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フリューゲルの森編
クリフォト
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夜にはギルター達も帰ってきたので、厨房を借りて適当にご飯を作ってその日は休んだ。
もちろん、食材は自前のだ。
翌日、借りた部屋を綺麗に片づけた後、里を出た。
巨木へと向かって森へと入った。
最初こそ瘴気が薄く見通しが良かったのだが、巨木に近づいていくにつれて濃くなり、今では視界十メートル以下だ。
「あとどれ位で着くんだか」
「これじゃどこから魔物が出てくるかわからないねー」
『主よ、右方より敵だ』
「あいよ」
返事をした直後右側から木に覆われた熊が現れた。
「ホワイトベアが寄生されてるのか」
大鎌を下から振り上げて、顎下から脳天にかけて鎌の突き刺す。すぐに引き抜いて血を払う。熊は重い音を立てて地面へと倒れた。
「いやぁ、頼りになるな。ギルは」
『耳がいいからな!』
と、どや顔狼さん。
『上空より戻りました。あの巨木まで直線であと数百と言ったところですね』
「了解。もう少しか」
「早く行こうよ。ここ空気悪すぎぃ」
「そうだな」
確かに空気が悪い。少し急ぎ足で向かうとしよう。
その後も、道中寄生されたホワイト種に襲われるも、軽く屠っていく。
少し驚いたのは、心臓を潰しただけじゃ死ななかったことだ。寄生植物は、対象の脳が核のようで、脳が死ねば死ぬ。最初の狼も、首を絞めたことによって脳が死んだからだろう。
わかればそうビビることも無く、淡々と頭を斬り落として前へと進んだ。
「できれば、お前らも働いてほしいんだがな」
「マスターが働くしいいじゃね?」
「ヘイトが全部ノアに向いてますし」
『私は来る方向を教えている』
『私は向かう方向を教えてますので』
「はぁ」
二匹はいいとして、二人は働けよ。
来るもの拒まず狩り殺すこと十分ちょい。あたりの木が黒くなってきた。
巨木が近いようだな。
「すげぇな。本当に黒くなってのな」
近づいて観察。
どうやら内側から黒くなっているようだ。
「土から汚染されているみたいですね」
隣でリーリスが土を触りながら言う。
なるほど。汚染自体は土壌か。
「魔力が多いと作物がよく育つといいますが、ここまで多量に含まれていると汚染されて枯れてしまいますね」
「じゃあ、汚染されたホワイトウッドは枯れるのか?」
「いえ、おそらくあの龍からいただいた【浄化の水晶】を用いれば枯れることはないでしょう」
「へぇ。まあ、まずは原因であろう巨木が先だな」
「ええ」
【浄化の水晶】を使うにしても今じゃないな。
さてはて、巨木には何が待っているのか。
黒く染まったホワイトウッドを観察したところから五分位。漸く巨木へとたどり着いた。巨木は直径五十メートル、高さ約五百メートル程だろうか? かなりの大きさだ。世界樹程ではないがな。
幹は周りのホワイトウッドから色を奪ったように白く、根っこは黒く染まっている。
瘴気は根から出ているようで、巨木の根本付近はより濃く靄が発生していた。
この異様な光景は、美しくはないが、なんか危険な香りがして俺としては好き。なのでスクショ。こう、光と影、みたいなこの感じ。俺の中の中二心がとっても疼く。
『上空から巨木の周りを見てきましたが、上の方は枝も葉も全てが真っ白でした。それと・・・』
偵察から戻ってきたフィズは報告を上げ、言いよどむ。
「どうした?」
『わからないのか? 主よ』
俺がフィズに聞き返すと、返してきたのはギルターだった。
彼に視線を落とすと、彼は毛を逆立て巨木に対して牙剥いて威嚇をしていた。
「ま、マスター! あれ、あれ!」
今度はカプリスが声を上げて巨木を指さす。
巨木を見ると、根っこがうねうねと蠢いていた。なんだあれ。
「え? まさか魔物なのか。これ!?」
『ああ、そのまさかだ。主よ』
『はい。上空で攻撃されましたし』
「まぁじかよー」
樹霊種。トレントと呼ばれる木の化け物。
こいつはそのトレントの一種なのだろうけど。
「デカすぎませんかねぇ・・・」
燃やそうにも簡単には燃えなさそうだな。どう処理してやろうか。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございます!
