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8月31日
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8月31日。
これはこれでキツい……。
結愛の神社に桃子が居候してからしばらく経過した朝の日の事である。
働かざる者食うべからずと言うのは暗黙ではあるものの、桃子は二人に温泉の無料券をどっさりとくれてやってるのだからチャラになっており、仕事しに行く以外はヒモみたいな生活をしても何も文句を言われない。
さて、そんなどうでもいいことは置いておくとしても今日も健康的な菊花によるバランスのとれた朝食が出てきた。
ただし、いわくはついているが……。
「な、なによこれ……。」
結愛と桃子のお皿には焼けたハムエッグがあるのはいいが、明らかにいつもの数倍の千切りキャベツがこれでもかと言うくらいにドバーッと盛られている。
それを見た二人は絶句するしかできず、無口な桃子にいたってはゴミを見るような瞳で山盛りのキャベツを見つめている。
「菊花……何の冗談なの? 悪ふざけは止めなさい……。」
菊花はばつの悪そうな顔をするも、そっちが悪いとばかりにプイッと顔を向かせては反論に出る。
正論という名の理を。
「今日は野菜の日だけどいつも言うけどねっ、二人とも毎日野菜を一日に必要は分だけ食べてないから、今日はキッチリ食べてもらうからねっ! 三百五十グラムだよ! にっしっし!」
勝ったと心の中で勝利を叫ぶ菊花なのだが、誤算があると桃子は手を挙げては困った表情でキャベツの山盛りを指差す。
「確かに私達は、毎日キチンと必要な分を摂取できてはいないわ……。 だからと言って、一日三食あるのにどうして朝食にいっぺんに出すわけ……? そこのところはどうなのかしら?」
グサリと正論に正論でひっくり返され、一歩後退する菊花は、こんなはずでは無かったと頭を抱えるも、まだまだ一転攻勢は終わらない。
次に結愛が反論に出る。
「キャベツしかないってそれこそまさに栄養片寄るじゃない。 トマトなりキュウリなり色々と入れなさいよねっ! あんたそれでも風見の長なの?」
風見自然開発センター長たるもの知識だけあるのでは務まらないし、本来は菊花が木曜神としては母体なのにも関わらず、造り出された玄弥の方がよっぽどしっかりしてると散々な不要な追い打ちまで浴びせられ菊花はボロボロである。
「ごめんなさい……。」
でもそこは菊花である。
悪く言ってしまえば恋や結愛のように素直じゃないのとは違い、自分に否があればキチンと謝れる心を兼ね備えてるのだから二人ともその辺にしてくれる。
三人とも自分自身なのだから以心伝心だし、本当に怒ったとき以外は深くは責めたりしないのだ。
実際のところ恋はなかなか認めたくないだけで、結愛もそれに似て頑固なものの決して謝らないというわけではないから誤解はしないでほしい。
「けど、菊花は毎日野菜をたくさん食べるわよね……その点は、私は脱帽するわ……。」
桃子は頭の頂点から出ているアホ毛をクイクイと動かしては納得して頷く仕草をし、結愛もそれと同じく自身のアホ毛で同感している様子である。
「そうよねっ、だ……だってこの前なんてキャベツ丸々一玉にかじりついては完食してたもの! あれは五百グラムあるんじゃないかしら? まぁ……女としてはみっともなかったわよ。」
毎日野菜を三百五十グラム以上食べてる菊花にはそれ以上の反論はする資格はないのはあるし、そこは認める。
菊花は嬉しくなってピョッコピョッコとアホ毛を跳ねさせては喜んだそうな。
けど、二人は山盛りのキャベツを完食するまでは許されず、なおも結愛の意見通りプラスアルファでトマトにキュウリが乗っかってさらに苦行になったのは言うまでもなかった。
毎日キチンと摂れてます?
以外に答えはノーが大抵である。
これはこれでキツい……。
結愛の神社に桃子が居候してからしばらく経過した朝の日の事である。
働かざる者食うべからずと言うのは暗黙ではあるものの、桃子は二人に温泉の無料券をどっさりとくれてやってるのだからチャラになっており、仕事しに行く以外はヒモみたいな生活をしても何も文句を言われない。
さて、そんなどうでもいいことは置いておくとしても今日も健康的な菊花によるバランスのとれた朝食が出てきた。
ただし、いわくはついているが……。
「な、なによこれ……。」
結愛と桃子のお皿には焼けたハムエッグがあるのはいいが、明らかにいつもの数倍の千切りキャベツがこれでもかと言うくらいにドバーッと盛られている。
それを見た二人は絶句するしかできず、無口な桃子にいたってはゴミを見るような瞳で山盛りのキャベツを見つめている。
「菊花……何の冗談なの? 悪ふざけは止めなさい……。」
菊花はばつの悪そうな顔をするも、そっちが悪いとばかりにプイッと顔を向かせては反論に出る。
正論という名の理を。
「今日は野菜の日だけどいつも言うけどねっ、二人とも毎日野菜を一日に必要は分だけ食べてないから、今日はキッチリ食べてもらうからねっ! 三百五十グラムだよ! にっしっし!」
勝ったと心の中で勝利を叫ぶ菊花なのだが、誤算があると桃子は手を挙げては困った表情でキャベツの山盛りを指差す。
「確かに私達は、毎日キチンと必要な分を摂取できてはいないわ……。 だからと言って、一日三食あるのにどうして朝食にいっぺんに出すわけ……? そこのところはどうなのかしら?」
グサリと正論に正論でひっくり返され、一歩後退する菊花は、こんなはずでは無かったと頭を抱えるも、まだまだ一転攻勢は終わらない。
次に結愛が反論に出る。
「キャベツしかないってそれこそまさに栄養片寄るじゃない。 トマトなりキュウリなり色々と入れなさいよねっ! あんたそれでも風見の長なの?」
風見自然開発センター長たるもの知識だけあるのでは務まらないし、本来は菊花が木曜神としては母体なのにも関わらず、造り出された玄弥の方がよっぽどしっかりしてると散々な不要な追い打ちまで浴びせられ菊花はボロボロである。
「ごめんなさい……。」
でもそこは菊花である。
悪く言ってしまえば恋や結愛のように素直じゃないのとは違い、自分に否があればキチンと謝れる心を兼ね備えてるのだから二人ともその辺にしてくれる。
三人とも自分自身なのだから以心伝心だし、本当に怒ったとき以外は深くは責めたりしないのだ。
実際のところ恋はなかなか認めたくないだけで、結愛もそれに似て頑固なものの決して謝らないというわけではないから誤解はしないでほしい。
「けど、菊花は毎日野菜をたくさん食べるわよね……その点は、私は脱帽するわ……。」
桃子は頭の頂点から出ているアホ毛をクイクイと動かしては納得して頷く仕草をし、結愛もそれと同じく自身のアホ毛で同感している様子である。
「そうよねっ、だ……だってこの前なんてキャベツ丸々一玉にかじりついては完食してたもの! あれは五百グラムあるんじゃないかしら? まぁ……女としてはみっともなかったわよ。」
毎日野菜を三百五十グラム以上食べてる菊花にはそれ以上の反論はする資格はないのはあるし、そこは認める。
菊花は嬉しくなってピョッコピョッコとアホ毛を跳ねさせては喜んだそうな。
けど、二人は山盛りのキャベツを完食するまでは許されず、なおも結愛の意見通りプラスアルファでトマトにキュウリが乗っかってさらに苦行になったのは言うまでもなかった。
毎日キチンと摂れてます?
以外に答えはノーが大抵である。
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