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旦那様へのお仕置きを妄想してみました②
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いけないことをしている大人にはお仕置きが必要——それって旦那様にも当てはまることなんじゃなの?
それに気づいたのは、逃げるように夜会を後にして、ふたりそろって馬車に乗り込んだ後だった。
さっきは旦那様の力を借りて衝撃波を出したけど、あれってひとりでできないかしら。
エルさんはイマジネーションが大事だっていつも言ってるわよね。
人差し指を立てて見つめながらイメージしてみる。
指先からドン! 指先からドン! 指先から……。
「待て、何をやってる」
横から低い声が聞こえたと同時に、人差し指を掴まれた。
「うわっ!」
また暴発するかと焦ったけれど、手袋をはめ直した旦那様の手からはさっきのようなビリビリは伝わってこない。
「馬車の中で魔法を使おうとしていただろう? 馬が驚くからやめろ」
「大丈夫です。わたくしの魔法がたいしたことないのは実家から聞いてらっしゃるでしょう? ただちょっとイメージトレーニングをしていただけですから。さっきの『お仕置きドン!』を自力で出せたらいいなあって。まあ、無理でしょうけどね、わたし土魔法以外は使えないので」
旦那様がプッと笑う。
「魔法に妙な名前を付けないでくれ」
そして手袋を外すと、わたしの手を包み込むように握った。
エルさんのような熱さはないかわりに、旦那様の手からはビリビリと痺れるような感覚が伝わってくる。
「素手で誰かに触れると静電気がひどいから、手を繋ぐこともできないんだ。でもヴィクトリアは大丈夫そうだな」
わたしに直接触れるのが嫌なわけではなかったのね……?
旦那様が常に手袋をはめている理由を初めて知った。
「旦那様は、攻撃的な魔法がお得意なんですよね?」
わたしの質問に、旦那様は首を僅かに傾げて微笑む。
「魔法はあまり好きじゃない」
こんなポテンシャルを持っていながらなんて贅沢な人なんだろうか。「得意ではない」ではなく「好きではない」と言うところが憎たらしい。
「魔法科への入学を説得するのが大変だったとお義母様から聞きました」
「ああ、そんなこともあったな。騎士科に進みたかったんだ。同級生たちと思い切り剣を交えてみたかった」
昔を懐かしむように、旦那様のアイスブルーの瞳は遠くを見ている。
「旦那様は、心が折れかかったご経験がありますか?」
魔法科を優秀な成績で卒業したと聞く旦那様は、どんなことでも器用にそつなくこなしてしまいそうだ。
鈍くさくて何もかも上手くいっていないわたしとは、あまりにも違いすぎる。
だから聞いてみたくなった。
挫折を知っているかと。
「あるよ。何度もある」
即答して苦笑する様子に驚く。
容姿、家柄、能力、全て申し分なくて恵まれた環境で育ち、妻だけでなく愛人までいるこの人が何度も心が折れかかったことがあるだなんて、嘘でしょう?
わたしの心のつぶやきを見透かしたように旦那様が続ける。
「魔法科に進学しろと両親から強制されたこともそうだ。家出して冒険者になろうかと思ったが、ダンジョン案内人を騙る悪い男にぼったくられた挙句、それを親切に助けてくれようとした男まで実はグルで、なけなしの全財産を奪われて家に帰るしかなかった」
あらあら、旦那様にそんな過去が!?
いまのマーシェスダンジョンでこういった悪行を厳しく取り締まっているのは、実体験があったからこそなのかもしれない。
「ひとりでは何も出来ないって思い知らされて仕方なく親の言う通り魔法科の進学を決めた」
でも、と旦那様が続ける。
「魔法科を優秀な成績で卒業したら、その後はしばらく自由にさせろと約束したんだ。だから卒業後は就職も家業の手伝いもせずに何年も領地で剣を振り回して暴れまわっていた」
ぼったくられた話をしている時は目が座り気味で怖い顔をしていた旦那様が、笑顔に戻る。
「それはさぞや目立っていたでしょうね」
「ああ、目立っていたな」
「とんだ放蕩息子じゃないですか」
「そうだな」
悪びれもせずに認める様子が可笑しくて、思わず笑ってしまった。
そのまま会話が途絶えて、しばらく無言のまま馬車に揺られていた。
でも、ずっとわたしの手を握ったままの旦那様は、まるで優しく撫でるように親指を動かしながら何かを言うタイミングを計っているようだ。
なにか言いたいことがあるんだろうかと待っているうちに、前を向いたままの旦那様が静かに口を開いた。
「もしも何か行き詰ったことがあって心が折れそうになっているのなら、遠回りしたり一旦立ち止まってみても損はないと思う。ムキになればなるほど上手くいかないものだ」
さっきわたしが唐突に心が折れかかった経験はあるかと質問したから、旦那様はなにかを察したのかもしれない。
ダンジョンの最下層に到達してラスボスに挑もうとしているが、あれこれ行き詰っているということを正直に話して相談できたらいいのに。
遠回りか……確かにもう急ぐ必要はないのかもしれない。
ロイさんはもう戻ってこないのだし、身バレの危機を抱えながらこんな風に綱渡りでダンジョン攻略を急ぐ理由が見当たらない。
