召喚魔法使いの旅

ゴロヒロ

文字の大きさ
上 下
144 / 248

第144話

しおりを挟む
 そして授業の無い休日にアルたちは、下級ダンジョンに来ていた。既にダンジョンの中に入る許可を取って、下級ダンジョンの前に朝早くから待機する。

 「じゃあ、ここからは身体強化は無しで進むぞ。」

 『分かったです!』

 『分かりました。』

 『……うん。』

 隠蔽しているが、いつも纏っている魔力や闘気を切って、いよいよ下級ダンジョンの中に入る。

 休日は多く居る生徒たちも下級ダンジョンの中で探索している。だが、休日の早朝だからか、ダンジョンの一階には、そこまで生徒は居ないようだ。

 そしてダンジョンの中に入り、ダンジョン探索を始めて少しすると、オオネズミと遭遇した。

 「あのオオネズミは、身体強化も出来ないようなモンスターだからな。一人で倒せるだろうから任せろ。」

 製作してから使用していたクリスタルウォータースネークの素材で作った水晶蛇の剣では無く、生産魔法でアルが自身で作った鉄の剣を鞘から引き抜き、オオネズミに走らずに歩いて向かって行く。

 一匹しか居ないオオネズミは、アルに気が付き、威嚇してくる。そして近くまで近付くと飛び掛かってきた。

 斜めに移動して回避しながら、剣をオオネズミの首を狙い振り抜いた。その一太刀でオオネズミの首を切り落とす。

 「身体強化をして無くても、オオネズミくらいなら余裕だな。なら、次の階層に向かうか。それまでに一回はユキたちも戦闘できるだろうし。」

 魔石を灰の中きら拾い、ユキたちと共に次の階層にある門に向かう。

 門に着くまでの間、ユキたちもオオネズミと戦闘があったが余裕で戦えていた。

 ユキは、素早くオオネズミが反応する前に接近して、その自慢の螺旋を描く角でオオネズミを突き刺して倒す。

 シェーレは、オオネズミの前で構えると、迫って来るオオネズミを、厚い鋏でオオネズミを叩き潰して倒し。

 サフィは、魔法を使わない戦闘を行ない、空中を泳いで、身体をしならさ、尾鰭でオオネズミを叩き、オオネズミの首の骨を折って倒していた。

 そして、次の二階層でも現れるオオネズミの数が増えても、余裕でアルたちは戦えていた。

 それから、アルたちはどんどんダンジョンを進んで行き、オオネズミだけでは無く、リザードやスケルトンとも戦ったが、それでも苦戦することなく、モンスターたちを倒していった。

 十一階層に向かう際のボスが身体強化をしてきても、ボスに一人で挑戦したアルに取っては余裕で倒せる強さだった。

 因みにその時に現れた宝箱から出てきたアイテムは、魔力を回復させる魔法薬が三つ入っていた。

 十一階層からは、相手のモンスターたちも魔力や闘気を身体に満たして使い、身体強化をしてくる。

 その為、身体能力の差が縮まり、戦闘の際の余裕が無くなってきた。それでも、アルたちは一人での戦闘でも二十階層までは戦えていた。

 二十階層のボス部屋の前で他の生徒たちが順番待ちをしている間、アルたちはビックプラントとどうやって戦うのかを話し合いを始めた。

 「流石に二十階層のボスのビックプラントは、一人で倒せないだろうから連携して戦おう。」

 『そうですね。あるじ様。使ってくるだろう身体強化も一段階上げてくるでしょうからね。』

 確か、ビックプラントは身体強化を放出までは使ってくるからな。連携しないと強化無しではキツいだろう。

 『どう戦うです?』

 「俺とシェーレが前衛、ユキが遊撃、サフィは後衛だ。サフィ、ここからは魔法を使っていいぞ。」

 『分かったです!草野郎をぶっ倒すです!』

 『分かりました。あるじ様。この鋏で切り刻みます。』

 『……うん、魔法……使うね……穴だらけに……する』

 「みんな、やる気ばっちりだな。よし、じゃあ行くぞ。」

 どうやって戦うかを決めると、ボス部屋に進める門に向かい、アルたちは進んで行った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。 23歳の公爵家当主ジークヴァルト。 年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。 ただの女友達だと彼は言う。 だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。 彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。 また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。 エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。 覆す事は出来ない。 溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。 そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。 二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。 これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。 エルネスティーネは限界だった。 一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。 初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。 だから愛する男の前で死を選ぶ。 永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。 矛盾した想いを抱え彼女は今――――。 長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。 センシティブな所へ触れるかもしれません。 これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

処理中です...