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貴族学校の進級試験(3)
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翌日、放課後の勉強を空き教室ではなく図書室でしようと提案してみた。
「わーい! 気分転換になるね!」
リリカが無邪気に喜んでいる。
カタリナと話し合った結果、リリカはとにかくマイヤ夫人の課題だけでも解けるようになっておけばいいと的を絞ることにした。
もう少し余裕のありそうなアデルにはさらに応用を教えるという方針で、わたしたち4人は進級試験に向けて残り1週間懸命に勉強に励んだのだった。
そして2週間後。
学校の掲示板に、学年別の席次表が張り出される日がやって来た。
1学年の生徒は全部で80名だ。そのうち上位50名の名前が得点順に記されている。
この席次表の圏外となった残りの30名は「赤点」扱いで補習・再試験となる。
その再試験でも点数が芳しくなかった場合は留年ないしは退学勧告が待っているため、みんな緊張の面持ちで掲示板の前に集まっていた。
学年1位は500点満点中、驚異の498点を取ったカタリナ・ドラールだ。
悲喜こもごもの歓声があがる中、カタリナ本人は1位を取ったことを喜ぶよりも1問凡ミスしてしまったことを大層悔しがっている。
そして2位は485点で3名の生徒が名前を連ねており、その中にドリス・エーレンベルクの名前も入っていた。
2位という席次は、これまでの最高の順位だ。
やったわ! 嬉しいっ!
拳をぐっとにぎりしめる。
ハルアカの悪役令嬢ドリスは、教師たちをせっせと買収して事前に試験問題を入手していたにも関わらず、いつも50位ぎりぎりぐらいの位置だった。
それをドリス本人は、
「要は赤点にならなければいいのでしょう? エーレンベルク伯爵家はあれこれ付き合いも多くて忙しいんですの。学業に専念できるみなさんがうらやましいわ」
とかなんとか言ってごまかしていたと記憶している。
悪だくみを考える時間があるなら、その時間を使って勉強しろ! と言いたい。
本当に赤点を回避できる得点だったのかすらあやしい。
そんな愚かなドリスが、不正をせずに学年2位! これは歓喜せずにはいられない。
アデルは手堅く25位。
最も心配していたリリカも33位という、彼女にしては上出来すぎる結果だった。
わたしたち4人は手を取り合って互いの健闘をたたえあった。
「ドリスちゃんのあの課題のおかげだよ。わたしあれがなかったら赤点確実だったはずだもん。ありがとう!」
リリカがぴょんぴょん跳ねて喜んでいる。
「ドリスさん、わたしからもお礼を言わせてください。山があんなに当たるだなんて本当に助かりました」
アデルの言う通りで、マイヤ夫人の課題と似たような問題がたくさん出題されたのだ。
「いいえ、あなたたちの努力が実を結んだのよ。おめでとう」
わたしのおかげではない。
お礼を言うとしたらむしろマイヤ夫人に……と思っているところに、横からわざとらしく驚いたような甲高い声が響いた。
「まあっ! やっぱりそういうことでしたのね!」
声の主は、ミシェル・トレーシー侯爵令嬢だ。
燃えるような赤毛が印象的なミシェルは、ハルアカでは悪役令嬢ドリスの取り巻き筆頭として登場するキャラだ。
そしてこの「進級試験イベント」の口火を切るキャラでもある。
やっぱり、予想通り来たわね。受けて立つわ!
「わーい! 気分転換になるね!」
リリカが無邪気に喜んでいる。
カタリナと話し合った結果、リリカはとにかくマイヤ夫人の課題だけでも解けるようになっておけばいいと的を絞ることにした。
もう少し余裕のありそうなアデルにはさらに応用を教えるという方針で、わたしたち4人は進級試験に向けて残り1週間懸命に勉強に励んだのだった。
そして2週間後。
学校の掲示板に、学年別の席次表が張り出される日がやって来た。
1学年の生徒は全部で80名だ。そのうち上位50名の名前が得点順に記されている。
この席次表の圏外となった残りの30名は「赤点」扱いで補習・再試験となる。
その再試験でも点数が芳しくなかった場合は留年ないしは退学勧告が待っているため、みんな緊張の面持ちで掲示板の前に集まっていた。
学年1位は500点満点中、驚異の498点を取ったカタリナ・ドラールだ。
悲喜こもごもの歓声があがる中、カタリナ本人は1位を取ったことを喜ぶよりも1問凡ミスしてしまったことを大層悔しがっている。
そして2位は485点で3名の生徒が名前を連ねており、その中にドリス・エーレンベルクの名前も入っていた。
2位という席次は、これまでの最高の順位だ。
やったわ! 嬉しいっ!
拳をぐっとにぎりしめる。
ハルアカの悪役令嬢ドリスは、教師たちをせっせと買収して事前に試験問題を入手していたにも関わらず、いつも50位ぎりぎりぐらいの位置だった。
それをドリス本人は、
「要は赤点にならなければいいのでしょう? エーレンベルク伯爵家はあれこれ付き合いも多くて忙しいんですの。学業に専念できるみなさんがうらやましいわ」
とかなんとか言ってごまかしていたと記憶している。
悪だくみを考える時間があるなら、その時間を使って勉強しろ! と言いたい。
本当に赤点を回避できる得点だったのかすらあやしい。
そんな愚かなドリスが、不正をせずに学年2位! これは歓喜せずにはいられない。
アデルは手堅く25位。
最も心配していたリリカも33位という、彼女にしては上出来すぎる結果だった。
わたしたち4人は手を取り合って互いの健闘をたたえあった。
「ドリスちゃんのあの課題のおかげだよ。わたしあれがなかったら赤点確実だったはずだもん。ありがとう!」
リリカがぴょんぴょん跳ねて喜んでいる。
「ドリスさん、わたしからもお礼を言わせてください。山があんなに当たるだなんて本当に助かりました」
アデルの言う通りで、マイヤ夫人の課題と似たような問題がたくさん出題されたのだ。
「いいえ、あなたたちの努力が実を結んだのよ。おめでとう」
わたしのおかげではない。
お礼を言うとしたらむしろマイヤ夫人に……と思っているところに、横からわざとらしく驚いたような甲高い声が響いた。
「まあっ! やっぱりそういうことでしたのね!」
声の主は、ミシェル・トレーシー侯爵令嬢だ。
燃えるような赤毛が印象的なミシェルは、ハルアカでは悪役令嬢ドリスの取り巻き筆頭として登場するキャラだ。
そしてこの「進級試験イベント」の口火を切るキャラでもある。
やっぱり、予想通り来たわね。受けて立つわ!
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