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第一章・臼箕電工

完成度高くない?

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   ――何だかんだありましたが……。

   紆余曲折とハプニング続きでいろいろ苦難はあったがどうにかカレーを完成させた二人は、食べるどころじゃない様子の表情で、疲れのご様子。
   美味しそうだけど、ノロノロとしたスピードでご飯をよそってカレーを乗せる。

 「なんとか完成したわ。 ふぃー、疲れたわぁ。」

 「おおっ、スゴいぞコレ。」

   たかがカレー、されどカレー……苦労して作った一品は絶対に美味しいもの。

 「よっし、机に運んで食べようぜ。」

 「私は水を運ぶわ。」

   疲れてても最後の役割が残っている。
   揃物はカレーを運び、浅葱は水を。

   机に運ぶ頃には疲れなんてもう忘れてしまったのか、興奮を隠せないご様子。
   浅葱にとってはカレーは久々であり、揃物に至っては手作りカレーなど初めてなのだから無理もない。

 「いやぁー、なんか成長って感じだ。 俺はアシストしかしてないけど、なんやかんやでカレーを完成させるなんてな。」

 「私もまさか作るなんて思ってもなかったけど、なんとかなるものね。」

   初めての本格的な自炊に酔いしれながらも、いただきますの合図は古ぼけた商店の空間に響き、スプーンの音と供に美味しい食事が始まった。














   ――疲労とカレーと。

   中辛言えども暑くて辛くなければカレーではないと、そんな醍醐味の一つとなれば服をパタパタさせること。
   揃物は食べ終わって食器を片付けたときには、汗でびっしょり。

 「旨かったなぁ、それにしても暑いわ。」

   季節外れなのに団扇でパタパタと扇いでは涼みを求めているのだが、いかんせん上も下もパタパタ状態。

 「カレーって香辛料使ってるからね、辛いし発汗作用あるみたい。 それにしても私も暑くなってきた。」

   少しだけ涼もうと商店の外に出てみると、鬱蒼と繁る闇の森に肌寒い風が、火照った身体に突き刺さる。
   寒いけど心地よく感じられるのはカレーのお陰だろうか。

 「あまり無理すんなよ、風邪引いたら元も子もないからな。」

   窓から揃物の声が聞こえてくる。

 「わかったよ。」

   振り向きもせず浅葱は星空を見つめる。
   いく億の星空はとても冷たい空気で清んでいて、明日も晴れるだろうと伝えてくれる。
   吐き出す白い息も、ゆっくりと昇っていくのを見届けると、また家の中に戻っていった。
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