世界樹を巡る旅

第90話

　大剣を大きく振り抜いてきたライアンの攻撃に俺とヒスイは大きく後ろに後退して回避した

　ライアンの攻撃は地面に当たり盛大に地面に大きな亀裂が出来た

　「邪魔だぁぁ！」

　ライアンは顔に着いた粘着き蠢く水を顔に魔力を多く纏わせながら手で拭い去る

　「なんだ！あの水は！……ヌルヌルするし動いていたぞ！」

　「魔法の詳細を教えるわけないでしょう（ナビィ、実際のところあれってなんなんだ？）」

　『アレの事はハルトにも教えられません。内緒です』

　どうやらあの水の事をナビィは教えてくれないようだ

　「冒険者には切り札もあるからな。まあ良い。次でCランク試験は最後だ。次は全力ではないが一撃放つ！それを防ぐか避けて見せろ！」

　「分かりました！」

　どうやら最後の試験はライアンの攻撃を避けるのか防ぐ事が出来れば良いみたいだ

　ライアンを警戒して見ているとライアンから魔力が溢れて出てくるとその魔力が身体と剣に纏っていくのが分かる

　『ハルト、ヒスイ！今からするイメージを使用して魔法を使ってください！急いで！』

　（分かった！）

　『わ、わかったよ。ナビィ』

　ナビィから送られてきたイメージを元にヒスイが水の壁を俺が土と木の壁を交互に魔力を変換していきながら作り出していく

　「これで試験は最後だ！いくぞ！！」

　壁の向こうからライアンの声が聞こえると次の瞬間俺とヒスイの作り出した壁がどんどんと壊される音が聞こえてきた

　魔力感知で分かった事は魔力を纏った斬撃が飛んできて魔法の壁を壊しているのが分かった

　『ハルト、ヒスイ！このままではすべての壁を壊されて私たちまで来ます！あの斬撃を迎撃しますよ！』

　「やるぞ！」

　『ヒスイもがんばる！』

　『今の二人があの斬撃を迎撃するには同じ様に魔力を込めた一撃しかありません！今現在身体にある魔力を込めた一撃を放ちましょう！』

　ナビィに教えられた通りに俺は身体の中の魔力を世界樹の棒に込めていく。隣ではヒスイが一本の触手に魔力を込めているようだ

　『二人とも斬撃が来ます！！』

　ナビィがそう言った瞬間すべての壁が壊されて魔力の斬撃が向かってきた

　「うおぉぉお！！！」

　『おりゃあーーー！！！』

　魔力の斬撃に向かい俺とヒスイは迎撃する。俺とヒスイの攻撃はライアンの放った魔力の斬撃に当たった

　威力が魔法の壁で減ったのにも関わらず俺とヒスイの攻撃を与えているのに少しずつ後ろに後退いている

　「まだまだーー！！！」

　『まだーーー！！！』

　更に魔力を世界樹の棒に込めて押し込もうとすると魔力の斬撃と拮抗し始めた

　『二人ともその調子です！私も援護します！！』

　ナビィのサポートの内の幾つかが消えて魔力関係のスキルのサポートが増して少しずつ魔力の斬撃を押し返してきた

　最後にはライアンの放った魔力の斬撃の魔力が無くなって消えた

　「はぁ……はぁ……」

　『つかれたー』

　『お疲れ様です。二人とも』

　疲労困憊で俺とヒスイは地面に座ってしまった

　「おお！俺の斬撃を避けるんじゃなく防いだか！！」

　「ライアンさん！何やってるんですか！！」

　喜びながらこちらに来るライアンに向かい離れた場所から見ていたセシリアは怒りながらきた

　「やり過ぎです！！さっきのライアンさんの一撃はどう考えても上位のBランク冒険者が全力で放つような物でしたよ！！！」

　「コイツらならこれくらい防げると思ったからな」

　二人の話を聞いているとどうやら先ほどの一撃はBランクでも上位の冒険者が全力で放つ放つような物だった様だ

　「ハルト！これでお前もCランク冒険者だな！！あっははは！」

　「大丈夫ですか？ハルトさん」

　「大丈夫です」

　疲労困憊の俺とヒスイを連れて冒険者ギルドに戻ると新しく冒険者ギルドカードをCランクに変えて貰った

　「これでハルトはCランク冒険者です。これからも頑張ってくださいね」

　「はい、頑張ります」

　Cランク試験に合格して疲れた身体で大熊亭に帰った