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第10話
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後衛組から繰り出された遠距離攻撃の数々を潜り抜け、更に前衛組の最前線を通り抜けた吸血鬼世界の侵略者の1種である人間の子供や女性くらいのサイズの犬が駆け寄り牙を剥き出しにして飛び掛かって来た。
「グルガァアアア!!!!!」
スキル【武術】を取得した事で得た知識通りに俺は拳を握って腕を張りかぶる。
「ハッ!!!」
飛び掛かって来た犬の鼻面を命中する瞬間に力を込めて思い切り殴り付ける。
「ガギャイン!!?」
50キロは超えているのではと思われるほどに大きな犬だったが、そんな犬を俺の拳から繰り出されたパンチが弾き飛ばした。
犬は地面を転がりピクピクと身体を痙攣させているがまだ生きている。
そんな犬にトドメを刺すべく俺は動き出し、接近しても未だにピクピクしているだけの鼻の部分が陥没している犬の頭部を狙って足を振り下ろし力の限り踏みつければ頭蓋骨を粉砕し辺りに脳漿が飛び散った。
今さっき殺した犬以外はまだ前線を突破していないが、それも時間の問題か。それにしてもこの3人はどうしたものか。
チラッと後ろを見るとそこには頭を踏み潰して殺した俺に恐怖の表情を浮かべて見る石田、井上、佐藤の姿があった。
それだけじゃなく周りの選ばれし者たちの表情も恐怖や嫌悪などの表情を浮かべている者が多い。
コイツらはこれから自分たちも殺し殺される様な環境になる事を理解しているのだろうか?
他人の心配をするよりも自身がここまで簡単に犬の様な生き物を殺して、罪悪感を感じていない事に少しだけ落ち込んでいるが、それよりも初めての戦いの高揚感や興奮の方が強かった。
「中衛部隊に居る者たちは前線の者たちと交代だ!!前衛部隊は中衛部隊がたどり着いたら、後方へ下がり後衛組の回復部隊から回復して貰え!!」
前衛組を指揮している一ノ瀬の声が戦場全体に届く。竹中の時も思ったが一ノ瀬も指揮に関するスキルか、戦場全体に届く声から声や音に関するスキルを取得しているのかも知れない。もしくはユニークスキルを。
「3人とも、交代だそうだ。行くぞ。」
「お、おう……。」
「そ、そうだな……。」
3人に声を掛けるが石田も井上も行きたくなさそうな顔をしていた。
「嫌よ!死んじゃうわ!!」
そんな中で佐藤が声を荒げて言った言葉が辺りに響く。
「戦争なんだから分かり切ってる事だろう?殺し殺されるって。早くしろ。前線が持たなくなる!!」
それでも嫌だ嫌だと佐藤は座り込んで首を横に振っていた。そんな佐藤の様子に周りに居た戦いたくない者たちが賛同する様に声を出し始める。
そんな事をしている間にも前線の人たちが殺されたり怪我を負ったりしているのが分からないのか。このまま前線が崩壊すればそれだけより危険になる可能性が高いのに。
「もういい。佐藤は置いて、俺たちだけで行くぞ。急げ。」
急がないといけないと言うのに座り込む佐藤を連れて行くのを諦めて、俺は石田と井上に言う。
「あ……そ、それは良くないんじゃないかな?」
「佐藤を置いて行くなんて出来ない!!」
佐藤を心配する素振りを見せているがどう見ても石田も井上も前線での戦いに行きたくないから言っている様なものだった。
中衛部隊の中でも既に前線へと向かっている選ばれし者たちはいる。俺はこの3人を見限る事にした。ここ一番で戦えないコイツらに背中を預けるのは危険だろう。
3人へと俺は何も言わずに前線に向かって走っていく。そんな俺に3人の内の誰かは分からないが「あっ、おい!」と声を掛けられた気がするが、そんな声を無視して前線を抜けてこちらに向かって来ている目が血走ったボロ切れを着た西洋人風の人間と対峙する。
