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第13話
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空から侵略者たちの空中戦力が地上に墜落していく姿が月明かりに照らされて見えるが、あの位置だと墜落した空中戦力は地上戦力の頭上に落ちているのではないだろうか。
視覚的にも聴覚的にもしっかりとは確認は出来ないが、こちらの後衛組からの攻撃よりは被害は少なさそうだ。
でもこれは問題だろう。俺が侵略者たちの地上戦力と戦っている時に頭上からの落下物に気付かなかった場合、怪我や隙が出来るし最悪は死ぬ可能性もある。
けれど、空中から防衛陣地に侵入された場合と比べれば、後衛組を指揮している竹中は空中戦力へと攻撃するように指示を出すだろうし、頭上からの予期せぬ攻撃に注意をする必要が出て来そうだ。
歩みを進めて前線付近にたどり着く頃には俺の視界にも空中戦力の姿が見て取れた。
周りの声は「あれはスイカか?」「カボチャじやないか?」「いや、メロンだろ!」なんて声が聞こえるが、確かに空中を飛んでいるスイカやカボチャにメロンの姿を視認した。
他にも吸血鬼ならと言える蝙蝠が多数飛んでいるが、どうしても目はスイカやカボチャたちの方に向いてしまう。
それにしてもなんでスイカやカボチャなどの瓜科の野菜や果物が空を飛んでいるのか不思議だ。一体、吸血鬼とどんな関係があるのだろうか?
そして前線に来たからこそ分かることはまだあった。それは吸血鬼世界側の地上戦力にこれまでとは違った敵がいるからだ。
異世界犬と俺が呼んでいる敵よりも大柄な狼の様な存在や異世界人と呼んでいる狂った人間よりも常軌を逸した爪の長く歯を剥き出しにした存在が確認できた。
他にも明らかに異世界人とも爪の長い新たな敵とも違う。理性的で服装もボロボロのボロ切れではないしっかりした物を着て、侵略者たちを指揮している者が複数人確認できた。
あれは?と思っていると前線にいる誰かが侵略者の事に付いて声を出して言っていた。
「空からは吸血鬼の眷属の蝙蝠やスイカ、カボチャにメロン。地上からは眷属の犬に狼、人間、グール。それで指揮しているのが下級の吸血鬼か。」
そんな敵のことを調べる事が出来るユニークスキルか、それともスキルなのかは分からないが、そんな相手のことを調べる事が可能な力を持っている選ばれし者の独り言が聞こえて来た。
それにアイツらは眷属なのかと思いながら指揮を取っている下級吸血鬼へと視線を向ける。
やはりあの下級吸血鬼たちから感じる感覚は俺よりも強者だと言う事が分かる。今の俺だと戦うことは出来るだろうが、下級吸血鬼を殺し切ることが出来るのかは分からない。
地球側にある伝承の吸血鬼の様に弱点を突かないと倒せない様な相手だと、いくら吸血鬼への弱点になる装備を武装にセットしていても不安に感じる気持ちが俺の感情に湧き上がる。
それでも戦うしかない。俺本来の感情と同じくらいの闘争心へと意識を向けることで不安や恐怖へと意識を向けない様にしながら突撃の合図を待つ。
距離にしてあと20メートルを切ったタイミングで前線まで来ていた一ノ瀬が合図を出した。
「まずは相手の勢いを削ぐぞ!!攻撃を開始だ!!!」
遠距離攻撃と言えるほどの距離まで届かないが、中距離攻撃を行なえる前衛組の選ばれし者たちがスキルやユニークスキルに必殺技を駆使して攻撃を開始した。
前に出て攻撃を行なう選ばれし者たちの攻撃に突撃の勢いは削がれ、先頭を走っていた吸血鬼の眷属である犬や狼たちは走る速度を落としていく。
「突撃!!!」
そうして勢いが削がれた先頭を走る眷属の犬や狼へと、前線の選ばれし者たちは一ノ瀬の指示を聞いて突撃した。
