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異世界生活の始まり
43 残されたほうのお話 2
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「違うんです、ユキとはまだそんな関係じゃないんです、だから、一緒に住むのはまだ早いというか…」
ううっ…言い訳がましいとは思う、自分でも顔が赤くなってるのがわかるからツラい…!
「ふーん、まだ、ねぇ……。いいわねぇ、若いって!」
にやにやしながらアリーナさんがこちらを見てくる。
そんなアリーナさんに苦笑しながらマスターが声をかけてくれる。
「アンナはこの町に定住するつもりなのかい?」
「定住かぁ…、そこまではまだ考えていないんですが、数ヶ月とか…しばらくはここに居るつもりです。今後どうするかをその間に決めたいですし。だから、ずっと宿に泊まるのもなぁって思って。」
マスターの質問に、私は正直に思っていることを話す。ここを出ていくかどうかは正直ユキ次第というか、なんともまだ未確定なものなのである。
マスターはふむ、と顎に手を当てて思案する。
「この店の2階に空き部屋があるんだが、そこに住んで必要な時に店番してもらうってのは可能かい?」
「え、このお店にですか?」
「ああ。ここじゃない所に単身用の貸部屋もあるが、通うには徒歩で少し距離がある。医者から、妻の体調が良くなるまでまだ少しかかると言われていてね。基本的にはさっき話した朝と昼の勤務をしてもらおうと思うが、妻の看病で店を空ける時には夜も店番をしてもらうこともあると思うんだ。その場合、夜に往復させるのは危ないからね。ああ、もちろん女の子1人で夜の店番は危ないから、そういうことが発生する時はギルドに依頼してアリーナや身元のしっかりした人をつけてもらえるようにするつもりだよ。もちろん、妻の体調が戻ったらアンナには別の部屋を紹介するよ。ここの2階には最低限の家具も揃ってるし、食事を作るキッチンは忙しくない時間帯なら店のを使っても良い。その条件でしばらく働いてもらうのはどうだろうか?」
「はい!ご迷惑でなければお願いします!」
私が即答しすぎて、マスターもアリーナさんもちょっと苦笑していたような気がする。
「ふふ、では、雇用に関しての書類は私の方から商人ギルドにもらって用意しておきますね。住まいに関しては、住み込み形態での雇用にすれば書類1枚で済みますけど、それで良いかしら?まあ、もし変更になってもすぐ手続きはできるので大丈夫ですよ。」
「そうだな、もしあの彼氏が戻ってきてすぐに同棲することになるなら2人で住める広い部屋を紹介してあげよう。夜は彼に送り迎えしてもらうことになるかもしれないけどな。その場合でも、彼が不在でアンナ1人になる時はしばらくは店の2階を使ってくれても構わないよ。元々娘が使っていたんだが、今は自宅に居るし、妻の体調が良くなってくれれば嫁に行く予定だしな。」
か、彼氏…!!マスターの言葉にまた顔が赤くなる。
「だから違う…いや、その、でも、同棲とかまだそんなんじゃないですから~。からかわないでください」
「はいはい、まだ、ね。簡単に一人暮らし決めちゃって、あっちは残念がるかもよ?ま、それも楽しくて見てる方は良いけど。」
くすくす笑いながらアリーナさんがマスターと「じゃあ、住み込みの雇用で書類貰ってきますね!」なんて話を進めてくれる。
トントン拍子に話が進むのは嬉しいんだけど、あまりからかわないで欲しい…。
それにしても、勝手に住むとこ決めて、ユキ、何か言うかな?もしかして、アリーナさんが言っていた通り残念がってくれたりするのかな…?
「じゃ、サクサクッと採取依頼終わらせて、帰りに商人ギルドで書類もらって書いちゃいましょう!行くわよー」
アリーナさんが言う通り、その日は薬草採取もサクッと終えて、アリーナさん監修ということもあり、無事見習い期間を卒業してFランクの登録までしてもらった。更には商人ギルドでも顔が利くアリーナさんのおかげで、雇用書類も思ったより簡単に受理された。
あれよあれよという間に、3日後から引越ししてカフェで働くことが決まった私。あれ、なんか、すごく展開が早いんですけど!
ううっ…言い訳がましいとは思う、自分でも顔が赤くなってるのがわかるからツラい…!
