召喚魔法使いの旅

ゴロヒロ

文字の大きさ
上 下
119 / 248

第119話

しおりを挟む
 選抜トーナメント決勝戦当日の朝、朝食を食べた後から、アルは生徒会の仕事をする為に生徒会役員のメンバーの元に集合する

 集まると挨拶もそこそこに今日の予定を話し合いながら試合会場に向かう。試合会場に着くと先生たちとの話し合い、試合の準備を済ませると、アルは一年生の三位決定戦を見るために移動する

 「あそこに居るな。おはよう、みんな」

 アルは集まっている一年一組のクラスメイトたちの元に向かい挨拶をする

 「アル、おはよう。席を取っておいたぞ」

 「ありがとう」

 クラスメイトたちが取っておいてくれた席に座ると三位決定戦が始まるまでジェイドとイリーシャのどちらが勝つのか話をしていると試合の時間になった

 審判員の合図で試合が始まるとアルは意識を試合を見るのに集中していく

 ジェイドとイリーシャの試合が始まると最初に仕掛けたのはイリーシャだった。イリーシャは槍を細かく振るい三日月状の闘気の斬撃を複数回放ち、ジェイドに向かい飛ばした

 (先制攻撃に複数の斬撃を飛ばしたか。俺なら迎撃出来るからするけど、ジェイドはどう動くかな?)

 ジェイドは向かってくる複数の三日月状の斬撃に対して回避しながらイリーシャに向かう。すべての飛んで来た斬撃を回避したジェイドは全身から闇の靄を試合舞台を包み込むように闇魔法を使った

 (あれじゃあ試合が見れないな。仕方ないか、感知力を高める魔法を使うか)

 魔法を使い感知能力を高めて試合舞台を見れば闘気や魔力、気配などで試合をしているジェイドとイリーシャの動きが分かる

 (闇の靄での目眩しは魔力を使っているからか、魔力での感知は難しいな。でも動きは分かるな。イリーシャはこの靄を吹き飛ばすつもりか?)

 試合舞台ではイリーシャが纏った闘気を槍に集中すると槍を振り回し始めた。その影響で試合舞台を包み込んでいた闇の靄が少しずつ薄れ始める

 だがそんな無茶苦茶な軌道で振り回している槍を避けてジェイドはイリーシャの懐に入ると短剣を振るい攻撃している

 (イリーシャは槍を振り回すのをやめて靄の対策ではなく、攻撃の回避を優先するのか)

 ジェイドの攻撃を回避しながら何度か反撃をするが、イリーシャの攻撃はジェイドに避けられている。更にジェイドは再度全身から闇の靄を放ち、せっかく薄れた闇の靄はまた試合舞台が見えないほど包み込む

 視界が塞がれたせいか、イリーシャはジェイドからの攻撃を受けているようだ。だけどイリーシャは、攻撃ではなく防御に力を入れているのか、ダメージはそこまでなさそうだ

 (闘気だけなら俺を除いて一年生の中では最上位にいるだろうからな、イリーシャは。でもこのままだとジェイドに負けるな)

 ジェイドは闇に紛れて気配を消して行動している為、集中しないと気配が途切れて見失ってしまう。それに周囲を漂う闇の靄には魔力が含まれている為、その魔力に合わせることで魔力感知の対策もしているみたいだ

 (試合が動くな)

 イリーシャが闘気を槍に纏わせて周囲の試合舞台に勢いよく何度も叩き付けたのだ。試合舞台の石畳は砕けて周囲に飛び散りジェイドを襲っている

 気配や魔力の隠蔽の為にジェイドは闘気や魔力を放出や纏いでの強化をしていないので石畳の破片でダメージを受けるだろう

 (案の定石畳の破片でダメージを受けているな。これで試合の結果は分からなくなるぞ)

 音をさせない為にジェイドの防具は金属を使っていない革鎧で、更に身体を動きやすくする為か、重要な部位にしか防具を身に付けていない

 その為にジェイドは防具が無い部位に石畳の破片が突き刺さっている。だがジェイドの戦意は高まっているように感じる

 (不思議だな。何でジェイドがダメージを受けると闇の靄にも影響があるんだ?)

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。 23歳の公爵家当主ジークヴァルト。 年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。 ただの女友達だと彼は言う。 だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。 彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。 また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。 エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。 覆す事は出来ない。 溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。 そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。 二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。 これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。 エルネスティーネは限界だった。 一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。 初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。 だから愛する男の前で死を選ぶ。 永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。 矛盾した想いを抱え彼女は今――――。 長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。 センシティブな所へ触れるかもしれません。 これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります

古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。 一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。 一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。 どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。 ※他サイト様でも掲載しております。

処理中です...