「ハッ!!」
距離を詰めた俺は眷属犬の時と同じ様に先ほどの攻撃でダメージを受けていた眷属狼の頭部へと拳を繰り出した。
視覚的にも聴覚的にもしっかりとは確認は出来ないが、こちらの後衛組からの攻撃よりは被害は少なさそうだ。
でもこれは問題だろう。俺が侵略者たちの地上戦力と戦っている時に頭上からの落下物に気付かなかった場合、怪我や隙が出来るし最悪は死ぬ可能性もある。
けれど、空中から防衛陣地に侵入された場合と比べれば、後衛組を指揮している竹中は空中戦力へと攻撃するように指示を出すだろうし、頭上からの予期せぬ攻撃に注意をする必要が出て来そうだ。
歩みを進めて前線付近にたどり着く頃には俺の視界にも空中戦力の姿が見て取れた。
周りの声は「あれはスイカか?」「カボチャじやないか?」「いや、メロンだろ!」なんて声が聞こえるが、確かに空中を飛んでいるスイカやカボチャにメロンの姿を視認した。
他にも吸血鬼ならと言える蝙蝠が多数飛んでいるが、どうしても目はスイカやカボチャたちの方に向いてしまう。
それにしてもなんでスイカやカボチャなどの瓜科の野菜や果物が空を飛んでいるのか不思議だ。一体、吸血鬼とどんな関係があるのだろうか?
そして前線に来たからこそ分かることはまだあった。それは吸血鬼世界側の地上戦力にこれまでとは違った敵がいるからだ。
異世界犬と俺が呼んでいる敵よりも大柄な狼の様な存在や異世界人と呼んでいる狂った人間よりも常軌を逸した爪の長く歯を剥き出しにした存在が確認できた。
他にも明らかに異世界人とも爪の長い新たな敵とも違う。理性的で服装もボロボロのボロ切れではないしっかりした物を着て、侵略者たちを指揮している者が複数人確認できた。
あれは?と思っていると前線にいる誰かが侵略者の事に付いて声を出して言っていた。
「空からは吸血鬼の眷属の蝙蝠やスイカ、カボチャにメロン。地上からは眷属の犬に狼、人間、グール。それで指揮しているのが下級の吸血鬼か。」
そんな敵のことを調べる事が出来るユニークスキルか、それともスキルなのかは分からないが、そんな相手のことを調べる事が可能な力を持っている選ばれし者の独り言が聞こえて来た。
それにアイツらは眷属なのかと思いながら指揮を取っている下級吸血鬼へと視線を向ける。
やはりあの下級吸血鬼たちから感じる感覚は俺よりも強者だと言う事が分かる。今の俺だと戦うことは出来るだろうが、下級吸血鬼を殺し切ることが出来るのかは分からない。
地球側にある伝承の吸血鬼の様に弱点を突かないと倒せない様な相手だと、いくら吸血鬼への弱点になる装備を武装にセットしていても不安に感じる気持ちが俺の感情に湧き上がる。
それでも戦うしかない。俺本来の感情と同じくらいの闘争心へと意識を向けることで不安や恐怖へと意識を向けない様にしながら突撃の合図を待つ。
距離にしてあと20メートルを切ったタイミングで前線まで来ていた一ノ瀬が合図を出した。
「まずは相手の勢いを削ぐぞ!!攻撃を開始だ!!!」
遠距離攻撃と言えるほどの距離まで届かないが、中距離攻撃を行なえる前衛組の選ばれし者たちがスキルやユニークスキルに必殺技を駆使して攻撃を開始した。
前に出て攻撃を行なう選ばれし者たちの攻撃に突撃の勢いは削がれ、先頭を走っていた吸血鬼の眷属である犬や狼たちは走る速度を落としていく。
「突撃!!!」
そうして勢いが削がれた先頭を走る眷属の犬や狼へと、前線の選ばれし者たちは一ノ瀬の指示を聞いて突撃した。
「ハッ!!」
距離を詰めた俺は眷属犬の時と同じ様に先ほどの攻撃でダメージを受けていた眷属狼の頭部へと拳を繰り出した。
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