召喚魔法使いの旅

第79話

　ルノアがそんな風に出ていった原因であるアルたちに周囲の生徒たちは目を向けるとその内の何人かの男子生徒たちがアルたちに向かっていった

　「おい！お前なにルノアさんに何してんだよ！！」

　「そうだ！俺には聞こえていたがウサギくらいルノアさんに好きに触らせろ！！！」

　男子生徒たちは各々が言いたい事を言って騒がしくしていると彼らの後方から凛とした声が掛けられる

　「君たち何をやっているだ。ここは公共の場だ。弁えろ」

　そう言った女子生徒の腕には腕章が付けられていた。そしてこの女子生徒は俺が図書室を利用した時に話をした女性だ

　そんな女子生徒にアルたちを囲んでいた男子生徒たちはすくみ上がるとその女子生徒に言い訳を始めた

　その言い訳の中の話を聞くとこのエミリーという女子生徒は生徒会の副会長みたいだ

　その言い訳を聞いた女子生徒はアルにも話を聞きたいと言われお互いの自己紹介をしてから話をする

　「なんだ。ルノアさんがそこの召喚獣が嫌がる事をして注意されて召喚獣に逃げられたからなのか。君たちアルさんは悪くない様だ。謝りなさい」

　アルの話を聞いたエミリーはアルたちを囲んでいた男子生徒たちにそう言うが男子生徒たちは不貞腐れてアルを睨む

　その中の一人の男子生徒が悪巧みをする様な顔をすると決闘だと大きな声を出して言う

　するとこの騒動を聞いていた生徒たちは決闘だと盛り上がり始めた。アルは決闘とはなんだと思いエミリーに聞くと決闘とはこの冒険者育成校で生徒が持つ権利の一つに決闘がある様だ。ここに通う生徒は序列があり強い者が様々な権利を得られる図書室やこの食堂も一組に所属しているから得られた権利だ。

　そして決闘は揉め事の仲裁な序列争い、何かの要求を相手にする時にする権利みたいだ。まあ、余程の無茶な要求は断ることが出来るみたいだ

　そしてこの男子生徒の要求はルノアにユキをまた撫でさせる事みたいでそんな決闘は認められないと第一アルに何の得もないとエミリーが言うが周りは盛り上がりすでに賭け事もやり始めている

　「どうする？この決闘を断る事も出来るぞ」

　「周囲も盛り上がって断れないですよね」

　「まあ、そうだな。断った場合アルさんの評判が悪くなるだろう」

　やっぱりそんな感じか前世でもノリが悪いだとかイジメの標的にされそうな感じだしな。アルはしょうがないとため息を吐くと決闘を承諾して決闘をする場所と時間を決めるとこの場は解散する事になった

　気分が悪いが俺も召喚獣たちもお腹が空いているので番号が呼ばれるとやけ食いする様に食べていった

　それから食堂で食事を終わらせると借りている武術訓練所で決闘の事もあるのでこれまで以上に練習をしていった

　翌日、食堂では昨日の騒動を知ったルノアがアルたちに謝って決闘での勝敗は関係なくユキがまた触らせても良いと言った時に触らせてほしいと言ってユキにも謝り野菜の詰め合わせをルノアから貰った

　図書室で本を見つけて練習を始めた時からの一週間の練習の成果がさっそく出たのか初日から一週間後には最大制御限界でアルが魔力四割、ユキが闘気四割、シェーレが魔力五割、サフィは魔力四割まで維持を常時続けて物を壊さずに生活できる様にまでなった

　更に維持しながらの素振りでの形稽古や身体操作の練習を行なった事で力加減も出来るようになった

　決闘の日まであと数日だからユキ、シェーラ、サフィに頼み攻撃を避ける練習を始める。威力を落としたが代わりに速度を上げた闘気弾や単体魔法を放ってもらいそれを避ける練習だ

　決闘が翌日に迫り寮の自室でゆっくりとお風呂に浸かっているとユキが念話をしてきた

　『明日の決闘、勝てるです？』

　「多分、勝てるんじゃないか。あの男子生徒たちはそんなに強くないだろう。それにあいつら俺が今年入学する一年生だと侮っているからな」

　『油断は駄目ですよ。あるじ様』

　『……瞬殺』

　「油断はしないよ。でも瞬殺はするかもな」

　三匹と話しながらお風呂で身体を休めて明日の決闘に備えていった