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エイブレイル神聖国編

護衛依頼 ③

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 面白いことにこの世界ではフラグは回収されるらしい。
 何もなければなんて思ったあのときの俺を殴りたい気分である。

「GiYaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaッ!!」

 そんな事を、馬車を追いかけてくるドラゴンを見ながら思う。

「いやあああああああああああああああっ!! ドラゴン!? ドラゴンナンデェェェッ!?」

 何処かで聞いたことがある台詞を叫びながら馬車を走らすアルフ。
 ちゃっかり馬車に重量軽減の魔術と、馬に強化のバフをかけてる辺り、中々の術士と見てとれる。
 はっは! がんばれっ! 

「マスター、さすがにまずくない?」
「ふむ、そうだな」

 ドラゴンって言ってもレベル1000ちょっとのレッドドラゴンだから、そこまで危険って訳ではないんだよなぁ。
 確かに、ただの商人なら危険すぎる生き物なんだけども。

「よっと」

 馬車から飛び降りて迎え撃つ。
 今回使うは大盾。
 レッドドラゴンが俺を食い殺そうと低空飛行で突撃してきたところをジャストガード。
 綺麗に決まったガードによりレッドドラゴンは怯んだので、その隙を突いて、盾を振りかぶり殴る。
 ゴッシャア! と言う潰れた音が辺りに響き渡る。

「終わったぞー」

 ちょっと先で止まってこちらを見ていた二人と二匹に手を振る。
 すると、彼らは方向転換をしてこちらに来てくれた。

「す、凄いですね。ノワールさん」
「まぁな」

 謙遜はしないぞ。傲りでもない。
 一プレイヤーとして当然の結果なだけだ。
 やり方は違えど、カプリスやレグルスだって簡単に殺せるからな。
 レグルスにやらせたらこの辺一帯が吹き飛びそうだが・・・。あの爺、一々規模がでかいからな。
 敵一体にたいして範囲魔術を使うようなアホんだらだからな。

「アルフ、これいるか?」

 レッドドラゴンの死骸を指差しながら聞く。
 こいつ程度の素材はアイテムボックスの肥やしにしかならないので、欲しいならあげるつもりだ。

「いえ、でも、倒したのはノワールさんですし・・・」

 欲しいんだな。

「俺達には必要ないからな。必要としているならやるよ」
「ほんとですか? 後で返してって言っても返しませんよ!?」
「ああ」

 レッドドラゴンなんていらんわボケぇ。

「ありがとうございます。では、解体しましょうか」
「ああ。そうだ、肉は少し分けてくれ」
「わかりました」

 さて、久々の解体タイムだ。


ピコン
caprice:解体の時間だよ!


 ジャックか。
 解体自体はたまーにやるが、それは食料のため。
 素材のためにやるのはホントにゲーム以来かもしれないな。
 素材は、傷が付くと価値が大幅に下がってしまうので、慎重にやる必要がある。ゲームならサクッと終わってしまう作業だが、現実となるとやっぱりめんどくさいなぁ。と。

 割りと巨体なレッドドラゴンの解体には一時間くらいかかった。
 今回は下位竜の中でレアにあたる竜玉が見つかったので、アルフは大喜びだ。
 内臓系も薬師には高く売れるので魔術で凍らせて保存。
 肉は少し分けて貰い、他は同じく凍らせて保存した。

「いやぁ~! 本当にありがとうございます!」
「おう」

 ホクホク顔のアルフ。
 喜んで貰えたのなら何よりだな。

「うへぇー、血濡れだー」
「ですね。もう少し行ったところに泉があるのでそこで、洗い流しましょう」
「ああ」

 今度から解体は解体屋に頼もう。
 金ならあるし、一々血濡れになっても嫌だしな。
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