巨木さんは化け物でした。
果たしてノアは巨木を燃やせるのだろうか?
もちろん、食材は自前のだ。
翌日、借りた部屋を綺麗に片づけた後、里を出た。
巨木へと向かって森へと入った。
最初こそ瘴気が薄く見通しが良かったのだが、巨木に近づいていくにつれて濃くなり、今では視界十メートル以下だ。
「あとどれ位で着くんだか」
「これじゃどこから魔物が出てくるかわからないねー」
『主よ、右方より敵だ』
「あいよ」
返事をした直後右側から木に覆われた熊が現れた。
「ホワイトベアが寄生されてるのか」
大鎌を下から振り上げて、顎下から脳天にかけて鎌の突き刺す。すぐに引き抜いて血を払う。熊は重い音を立てて地面へと倒れた。
「いやぁ、頼りになるな。ギルは」
『耳がいいからな!』
と、どや顔狼さん。
『上空より戻りました。あの巨木まで直線であと数百と言ったところですね』
「了解。もう少しか」
「早く行こうよ。ここ空気悪すぎぃ」
「そうだな」
確かに空気が悪い。少し急ぎ足で向かうとしよう。
その後も、道中寄生されたホワイト種に襲われるも、軽く屠っていく。
少し驚いたのは、心臓を潰しただけじゃ死ななかったことだ。寄生植物は、対象の脳が核のようで、脳が死ねば死ぬ。最初の狼も、首を絞めたことによって脳が死んだからだろう。
わかればそうビビることも無く、淡々と頭を斬り落として前へと進んだ。
「できれば、お前らも働いてほしいんだがな」
「マスターが働くしいいじゃね?」
「ヘイトが全部ノアに向いてますし」
『私は来る方向を教えている』
『私は向かう方向を教えてますので』
「はぁ」
二匹はいいとして、二人は働けよ。
来るもの拒まず狩り殺すこと十分ちょい。あたりの木が黒くなってきた。
巨木が近いようだな。
「すげぇな。本当に黒くなってのな」
近づいて観察。
どうやら内側から黒くなっているようだ。
「土から汚染されているみたいですね」
隣でリーリスが土を触りながら言う。
なるほど。汚染自体は土壌か。
「魔力が多いと作物がよく育つといいますが、ここまで多量に含まれていると汚染されて枯れてしまいますね」
「じゃあ、汚染されたホワイトウッドは枯れるのか?」
「いえ、おそらくあの龍からいただいた【浄化の水晶】を用いれば枯れることはないでしょう」
「へぇ。まあ、まずは原因であろう巨木が先だな」
「ええ」
【浄化の水晶】を使うにしても今じゃないな。
さてはて、巨木には何が待っているのか。
黒く染まったホワイトウッドを観察したところから五分位。漸く巨木へとたどり着いた。巨木は直径五十メートル、高さ約五百メートル程だろうか? かなりの大きさだ。世界樹程ではないがな。
幹は周りのホワイトウッドから色を奪ったように白く、根っこは黒く染まっている。
瘴気は根から出ているようで、巨木の根本付近はより濃く靄が発生していた。
この異様な光景は、美しくはないが、なんか危険な香りがして俺としては好き。なのでスクショ。こう、光と影、みたいなこの感じ。俺の中の中二心がとっても疼く。
『上空から巨木の周りを見てきましたが、上の方は枝も葉も全てが真っ白でした。それと・・・』
偵察から戻ってきたフィズは報告を上げ、言いよどむ。
「どうした?」
『わからないのか? 主よ』
俺がフィズに聞き返すと、返してきたのはギルターだった。
彼に視線を落とすと、彼は毛を逆立て巨木に対して牙剥いて威嚇をしていた。
「ま、マスター! あれ、あれ!」
今度はカプリスが声を上げて巨木を指さす。
巨木を見ると、根っこがうねうねと蠢いていた。なんだあれ。
「え? まさか魔物なのか。これ!?」
『ああ、そのまさかだ。主よ』
『はい。上空で攻撃されましたし』
「まぁじかよー」
樹霊種。トレントと呼ばれる木の化け物。
こいつはそのトレントの一種なのだろうけど。
「デカすぎませんかねぇ・・・」
燃やそうにも簡単には燃えなさそうだな。どう処理してやろうか。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございます!
巨木さんは化け物でした。
果たしてノアは巨木を燃やせるのだろうか?
応援ありがとうございます!
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