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異世界生活の始まり

10 スキル

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ユキは、この1ヶ月ちょっとで、すでにギルドランクEで活動しているそうだ。月に1回ランク判定のチェックが入って、規定を満たしていたら上のランクに上がれるとのこと。
「ま、多分俺ならすぐ上にあがれるけど、別に今は名声が欲しいわけでは無いし、それなりに自由に行動できるBかCランクぐらいまで上がったら、他の町とか国に行ってもいいかなと思ってる。」
Bランクの冒険者は、隣国との入出国の手続きも楽にできるらしい。ただし、魔物関係で何かあった時は協力することが条件らしいが。
「アンナはどうすんの?この町でずっと暮らすの?」
「うーん、魔法や剣のスキルも貰ってるけど、まだ使い方わからないし、魔物モンスターと戦ったこともなくて。女神様から資金少しもらったけど、生活に困らないように働きたいとは思ってるんだ、何ができるかわからないけど。」
「なんだ、アンナは冒険者になるつもりじゃなかったんだ?スキルもらわなかったの?ちょっと、見てもいい?」
「見る?」
「人のステータス、俺見れるから。一応、アンナのは許可もらってからにしようと思ってまだ見てないよ。まあ、勝手に見るのも簡単だけどね。」
そう告げてニヤッと笑う。

「…まあ、いいですよ。人のステータス見れるのは、ユキのスキル?」
「あー、そんな感じかな。…そうだよな、人のスキル見せてもらうのに自分の開示しないのは不公平だよな。俺のスキルは、魔法創造、能力強化。あとは、後天的に能力を1つ増やせる枠。」

ああ、そういえば、3つにしたって女神様が言ってたっけ。
「魔法創造は、魔法全部使えるようにしろって言ったら、面倒だから自分で考えたものが自由に使えるようになった感じ。同じように、すぐ戦えるくらいには強くなりたいけど、レベル上げ的なのも楽しみたいなーってなってことでもらったのが能力強化。常時使用でステータスのベースが上がるのと、必要に応じて一定時間俺の各種機能が飛躍的に上がる。移動速度とか、剣技とか、魔力操作とか。最後は…」
「最後は?」
「…すっげー考えたけど、スキル選びきれなかったから、女神サンに『お願いだから、もう時間ないし、後で決めたらなんでも付けてあげるから、本当にそろそろ旅立ってください』って涙目で言われて追い出された感じ?」

バツが悪そうにチラッと上目遣いでこっち見てこなくていいから!イケメンの破壊力強いから!

…で、よく考えたら、この2つだけですっごい強い人になってるってことでは…。ああ、女神様、チートってこういうことなのね。レベル上げる楽しみって言っても、それだけ強かったら何か意味あるんだろか…。

「あれ、収納とか持ってないの?さっきの鑑定はスキルじゃ無いの?」
それを聞いたら、今度はちょっと得意げにメガネをクイっとさせた。
「え、そんなのデフォでもらえるんでしょ?って言ったら無限収納くれたよ。あと、このメガネに鑑定スキルと地図機能と言語自動翻訳付けてもらって、ついでに軍資金もお願いって言って入れてもらったのと、野営用にちょっと特別なテント欲しいなーっておねだりしたぐらい…」
「…ああ…そうなんだ…」

…女神様が、私に優しかった理由がよくわかった気がした。

◇◇◇
「アンナのスキル面白いなこの、合成/分離精製/解析のスキルなんて、やりようによったら何でもできるんじゃね?」
「そうなの?実験したいなーとしか思ってなかったけど。」
「解析スキルなんて、もしかしたら俺の鑑定みたいに使えると思うけど。」

そうか、そういえばまだスキル1つも使ったことなかったな。ユキに許可を得て、解析スキルをユキに使ってみることにした。

「えーと、『解析』の対象者を『ユキ』に設定…っと。…こ、これは…」

目の前に表示される項目。これは…。黙り込む私を不安そうに見つめるユキ。
「…なんか、やばいこと書かれてんのか?」
「…ユキ=ハーゲン、20歳、男性。」
読み取れる順に読み上げる。
「あ、普通じゃん?」
ユキはホッとしたような表情になったようだ。
「…身長179センチ、体重70キロ、体脂肪率13%、骨格筋率42%、骨密度…」
「え、ちょっ、ちょっとまてアンナ…!!ストップ!!どこまで見れんの?マジやめてください、なんか恥ずかしすぎます」

まあ、見れたとしても今のレベルでは後スリーサイズくらいなものだったけれど。…うん、自分がやられたらかなり恥ずかしいな。人を対象に見るのはできるだけやめておこう。

「解析って、その人が持っているスキル自体は見れないんだけど、持っているのをわかってて『解析』すれば、その内容がわかるみたい。レベルが上がればもっと詳細が見れるんじゃないかな?」
「すごいな…。でも、ごめん、恥ずかしいから、できれば俺対象にはやらないで…そのスキルに対しては、隠蔽もできなそう…」

うん、と返事しておくが、レベル上がったらどこまで見れるのかこっそり使ってみようかな。見ず知らずの人にやるのも抵抗あるし、自分かユキで試そう、そうしよう。

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