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短縮ルートのフラグを折る(4)

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 入学式が滞りなく終わり、自邸へと帰る馬車の中でのこと。
 わたしは、さいはめルートを阻止できたことに大いに満足していた。
 カタリナがヒロインかどうかなんて知ったこっちゃない。
 ハルアカのガチプレーヤーとしての知識を駆使してドリスの破滅フラグを折りまくっていけばいいだけだ。
 
 それはいいとして、正面に腰かけるオスカーの様子がどうもおかしい。
 こちらをチラチラうかがいながら何か言いたそうな顔をしている。

 破滅フラグを回避できたことで、口元をだらしなく緩ませていたかもしれない。
 それをどう注意しようか迷っているんだろうか。
 
「オスカー? どうかした?」
 いつまでも言わないから、すまし顔でこっちから促してみた。

 ようやくオスカーが、神妙な顔で口を開いた。
「ドリスお嬢様は……私との婚約の話を断ったそうですね」

 なんだ、そのことか。
 もしかして不満なの? あんなに嫌がっていたくせに!

「そうよ。前も言ったけど、わたしを大切にしてくれる人と結婚したいの。オスカーは、わたしのことなんて好きじゃないでしょう?」

 どうぞカタリナと結婚してちょうだい。
 公爵家の婿養子になれば、お金に困ることはないはずだわ。

「パパがオスカーを跡継ぎにって言ったことは知ってるけど、気にすることなんてないのよ? わたしが別の婿を探すから、どうぞご心配なく」

 この話はこれでおしまいよ! という意思表示として、プイッ横を向き窓の外の景色を眺めた。

 視界の端で、オスカーがそっと目を伏せるのが見えた。
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