明新館職員連続殺人事件

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N県警刑事課の富井は、今明新館の前にいる。
事の発端は、「今日の14時、明新館二階の
冷却庫で、頭を何らかの鈍器で殴られ、背中を
刺されて死亡している男性を発見した。」と、
この施設の職員から通報があった。
これで、この施設で
起こった事件は8件目となる。そろそろ、
公開捜査となるはずだ。だが、何故今まで
7人も犠牲になっているのにも関わらず、
報道されなかったのが不思議でならない。
何かの圧力がかかっているのだろうか。
それとも、あまりに残虐で報道規制が
かかっているのかもしれない。
そんな事を考えながら、煙草を吸う。
正面から、部下の杉森がやってきた。
スポーツ刈りが特徴的だ。 
「富井警部、遺体の搬出終わりました。」
「ご苦労様、第一発見者は?」
「第一ホールのエレベーター近くに
待機してもらっています。」
「わかった。ご苦労様。」
そう言い残し、明新館の中に入っていった。
中に入ると杉森が言っていた通り、第一発見者と思わしき男女二人がいた。
その二人が近づくと、二人は
気付き富井に会釈した。
「どうも、初めまして。N県警刑事課の富井と
申します。大変でしたね。
早速ですが、状況を再度ご説明願います。」
「あぁ、はい。」
美緒が、答える。
そして、富井に今日自分達がした事、
見た光景を簡潔に説明した。
「なるほど。ご協力ありがとうございます。
今日は、お帰り頂くことは出来ません。
他の方々にも、そうお伝え下さい。
何か困ったことがあったら、外に警官が
いるので、声をかえて下さい。
それでは、失礼します。」
そう言い富井は、明新館を後にした。
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