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第4章【水曜の湖畔《時雨》】

遅めの帰宅と眠りと

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 早朝の4時くらいだろうか、外が初夏なのでカーテン越しでもわかるとおり、もうすでに明るいと言えば明るいが私はいまだに眠気がマックスを通り越して今にも寝そうだ。
 不幸か幸いか……はてまたはなにか、ベッドは1つしかないから一緒に寝ざるを得ないため音を立てないようにゆっくりと起き上がってはため息をつく。

 私は別にカーペットで雑魚寝なんてしても良かったが主がそれを許さない、こうなれば何を言っても聞かないから諦めた私は主との2人で少し狭いベッドを共有と行くが、いかんせん押しが強くて主を差し置いて蹴っ飛ばしては布団を独占すらしかねないのが私、もとい結愛。
 だから浅い眠りしかすることができなかったから眠いのさ。

 【こちら側】と【あちら側】へはいつでも好きなときに行ったり来たりできるが、主が毎回連れてけってうるさいから寝てる間がチャンス。
 早朝を選んだのはギリギリまで休みたい一心でしかなかったがな。





 神社を繋ぐ中継地点もこちら側の世界を繋ぐのも同じ鳥居を経由するから当然私は鳥居から出てくる。
 それにしてもこちらも初夏といえどもドンヨリと曇り空……明るみの無い朝の空は冬のとたいして変わらず暗いからさっきまで明るかったのに暗いと身体が驚くな。

「ん? うげっ!? もうロッジ建ったの? 速いなぁ……昨日の今日だよ、何があったんだか。」

 遠くの丘には見慣れぬ立派なロッジがあるのが見え、ビックリと驚きが……いや、相変わらずだって思えれどもうリアクションに乏しくなって耐性つく。
 やったならやった、それで良いんじゃないか……私は恵麻のところに帰ってゆっくり寝たいよ。

 寝起き直後は身体に流れる曜力が不安定で巡りが悪いとなると空を浮遊することも覚束無い、ただでさえ眠いからあっちへフラフラこっちへフラフラと軽く吹雪に煽られながらかなり時間を食い潰しながら時雨浄水場へと帰宅した。

「ただいまー。」

 鍵を開けては静かに入るとやはり静寂な空間が広がっている。
 いつもの空間といえどもお帰りのコールがなければ寂しいもの、まぁ……みんな寝てる時間だから仕方無いことだけどね。

 とりあえず寝たいからふすまを開いて和室の部屋へと戻ると軍曹と結愛が寝ているのが見えるが、どうやら1日外して居たからか私の布団は敷かさってない……敷きっぱなしの万年布団とは行かず畳まれてしまったみたい。
 それが普通で衛生的なんだけどさ。

 少しだけ期待してたんだが敷いてないならそこまでだ。
 掛け布団を静かに持っていってはソファーに寝転びまだ寝てもないのに夢にまで見た睡眠を貪る。
















 どれくらい眠っただろうか、突如として視界が明るくなり私は睡眠から起こされたような気がする。
 もちろん日光など入る訳じゃないから電気をつけたんだと思うし、リビングのソファーで寝ている私が悪いと言えば悪いんだが……時計を見ると2時間程度しか仮眠が摂れてないせいかまぶたがショボショボ。

「今日はスキー場の開場式なんです!! 楽しみだけど緊張します……。」

 恵麻が普段着ないようなスーツを着てシャキッとしている姿はいつもナヨナヨでウジウジと弱気な彼女を感じさせない。
 言っちゃ失礼だが馬子にも衣装ってヤツか?
 いや、違うな……前言撤回だ。

「今日の朝食はコーンフレークよっ!! 今日はお手軽に行きましょ!!!!」

 結愛が深い皿にみんなぶんのを盛り付けている。
 それは置いておくとしても、やはり式典が迫ってるのに悠長にもご飯は作ったり食べてられないらしく、正直なところを言うと私は寝ていたくて式に出たいと思えないんだ。
 恵麻なら許してくれるはず、優しいし……。

「恵麻……今日は式には出られそうにもない、疲れはてて動きたくない。」

「強制はしませんよ。 智美さんも大切な仕事のためにそのまま帰りましたし。」

 仕事と眠いのを比べたら欠席理由に大きな差が出るんじゃないかってツッコミ入れたくなるけど、この厚意を無駄にするわけには行かない。

「結愛、私のにはラップ張っておいてくれ。」

「わかったわ!!」

 ソファーから布団を持ち去ると部屋に戻ってはそのまま敷いてあった結愛の布団に潜り込むと、まだほんのりと体温の温かみが残る布団が心地よくて眠りにつくまでには言わずもがなだろう。
 すぐにでも夢へと落ちていく私である。
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