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後日談
深い上の空と海!!
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――どうにもボヤッとして仕方がない……。
ドキドキと心音が止まらないのは何故だろうか。
厳密には生きてるから心音があるのだが、明らかに自分の頭の中に直接聞こえそうなほどにまで大きな鼓動の脈動が感じられ、ドクンドクンと心臓は大きく動く。
理由はなんとなしにわかり、隣に座ってる海凛という少女のせいであることには確証はある。
「はぁ……あ、あー……。」
別に苦しいわけではないが、何を考えるわけでもなくただ上の空でボーッとしてはため息をつくだけで精一杯であり、授業がマトモに耳に入らず、教科書も頭に入らない始末。
「そしてこの年、えー……政府は条例を出したのだが誰が出したか……そうだな、翠、答えてみろ。」
ボーッとしている翠を見つけた先生は今いった質問に答えるように指をさすも、いきなり指名された翠は何を言われたのか曖昧であった為に珍回答しか出来なかった。
「お、俺じゃねぇって……。」
「当たり前だっ!!」
先生は呆れた始末だが教室では笑いの渦。
海凛が笑ってくれたのが心の救いだっただろうが、少しはハッキリとはしたもののまだまだ上の空になることが多く、一日いっぱいこの調子を迎えて下校するハメとなる。
――誰かの声がする……。
どこかで聞いたような声なのだが自分には関係ないものだと思い無視をして、帰路に急ぐ。
商店街の人気の無い路地裏を通ろうとするも、どうにも呼び声がハッキリと聞こえてくると翠を指名しているのがわかり、振り向くと海凛がニコニコと走ってくる。
「う……うぉっ!? ま……海凛さん。」
「えへへー、一緒に帰ろう!」
先程の自己紹介や校内での口調や雰囲気からは考えられないほど気の抜けている事に翠はキョトンとするも、海凛は路地裏に押し込もうとする。
「え……ちょ。」
「ほらほらぁ、早く早くー。」
翠の意見も聞かずに自分勝手で自己中心的に無理に押し込もうとするも、別に悪い気はしない。
それどころか翠は海凛の手を無意識に繋いでは路地裏に入り込んで行く。
「海凛さんのギャップ激しいな……。」
ニコニコと微笑むのは先程から変わらず鼻歌まで聞こえており、何かと知っている曲なのか無意識に翠も合わせて口ずさみながら薄く暗い路地裏を曲がり込んでは、少し開けた場所に出てくる。
少し開けたと言えどまた曲がり角なので死角になり、真上から見なければ誰にも見えないような場所であるのには代わりはない。
「ふんふーん……ふ……、うわっ!?」
「こ……ここなら良いよね。」
翠は壁に勢いよく押し付けられた。
海凛は真剣そうな表情で翠を上目使いで見つめあげる。
なぜだろうか、心の底から熱く脈動する何が翠の呼吸を不規則にし、心拍数の上昇が止まらなくなってくるのであった。
ドキドキと心音が止まらないのは何故だろうか。
厳密には生きてるから心音があるのだが、明らかに自分の頭の中に直接聞こえそうなほどにまで大きな鼓動の脈動が感じられ、ドクンドクンと心臓は大きく動く。
理由はなんとなしにわかり、隣に座ってる海凛という少女のせいであることには確証はある。
「はぁ……あ、あー……。」
別に苦しいわけではないが、何を考えるわけでもなくただ上の空でボーッとしてはため息をつくだけで精一杯であり、授業がマトモに耳に入らず、教科書も頭に入らない始末。
「そしてこの年、えー……政府は条例を出したのだが誰が出したか……そうだな、翠、答えてみろ。」
ボーッとしている翠を見つけた先生は今いった質問に答えるように指をさすも、いきなり指名された翠は何を言われたのか曖昧であった為に珍回答しか出来なかった。
「お、俺じゃねぇって……。」
「当たり前だっ!!」
先生は呆れた始末だが教室では笑いの渦。
海凛が笑ってくれたのが心の救いだっただろうが、少しはハッキリとはしたもののまだまだ上の空になることが多く、一日いっぱいこの調子を迎えて下校するハメとなる。
――誰かの声がする……。
どこかで聞いたような声なのだが自分には関係ないものだと思い無視をして、帰路に急ぐ。
商店街の人気の無い路地裏を通ろうとするも、どうにも呼び声がハッキリと聞こえてくると翠を指名しているのがわかり、振り向くと海凛がニコニコと走ってくる。
「う……うぉっ!? ま……海凛さん。」
「えへへー、一緒に帰ろう!」
先程の自己紹介や校内での口調や雰囲気からは考えられないほど気の抜けている事に翠はキョトンとするも、海凛は路地裏に押し込もうとする。
「え……ちょ。」
「ほらほらぁ、早く早くー。」
翠の意見も聞かずに自分勝手で自己中心的に無理に押し込もうとするも、別に悪い気はしない。
それどころか翠は海凛の手を無意識に繋いでは路地裏に入り込んで行く。
「海凛さんのギャップ激しいな……。」
ニコニコと微笑むのは先程から変わらず鼻歌まで聞こえており、何かと知っている曲なのか無意識に翠も合わせて口ずさみながら薄く暗い路地裏を曲がり込んでは、少し開けた場所に出てくる。
少し開けたと言えどまた曲がり角なので死角になり、真上から見なければ誰にも見えないような場所であるのには代わりはない。
「ふんふーん……ふ……、うわっ!?」
「こ……ここなら良いよね。」
翠は壁に勢いよく押し付けられた。
海凛は真剣そうな表情で翠を上目使いで見つめあげる。
なぜだろうか、心の底から熱く脈動する何が翠の呼吸を不規則にし、心拍数の上昇が止まらなくなってくるのであった。
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