「ふーん、まだ、ねぇ……。いいわねぇ、若いって!」
にやにやしながらアリーナさんがこちらを見てくる。
そんなアリーナさんに苦笑しながらマスターが声をかけてくれる。
「アンナはこの町に定住するつもりなのかい?」
「定住かぁ…、そこまではまだ考えていないんですが、数ヶ月とか…しばらくはここに居るつもりです。今後どうするかをその間に決めたいですし。だから、ずっと宿に泊まるのもなぁって思って。」
マスターの質問に、私は正直に思っていることを話す。ここを出ていくかどうかは正直ユキ次第というか、なんともまだ未確定なものなのである。
マスターはふむ、と顎に手を当てて思案する。
「この店の2階に空き部屋があるんだが、そこに住んで必要な時に店番してもらうってのは可能かい?」
「え、このお店にですか?」
「ああ。ここじゃない所に単身用の貸部屋もあるが、通うには徒歩で少し距離がある。医者から、妻の体調が良くなるまでまだ少しかかると言われていてね。基本的にはさっき話した朝と昼の勤務をしてもらおうと思うが、妻の看病で店を空ける時には夜も店番をしてもらうこともあると思うんだ。その場合、夜に往復させるのは危ないからね。ああ、もちろん女の子1人で夜の店番は危ないから、そういうことが発生する時はギルドに依頼してアリーナや身元のしっかりした人をつけてもらえるようにするつもりだよ。もちろん、妻の体調が戻ったらアンナには別の部屋を紹介するよ。ここの2階には最低限の家具も揃ってるし、食事を作るキッチンは忙しくない時間帯なら店のを使っても良い。その条件でしばらく働いてもらうのはどうだろうか?」
「はい!ご迷惑でなければお願いします!」
私が即答しすぎて、マスターもアリーナさんもちょっと苦笑していたような気がする。
「ふふ、では、雇用に関しての書類は私の方から商人ギルドにもらって用意しておきますね。住まいに関しては、住み込み形態での雇用にすれば書類1枚で済みますけど、それで良いかしら?まあ、もし変更になってもすぐ手続きはできるので大丈夫ですよ。」
「そうだな、もしあの彼氏が戻ってきてすぐに同棲することになるなら2人で住める広い部屋を紹介してあげよう。夜は彼に送り迎えしてもらうことになるかもしれないけどな。その場合でも、彼が不在でアンナ1人になる時はしばらくは店の2階を使ってくれても構わないよ。元々娘が使っていたんだが、今は自宅に居るし、妻の体調が良くなってくれれば嫁に行く予定だしな。」
か、彼氏…!!マスターの言葉にまた顔が赤くなる。
「だから違う…いや、その、でも、同棲とかまだそんなんじゃないですから~。からかわないでください」
「はいはい、まだ、ね。簡単に一人暮らし決めちゃって、あっちは残念がるかもよ?ま、それも楽しくて見てる方は良いけど。」
くすくす笑いながらアリーナさんがマスターと「じゃあ、住み込みの雇用で書類貰ってきますね!」なんて話を進めてくれる。
トントン拍子に話が進むのは嬉しいんだけど、あまりからかわないで欲しい…。
それにしても、勝手に住むとこ決めて、ユキ、何か言うかな?もしかして、アリーナさんが言っていた通り残念がってくれたりするのかな…?
「じゃ、サクサクッと採取依頼終わらせて、帰りに商人ギルドで書類もらって書いちゃいましょう!行くわよー」
アリーナさんが言う通り、その日は薬草採取もサクッと終えて、アリーナさん監修ということもあり、無事見習い期間を卒業してFランクの登録までしてもらった。更には商人ギルドでも顔が利くアリーナさんのおかげで、雇用書類も思ったより簡単に受理された。
あれよあれよという間に、3日後から引越ししてカフェで働くことが決まった私。あれ、なんか、すごく展開が早いんですけど!
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執筆お疲れ様です。
後書きにふふっとなりました( *´艸`*)
楽しみに待ってますね(๑•ㅂ•)و✧
まるぽろさま
感想ありがとうございます!いつも励みになります。
ユキの設定については元々見切り発車的なところもあったので、今頃産みの苦しみを味わっております。見切りダメ、絶対。ですね……反省。
続きも楽しんでもらえるように書いていきますね!
更新ありがとうございます♪
書くのを止めてしまわれたかと思って心配しておりましたが、再開されたようで嬉しいです( *´艸`*)
感想ではないですが、28話の題名が再開になっているのと、神様の数え方は柱を使用した方が良いと思います(´・ノω・`)コッソリ
神様の数え方…!うっかりしていました、誤字もご指摘ありがとうございます。直しますね。
登場人物が勝手に動き出して、なかなか、進みの遅いお話ですが、こうして読んでいただけることが励みです。
このところ、私生活でちょっと忙しくしていて更新滞ってしまいましたが、スローでも完結するまでがんばっていきますね。
いつも読んでいただきありがとうございます⸜(*ˊᗜˋ*)⸝
やっとユキを登場させることが出来ましたー。アンナは今のところ
、メガネ男子を愛でたい…!って感じですかね。
読んで貰えることを励みに、頑張りますー!