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王都編

神と次の目的

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 レン君と戦ったあと、俺と倉科さんは門の外へと来た。

「ところでマスター。この子は?」
「ああ、紹介してなかったな。ギルターだ」
「ギルター。いい名前貰いましたね」

 屈んでギルの頭を撫でる倉科さん。

「種族はオリジンウォルフだ」
「ふぁっ!?」
「俺の従魔だ」
「ふぁっ!?」

 面白い反応をありがとう。

「危険はないのですか?」
「本人に聞いてみろ」
「本人?」
『危害を加える気はない。主人が怖いからな!』

 胸を張って言うことなのだろうか。

ピコン
caprice:シャベッタアアアアアアアアwwwwww

「マスターが怖い、ですか?」
『何百何千と殺されたら怖い以外ないだろ』
「・・・記憶があるんですね」
「ゲーム時代にいたNPC達は皆ゲーム時代の記憶を持っているらしい。まぁゲーム時代の人族のNPCはもういないけどな」

 寿命でな。

「なるほど。そう言えば、今はあの時から150年経ってるらしいですね」
「ああ。だから当時のNPC達は皆寿命で死んだよ。エルフ達ならもしかしたら生きてるかもしれないが」
「エルフの里は綺麗な場所ですからね。そのうち行ってみましょう」
「ああ。ところで、一つ聞きたいことがあるのだが、いいか?」
「はい。なんでしょうか?」
「勇者召喚と言えば、異世界間を移動時、自動的に力を授けられる場合と、神から直接授けられる場合があるとラノベで読んだが、倉科さん達はどちらだった?」

 この質問の意図は神と言う存在がいるのかどうか。それと、その神からこの世界のことを何か聞いていないかを聞きたいからだ。

「神から直接の方だよ」

 当たりの方だった。

「その神から何かこの世界について聞いていないか?」
「たとえば?」
「そうだな。なぜプレイヤー達がこの世界に戻されているのかとか」
「うーん。私が聞いたのは神様の謝罪と力についてと、それくらいですよ」
「そうか。あと、その神は男と女。どちらだった?」
「女神様です」

 ならばあの像は神の姿で、本は神の書いた物と言うことでいいだろう。
 くっ、何か情報が得られると思ったが、やはりあの忌々しい本を読みに行かなければならないのか・・・!

「ありがとう」
「いえいえ。オリジンにすらも怖がられるマスターにお礼を言われる程大した情報じゃないですし。と言うかオリジンを従えるマスターとか完全に敵無しじゃないですかやーだー」

 今思うと、世界の敵であるオリジンを従えるって、俺その内世界の敵になるんじゃね? 

「そう言えば、近々天空ダンジョンがグレイス共和国との国境付近を通るらしいですよ」
「天空ダンジョンか」

 天空ダンジョンはオリジンバードが眠るダンジョンだ。
 常に移動しているため、なかなか見つけるのが大変だった記憶がある。

「次狙うは天空ダンジョンだな。共和国に行こう」
「決まりですね」
「だが、その前にカードを作らないと」
「持ってるじゃないですか」
「俺のカードだと色々めんどくさいことになるからな。レグルスに頼めば何とかしてくれる筈だ」

 組合のトップなのだから偽装カード位ちょちょいと作ってくれるだろう。
 いや、作らせる。

『オリジンバードか。初めて会うな』
「そりゃそうだろ。地上の引きこもりと天空の引きこもりが会えるわけない」
『引きこもり言うな。出れなかっただけだ』
「リポップしたんだからすぐに出ればよかったじゃないか」
『・・・あ』

 今気がついたか。

「ところで、マスター。せっかく外に出たので狩りに行きませんか?」
「わかった。ゴブリン異常種だな」
「・・・来たばかりの人間を彼処に連れていくとは流石鬼畜マスター。 出来れば初心者の狩り場でお願いします」
「・・・」
「露骨に嫌そうな顔しないでくださいな」
「わかった。彼処経験値も素材も美味しくないから嫌いなんだよな」
「今はゲームじゃないんですから美味い美味くないで動くわけにはいかないんですよ。死んだら本当に死ぬ世界になっているんですから」
「!・・・わかった。初心者の狩り場に行こうか」

 考えたこともなかったな。
 そうだ。今は現実、死んだら死ぬ世界だった。
 迂闊に行動して死んだらしょうがない。
 ・・・今度からはその辺をちゃんと考えて行動しなければ。
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