召喚魔法使いの旅

ゴロヒロ

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第143話

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 下級ダンジョンの攻略が終わった時から時間が経ち、今はもう八月の半ば頃になった。

 この頃になると、剣術などの授業で行なわれる体力を付ける為の長距離走でも、余裕では無いが、そこまで疲れなくなった頃。剣術授業の担当教師アンクとの模擬戦を行なえるまでになった。

 (三ヶ月経って、ようやく最後の模擬戦が終わるまで立っていられるようになったからな。それでも流石に三年の序列順位が高い先輩たちとの連続模擬戦だと立っていられないけどな。)

 アル自身の剣技も入学前と比べて、技量が相当上がり、体力も付いてきている。そのお陰で授業も最後まで立っていられる。

 だが、それでも流石に剣術の教師であるアンクが本気で模擬戦をすれば、剣技の技量では敵わない。

 けれど、剣術の授業内で行なう模擬戦でもアンクとの戦闘時間は伸びているので強くなった実感はあった。

 今回の剣術の授業では、最後の模擬戦まで負けることがなかったから、教師であるアンクとの模擬戦が出来る。

 そして今、アルの前に模擬戦を行なっていた上級生の模擬戦が終わり、次はアルの番になった。

 「次!来なさい。」

 「はい!」

 アンクに呼ばれて向かう。そして向かい合うと木剣を構えて、アンクが模擬戦を始める合図を待つ。

 「始め!」

 そして模擬戦開始の合図が出されるとアルはアンクに向かっていく。

 アンクの隙が無いかを伺いながら接近し、右から横に剣を一閃する。だか、それはアンクが後ろに一歩下がり回避される。

 そして攻撃が外れた瞬間、後ろに下がったアンクが前に踏み込み、突きを行なってきた。

 それを身体を捻り、突きを回避しながら、先ほど右に向かい振るった剣を戻して、更に左横に向かって剣を振るう。

 突きを躱されたアンクはすぐさま剣を戻し、左横薙ぎを剣で防御してきた。

 そこから何度も防ぎ、躱し、打ち込みをお互いに行いながら、最後は一瞬の隙を突かれて模擬戦は負けてしまった。

 「ありがとうございました。」

 それから先ほどの模擬戦でのアドバイスを幾つか教えて貰い、次の模擬戦を行なう生徒の模擬戦を見ながら、先ほど受けたアドバイスの内容を考える。

 (剣を振るう際と移動の際の身体の動きか……そこを改善すれば、更に良くなるって言われたけど、どうすればいいかな?……やっぱり、見本になる上級生や先生の動きを真似れば少しは分かるか?うーん……これはどうすれば良いのかを授業が終わったら聞いてみるか。)

 そして剣術の授業が終わった後に聞いてみたら、色々と教えてくれた。移動しながら剣を振るう際の身体の動かし方などを実際に見せて貰い、その時に魔法を使ってアンクの動きを記録させて貰ったから、鮮明に思い出すことも出来るだろう。

 その際に、闘気や魔力を使った身体強化を使った場合と使わなかった場合で身体能力に差が出る。その影響のことも教えて貰い、身体強化をしないで、下級ダンジョンの探索をしてみることも良いと教えられた。

 それにダンジョンの罠や階層のギミックの中には、魔力や闘気の使用が出来なくなるといったこともあるらしく、そういったことで死んでしまう冒険者も多く居るようだ。

 身体強化をしないでのダンジョン探索は、流石に今の技量だと、どこまで進めるのかは分からない。

 だけど、やってみるのは良さそうだ。はっきり言うと下級ダンジョンは、武器の性能や纏わせた魔力と闘気のお陰で戦闘は楽だったからな。

 でもやるのなら、性能が普通の武器で身体強化などをせずに下級ダンジョンの攻略すれば、いやでも戦闘の技量は上がっていくのだろう。

 (でもこれは、ユキたちにも相談してからだな。今日の夜にでも話してみるか。)

 アンクにお礼を言うとアルは武術訓練所を後にして、生徒会室に向かった。
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