日々是成長・HDリマスター(本編の少し前のお話)

９月１０日の３

９月１０日の３。
それは不思議なもので。














   扉の奥はなんとも殺風景なもので、築年数が相当な寮を改良して作られたような造りの建物を思わせるような内装。
   元々は寮の食堂を改装して作られたのかと思うと納得はいく。

 「へぇー……スゴい。」

 「でしょ？」

   多少古ぼけて汚れてしまったものでも味わいに変わるのか、綺麗好きの玄弥こういうのを見ても多少はなんとも思わない程度である。
   もう少し汚れていたなら痺れを切らして問答無用で掃除しそうな勢いなのはおいておくが、その廊下の奥に何やら大きく反応する。

 「この先なのか。」

 「そうだねぇ。」

   曜力がひしひしと強く感じとれ、この奥には確実に存在しているのがわかる。
   そして、一番奥の部屋の前で二人は脚を止めた。

 「さて、この部屋だね。」

 「お、おう……。」

   大抵の緊張に強いはずの玄弥の心音が大きく聞こえそうなほど鼓動しており、心の整理がつかないまま彼は扉をノックし始めたのだから堪ったものではない。

 「空、入るよ？」

 「あっ、はーい！」

   コンコンとノックをすると声が聞こえ、その直後に彼はグッドマークを作ると瞬間移動で消え去ってしまい、あわてふためく玄弥。

 「ちょっ、おいぃっ！！」

   一人取り残された玄弥は、もうどうにでもなれと言わんばかりにため息をつく。

 「行さん、何かご用？ あ……あれ、あなたは？」

   素顔を表したその子は確かに七曜神の一柱なのかどこか面影はあるものの、数秒ほど硬直しているとその子の不信感を募らせてしまうため、すぐさま反応する。

 「あっ……あぁ、少しだけここのオーナーに君に会ってくれと頼まれてね。」

 「オーナーに？ 何かな……、何かあったかな？ あっ、そう言えばオーナーの声が聞こえたけど。」

   おあいにく二人きりにさせるのが目当てだったのか、行と呼ばれる肌黒いあの人は部屋の扉をノックした瞬間に消え去ったことを話す。

 「何って人だよ……性格腐ってやがるわ。」

 「確かに人としては邪神に近いかも知れないけど、とてもいい人だよ。 それよりさ、ここじゃなんだから僕の部屋でお話でも。」

   その子な初対面の玄弥にでもすんなりと部屋を通してくれ、心なしかその子の表情は赤く染まっており、何かを悟ったような気がした。













体は分離しても心はお互い一つである。
以心伝心、一心同体。