召喚魔法使いの旅

第222話

　決勝戦が終わった後、ヴェロニカ・ニーロウッドが試合舞台から去るまでの間、ずっと観客席は歓声を上げている者が多かった。

　そして、クリスタル王国トーナメント大会学生部門が終了すると、次はクリスタル王国トーナメント大会本戦の三位決定戦が始まる。

　それを第三育成校の面々は事前に用意した昼食を食べながら観戦していく。

　三位決定戦を争うのはどちらも冒険者のようで、魔闘気を纏いながら接戦を繰り広げて戦っていた。

　次に行なわれた決勝戦ではクリスタル王国の騎士たちが戦うようだ。

　どちらの騎士も所属する部署は違うようだがかなり強く、聖風と聖水を纏って戦っている。

　そして、決勝戦の試合は聖風を使う騎士の勝利で終わった。

　クリスタル王国トーナメント大会本戦の表彰式が始まる。

　その前にクリスタル王国トーナメント大会学生部門の表彰式が行なわれる。

　試合舞台には優勝校、準優勝校、三位の三校の選手たちが集まると、いよいよ表彰式が始まった。

　金、銀、銅の三つのトロフィーが用意されており、それをクリスタル王国の国王が行なった。

　生徒会長がトロフィーを国王直々に渡される。

　優勝校を含めた三校がトロフィーを渡されると試合舞台から去り、次は本戦で優勝、準優勝、三位の選手が試合舞台に入って来た。

　本戦で国王から渡されるのは金一封と、クリスタル王国にあるジュエルモンスターの試練に参加することが出来る許可証が優勝者には渡され、準優勝者と三位にはクリスタルキングクラブの素材で作られたネックレスが渡された。

　流石に準優勝者と三位ではネックレスに使われているクリスタルキングクラブの素材の品質が違うようだ。

　こうして、アルにとって一度目のクリスタル王国トーナメント大会が閉幕するのだった。

　そして、クリスタル王国トーナメント大会が終わったことで第三育成校の面々は一度、宿屋に帰る。

　宿屋に帰った時にユキたち召喚獣に夕食の料理を出すと、お留守番をするように言いながら準備を済ませて宿屋のエントランスに戻り、貴族学院に向かった。

　そこで夕食と一緒にクリスタル王国トーナメント大会に出場した学校の選手たちが交流する交流会が行なわれる。

　貴族学院に集まると交流会が始まった。

　「食事の前に一年生同士で挨拶しに向かうぞ。」

　「早く行こうぜ！腹減ってるからさ！」

　「案内してくれ。アル。」

　他校の一年生たちが集まる場所に移動すると、アルはアランとジェイドを紹介して他校の選手たちと交流しながら食事を楽しんでいく。

　前回は他校の生徒会のみの交流会だったが今回は他校の選手の話を色々と聞くことが出来た。

　交流会は夜八時まで続き、交流会が終わる時間になると第三育成校の面々は宿屋に帰った。

　「ただいま。」

　『おかえなさいです！』

　『あるじ様。おかえりなさい。』

　『……おかえり。』

　宿屋に帰ると、召喚獣たちがお出迎えをしてくれた。

　「明日も早いし、シャワー浴びて来るよ。」

　『分かったです！』

　『分かりました。』

　夕食に出した料理の皿を魔法で綺麗にしてから、昨日と同じように魔法で身体を綺麗にしてからシャワーを浴びていく。

　シャワーを浴び終わり、明日からの予定をユキたちに話していく。

　『なら、明日の朝は早いのですね。あるじ様。』

　「イルカの町に向かうなら早い時間で移動しないと駄目だからな。」

　『アル！昨日みたいに戦いを見るです！』

　「俺は明日は早いからもう寝るよ。自動で映像が流れるようにするから、それでいいか？」

　少し悩んだ様子をユキは見せる。

　『それでいいです！』

　今日観戦した試合が自動で流れるようにすると、アルはベットに横になって目を閉じるとすぐに眠り始めた。

　次の日になると、宿屋で朝食を食べてからアルたち第三育成校の面々は、王都を出て迷宮都市スリンカに帰る為に魔道馬車で朝の早い時間帯から移動を開始した。