「ガァアアアア!!!!!!」
両手を伸ばして掴み掛かって来ようとする男の口元には血だろう真っ赤になっていた。
「グルガァアアア!!!!!」
スキル【武術】を取得した事で得た知識通りに俺は拳を握って腕を張りかぶる。
「ハッ!!!」
飛び掛かって来た犬の鼻面を命中する瞬間に力を込めて思い切り殴り付ける。
「ガギャイン!!?」
50キロは超えているのではと思われるほどに大きな犬だったが、そんな犬を俺の拳から繰り出されたパンチが弾き飛ばした。
犬は地面を転がりピクピクと身体を痙攣させているがまだ生きている。
そんな犬にトドメを刺すべく俺は動き出し、接近しても未だにピクピクしているだけの鼻の部分が陥没している犬の頭部を狙って足を振り下ろし力の限り踏みつければ頭蓋骨を粉砕し辺りに脳漿が飛び散った。
今さっき殺した犬以外はまだ前線を突破していないが、それも時間の問題か。それにしてもこの3人はどうしたものか。
チラッと後ろを見るとそこには頭を踏み潰して殺した俺に恐怖の表情を浮かべて見る石田、井上、佐藤の姿があった。
それだけじゃなく周りの選ばれし者たちの表情も恐怖や嫌悪などの表情を浮かべている者が多い。
コイツらはこれから自分たちも殺し殺される様な環境になる事を理解しているのだろうか?
他人の心配をするよりも自身がここまで簡単に犬の様な生き物を殺して、罪悪感を感じていない事に少しだけ落ち込んでいるが、それよりも初めての戦いの高揚感や興奮の方が強かった。
「中衛部隊に居る者たちは前線の者たちと交代だ!!前衛部隊は中衛部隊がたどり着いたら、後方へ下がり後衛組の回復部隊から回復して貰え!!」
前衛組を指揮している一ノ瀬の声が戦場全体に届く。竹中の時も思ったが一ノ瀬も指揮に関するスキルか、戦場全体に届く声から声や音に関するスキルを取得しているのかも知れない。もしくはユニークスキルを。
「3人とも、交代だそうだ。行くぞ。」
「お、おう……。」
「そ、そうだな……。」
3人に声を掛けるが石田も井上も行きたくなさそうな顔をしていた。
「嫌よ!死んじゃうわ!!」
そんな中で佐藤が声を荒げて言った言葉が辺りに響く。
「戦争なんだから分かり切ってる事だろう?殺し殺されるって。早くしろ。前線が持たなくなる!!」
それでも嫌だ嫌だと佐藤は座り込んで首を横に振っていた。そんな佐藤の様子に周りに居た戦いたくない者たちが賛同する様に声を出し始める。
そんな事をしている間にも前線の人たちが殺されたり怪我を負ったりしているのが分からないのか。このまま前線が崩壊すればそれだけより危険になる可能性が高いのに。
「もういい。佐藤は置いて、俺たちだけで行くぞ。急げ。」
急がないといけないと言うのに座り込む佐藤を連れて行くのを諦めて、俺は石田と井上に言う。
「あ……そ、それは良くないんじゃないかな?」
「佐藤を置いて行くなんて出来ない!!」
佐藤を心配する素振りを見せているがどう見ても石田も井上も前線での戦いに行きたくないから言っている様なものだった。
中衛部隊の中でも既に前線へと向かっている選ばれし者たちはいる。俺はこの3人を見限る事にした。ここ一番で戦えないコイツらに背中を預けるのは危険だろう。
3人へと俺は何も言わずに前線に向かって走っていく。そんな俺に3人の内の誰かは分からないが「あっ、おい!」と声を掛けられた気がするが、そんな声を無視して前線を抜けてこちらに向かって来ている目が血走ったボロ切れを着た西洋人風の人間と対峙する。
「ガァアアアア!!!!!!」
両手を伸ばして掴み掛かって来ようとする男の口元には血だろう真っ赤になっていた。
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