身体の内側にまで音が響くのを感じていた。業炎一閃に闇属性を混ぜて強化をしているのにも関わらず決定打を入れられない。焦る気持ちが冷や汗として頬を流れる。
「焦っているようだな。大罪人が悪を滅ぼすなど大層なことを口にするからだ。大罪人な大罪人として地べたを這い回っていればいいものを」
マグナとの力の差は理解している。
いくら闇属性があるとはいえ、技量や技術の全てが圧倒的に違う。それでも諦めることはできない。死んでも戦う――その気持ちしかノアにはなかった。
剣を掴む手が強くなる。
指が折れそうになるほどの力が出るが、折れてもいい。
今はマグナを殺す――ただそれだけしか考えられない。
高鳴る心臓を深呼吸によって鎮めると、ノアはユティアに支援を頼むことにする。
「俺が前で戦うから、支援を頼む!」
「分かりました! 任せてください!」
完全には信じられないが、今は頼るしかない。
ユティアが光属性を使うことしか知らないが、マグナとは違い効果は低いと推測できる。なんせ光り輝く槍を防ぐのに苦労をしていたくらいだ。劣化版か限定的な光属性を与えられているはず。マグナによってユティアの光属性が奪われる前に終わらせたいと、ノアは考えている。
「大罪人や道具は俺のために働いていればいいんだ! 俺のためにぼろ雑巾になるまで生きて働いていれば幸せだろうに!」
「違う! ニアもユティアも一人の人間だ! お前のために働くわけじゃない! 二人は二人の幸せのために働いているんだ! お前はそれを裏切った! お前は一人で惨めに死ね!」
言葉を言い終える前にノアは斬りかかる。
一撃二撃、今までとは違い昔にヘリスから教わった剣術が脳裏に描かれる。腰を入れて身体全体で振るうこと。足さばきが重要で、一撃に重さや威力を加えるためだと口酸っぱく言われたことを思い出していた。
なぜ今なのか疑問に感じるが、それは自身やステラの命運を懸けた戦いだからだろう。ノアは心の中でヘリスに感謝しつつ、苛烈な斬撃を浴びせていく。
「前とは違うが、それがどうした? ただ威力とキレが良くなっただけか?」
「だとしても、ここでお前を殺すことには変わりない!」
受け流され、突きが迫るが首を右に傾けて避ける。
あまりの速度に避けきれずに左頬が裂けた。恐怖から冷や汗が流れ、地面に落ちる。口が渇いて気持ち悪く、高鳴る心臓の鼓動が治まらない。耳の横に心臓があるかと勘違いしてしまうほどだ。
「ほら、どうした! 俺を殺すんだろう? そんな攻撃で殺せるのかよ!」
剣を上部に弾かれると、ノアの腹部に光剣が迫る。
まさに流れるような攻撃だ。一瞬の動きに対応ができないでいると後方にいるユティアが「光壁!」と叫ぶ声が聞こえたので、約束通り支援をしてくれるようだ。
ノアの前に輝く光る壁が現れ、迫る剣を防ぐ。支援してくれと言ったが、実際にしてくれるかは賭けだったのでノアは胸を撫で下ろして安堵していた。
「小賢しい真似を!」
「二人でと言ったはずだ。俺は犯罪者だ……だけど人を信じている。俺が信じるから相手も信じでくれる。お前はどうだ? 人を信じていないから、一人だ。お前に味方はいない!」
「ふん、味方など不要だ。俺の邪魔をするヤツは全て消え去れ!」
眩い光を放ちながらノアに攻撃を仕掛けてくる。
ルナ達がいようとやはり標的は決まっているようだ。地面を砕きながら剣を振るうが、その斬撃はユティアの輝く光の壁で防いでもらう。
明らかに連携が取れていることが嬉しい。ノアは敵であっても味方として共に戦える未来があるのではないかと考えるが、それは相手がユティアのような場合に限定されると自ら答えを導く。
「そのまま頼むぞ!」
「任せてください!」
明らかにマグナの攻撃を防げている。
このまま追い詰めて殺せたらいいのだが、そう簡単にはいかない。なにせ近衛騎士副団長だ。まだ見ぬ力を残している可能性を失念してはならない。
「私も前衛に行きます。このままじゃ埒があきませんからね」
「分かった。無理はするなよ?」
「私だって、これまでしてきた鍛錬は嘘じゃありません。償いとは言えませんが、少しでも良い方に世界が向くのなら力を使いましょう!」
償いという言葉に胸がチクリとなるが、今は自身が償う場面じゃない。
ノアはマグナに向けて黒炎の槍を投げつけ、それに隠れるようにユティアが輝く槍を投げる。
「隠そうが無駄だ! 光と闇は目立つぞ!」
マグナの言う通り背後に輝く槍は目立つが、ノアはそれが目的ではない。
闇属性を混ぜた業炎一閃を放つ態勢を取ると、その姿を見たユティアが右手に光を集めている。
「私が先に行きます!」
「頼んだ!」
連続でユティアは光線を放つが、それは軽々と弾かれる。
多少は目くらましになればいい。今は魔法を発動する時間が欲しいが、ユティア一人で耐えられるだろうか。
「早く来てください! 私一人では――」
背後を向いたユティアにマグナの剣が迫っているのが見える。
その攻撃を見ていたノアは勢いよく地面を蹴り、本来は放つ魔法である業炎一閃を放たずに剣に纏わせた。そしてマグナの剣を防ぐとユティアに目配せし、二人でリズムを合わせて攻撃をし始める。
「ユティア行くぞ!」
「分かっています!」
左右からマグナに向けて斬撃を繰り出す。
右手を剣に変化させているので、右側からの攻撃への反応が若干遅い。それに気が付いたノアは、身体の限界を超えた速度で攻撃を繰り出した。
「な、何だこの力は!? 一体何をした!」
「何もしていない! 俺の力はただお前を殺す……そのためだけにある! 犯罪者出ない人を大罪人にしたり、自分の利益のためだけに人を潰してきた報いを受けろ!」
マグナと斬り合う音が轟音として周囲に響き渡る。
間近で聞いているノアは、攻撃の音が身体の内側にまで音が響くのを感じていた。業炎一閃に闇属性を混ぜて強化をしているのにも関わらず決定打を入れられない。焦る気持ちが冷や汗として頬を流れる。
「焦っているようだな。大罪人が悪を滅ぼすなど大層なことを口にするからだ。大罪人な大罪人として地べたを這い回っていればいいものを」
マグナとの力の差は理解している。
いくら闇属性があるとはいえ、技量や技術の全てが圧倒的に違う。それでも諦めることはできない。死んでも戦う――その気持ちしかノアにはなかった。
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