黙り込むわたしを慰めるように、旦那様はずっと手を握り続けてくれた。
それに気づいたのは、逃げるように夜会を後にして、ふたりそろって馬車に乗り込んだ後だった。
さっきは旦那様の力を借りて衝撃波を出したけど、あれってひとりでできないかしら。
エルさんはイマジネーションが大事だっていつも言ってるわよね。
人差し指を立てて見つめながらイメージしてみる。
指先からドン! 指先からドン! 指先から……。
「待て、何をやってる」
横から低い声が聞こえたと同時に、人差し指を掴まれた。
「うわっ!」
また暴発するかと焦ったけれど、手袋をはめ直した旦那様の手からはさっきのようなビリビリは伝わってこない。
「馬車の中で魔法を使おうとしていただろう? 馬が驚くからやめろ」
「大丈夫です。わたくしの魔法がたいしたことないのは実家から聞いてらっしゃるでしょう? ただちょっとイメージトレーニングをしていただけですから。さっきの『お仕置きドン!』を自力で出せたらいいなあって。まあ、無理でしょうけどね、わたし土魔法以外は使えないので」
旦那様がプッと笑う。
「魔法に妙な名前を付けないでくれ」
そして手袋を外すと、わたしの手を包み込むように握った。
エルさんのような熱さはないかわりに、旦那様の手からはビリビリと痺れるような感覚が伝わってくる。
「素手で誰かに触れると静電気がひどいから、手を繋ぐこともできないんだ。でもヴィクトリアは大丈夫そうだな」
わたしに直接触れるのが嫌なわけではなかったのね……?
旦那様が常に手袋をはめている理由を初めて知った。
「旦那様は、攻撃的な魔法がお得意なんですよね?」
わたしの質問に、旦那様は首を僅かに傾げて微笑む。
「魔法はあまり好きじゃない」
こんなポテンシャルを持っていながらなんて贅沢な人なんだろうか。「得意ではない」ではなく「好きではない」と言うところが憎たらしい。
「魔法科への入学を説得するのが大変だったとお義母様から聞きました」
「ああ、そんなこともあったな。騎士科に進みたかったんだ。同級生たちと思い切り剣を交えてみたかった」
昔を懐かしむように、旦那様のアイスブルーの瞳は遠くを見ている。
「旦那様は、心が折れかかったご経験がありますか?」
魔法科を優秀な成績で卒業したと聞く旦那様は、どんなことでも器用にそつなくこなしてしまいそうだ。
鈍くさくて何もかも上手くいっていないわたしとは、あまりにも違いすぎる。
だから聞いてみたくなった。
挫折を知っているかと。
「あるよ。何度もある」
即答して苦笑する様子に驚く。
容姿、家柄、能力、全て申し分なくて恵まれた環境で育ち、妻だけでなく愛人までいるこの人が何度も心が折れかかったことがあるだなんて、嘘でしょう?
わたしの心のつぶやきを見透かしたように旦那様が続ける。
「魔法科に進学しろと両親から強制されたこともそうだ。家出して冒険者になろうかと思ったが、ダンジョン案内人を騙る悪い男にぼったくられた挙句、それを親切に助けてくれようとした男まで実はグルで、なけなしの全財産を奪われて家に帰るしかなかった」
あらあら、旦那様にそんな過去が!?
いまのマーシェスダンジョンでこういった悪行を厳しく取り締まっているのは、実体験があったからこそなのかもしれない。
「ひとりでは何も出来ないって思い知らされて仕方なく親の言う通り魔法科の進学を決めた」
でも、と旦那様が続ける。
「魔法科を優秀な成績で卒業したら、その後はしばらく自由にさせろと約束したんだ。だから卒業後は就職も家業の手伝いもせずに何年も領地で剣を振り回して暴れまわっていた」
ぼったくられた話をしている時は目が座り気味で怖い顔をしていた旦那様が、笑顔に戻る。
「それはさぞや目立っていたでしょうね」
「ああ、目立っていたな」
「とんだ放蕩息子じゃないですか」
「そうだな」
悪びれもせずに認める様子が可笑しくて、思わず笑ってしまった。
そのまま会話が途絶えて、しばらく無言のまま馬車に揺られていた。
でも、ずっとわたしの手を握ったままの旦那様は、まるで優しく撫でるように親指を動かしながら何かを言うタイミングを計っているようだ。
なにか言いたいことがあるんだろうかと待っているうちに、前を向いたままの旦那様が静かに口を開いた。
「もしも何か行き詰ったことがあって心が折れそうになっているのなら、遠回りしたり一旦立ち止まってみても損はないと思う。ムキになればなるほど上手くいかないものだ」
さっきわたしが唐突に心が折れかかった経験はあるかと質問したから、旦那様はなにかを察したのかもしれない。
ダンジョンの最下層に到達してラスボスに挑もうとしているが、あれこれ行き詰っているということを正直に話して相談できたらいいのに。
遠回りか……確かにもう急ぐ必要はないのかもしれない。
ロイさんはもう戻ってこないのだし、身バレの危機を抱えながらこんな風に綱渡りでダンジョン攻略を急ぐ理由が見当たらない。
黙り込むわたしを慰めるように、旦那様はずっと手を握り続けてくれた。
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