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魔王VS魔王?

第37話 吸血鬼と女装終了

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更新遅れて申し訳ありませんm(_ _)m

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「【火炎豪雨フレイム・レイ】!」
「【聖光散弾ホーリー・ショット】!」
「はあっ!」


フレイアが、シャロンが、そして夏樹が各々に攻撃を仕掛ける。その先には


「フフフ、この程度でワタシに傷をつけるなどと考えていたとは・・・全くもって不愉快ですねぇ。」
「フッ!」
「おっと危ない。」


ツヤのある黒い髪、紅く鋭い眼光。(偽)魔王幹部こと吸血鬼ハルファス。


夏樹達がいるのは、ミストがアガレアを吹き飛ばして出て行った廊下のすぐ近くにあった部屋である。扉は開かれておらず、壁の一部が焼け焦げて大穴を開けている。フレイアが魔法でぶち抜いてしまったのであろう。


そして肝心の吸血鬼だが・・・攻撃が当たらない。どんなに速く動こうとも、どんなに完成度の高い連携をとろうとも、まるで初めから動きを予測されていたかのように躱されてしまう。夏樹の顔には焦燥が浮かんでいた。そして


「まんまと俺らに押し付けやがってええええ!!後で覚えてろよアガン!!!」


・・・詳しい説明といこう。




_______________





たった今まで戦っていた相手をミストに吹っ飛ばされ、唖然呆然としていた夏樹。そしてフレイアとシャロン。と、


「お前ら、もうすぐ此処に追加で敵が来るぞ。状況と魔力から言ってたぶんこいつが吸血鬼だろうな。」
「なに!?」
「「!?」」


レプトと話し込みながらも【探索サーチ】で警戒を続けていたアガンからの報告に、漸く我に返った夏樹。ひとまずは迎撃態勢を整えるべきであろう、と思考する。


「わかった。俺とアガンで前衛、シャロンは後方で支援と回復を。フレイアも俺達の後ろでどんどん魔法攻撃してくれ。絶対に2人を傷つけさせたりしないから!」
「はい、信じておりますよ勇者様。」
「・・・ふん。」


そこはかとなくベタでキザな王道を突っ走る夏樹であった。フレイアの返しは、言葉こそぶっきらぼうなものであるものの、逸らした頬が赤くなっているので、割とまんざらでもないのだろう。


そして4人は心を1つに強敵と対峙ーーー


「悪いが、俺はミストの所に行ってくる。あのままじゃあ色々と心配だからな。」


ーーーしなかった。


「「「え?」」」
「ん?」


「いやいやいや、今の皆で力を合わせて敵に立ち向かうところだろ!?」
「別に俺までいる必要はねぇだろ。だいたい、そんな事したら4対1だぞ?勇者パーティーが4人で吸血鬼1体をリンチするってどうなんだよ?」
「う、確かに・・・。」


至極当然だが気づきにくい事を指摘するアガンに、夏樹も反論する事ができない。が、


『吸血鬼に構ってる間にミストに何かあったらあいつが何かしでかしたらどうすんだよ!!』


・・・思いっきり建前であった。そもそも、アガンは自分が生きるためならばそれくらいは全くもって気にしない人種だ。
アガン魔王のオカン的にはミストの方が優先順位が上だった、それだけである。


「そんじゃあ行ってくるから、こっちは頼んだぞ。」
「ちょっと待てえぇぇぇぇ!!!」
「お、おう。」


そのまま無情にも夏樹達を置いて行こうとするアガンであったが、夏樹の、いくらか泣きの入った叫びには流石に足を止めた。


「せめて俺の服をどうにかして行ってくれ!この格好で闘うとか俺の精神が死ぬ!」
「あ・・・。」


そう、夏樹は未だフリフリロリータ服のままなのであった。いくらなんでもこれでは締まりが無い、無さ過ぎる。


「悪い、違和感が無くてな・・・忘れてた。」
「グハァ!?」


夏樹の顔は中性的な方だったらしい。その女装は、ミノ兄弟(主に弟)が見破れない程度には高い完成度を誇っていた。


「ほら、後で返してくれよ?」
「恩にきる!」


魔法倉庫インベントリから取り出した服を放るアガン。夏樹の魔法倉庫|《インベントリ》は魔王様の不思議な魔法超貴重アイテムによって、現在使用不可である。


「・・・残念です。(ボソッ)」
「シャロンさんんん!?」


「ああ、忘れるとこだった。これも持ってけ!」
「お、」


【ドスッ】


「う・・・。」


服に続き、何かを投げて行ったアガン。夏樹の顔の横には・・・


「普通に渡せよおぉぉぉ!!」


壁に深々と突き刺さった、紅い剣があった。
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