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9.この世界の地下アイドルとは
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「打つ手なしだな」
ふーむと、ベレトさんは腕を組んで考え込んでいる。
「すみません、ここまでありがとうございます」
一度国に帰るべきか、でも、帰ってしまったら、またここに来るのにお金がかかる。
そのお金を工面するのも、一苦労だ。
「姉ちゃんは、魔の森に入ったと聞いたんだよな?」
「はい」
「しかしだなぁ……」
ベレトさんは、腑に落ちないといった様子でまた考え込んでいる。
「分かった。情報収集にうってつけの場所がある。特別な場所だが、ライラなら連れて行ってもいいと思う」
そう言って案内してくれたのが、地下にある舞台で活躍しているアイドルのライブ会場というものだった。
初めて聞く言葉ばかりで、何を質問すればいいのかも分からずについていく。
「地下アイドル、リルルちゃんの人気はうなぎ登りだ。今では、種族を超えて誰もが虜になっている」
歩きながら、そんな説明を受けた。
やはり、私の頭では、何一つ理解できなかった。
伯爵領にある雑貨屋に案内されて、そこの店内から地下へ続く階段を降りていった。
「魔法がかけられているから、色んな場所からここへの入り口が繋がっている。だが、誰でもこれるわけじゃないんだ。会員証とライブチケットは必須だ」
「は、はい……」
やはり何一つ理解できないけど、ベレトさんは気にした様子もなく私を案内してくれた。
階段を降り切ると、ボルドー一色のベルベットの絨毯が敷き詰めてある場所に出た。
「ライラ、これ着て。これが正規のファンクラブの会員の証なんだ」
物珍しくてキョロキョロと周りを見て、今度は手渡された布を広げて、しげしげと眺めていた。
珍しい形の衣服のようで、うーん?
袖の下が四角い形に広がっている。
「それは、法被だ」
「はっぴ?ですか」
「ライラの会員ナンバーは11。妹のをちょっと細工した。今回は特別だ。ゾロ目のしかも、11は本当に貴重なものなんだ」
「ありがとうございます」
よく分からないながらも、貴重なものを私のために用意してくれたのは理解した。
「とりあえず、今からある分が終わるまで待ってくれ」
両開きの扉を開けてくれて、中に促されて入る。
そこに足を踏み入れた途端に、押し寄せてくる熱気があった。
暗くて広い会場には、たくさんの人がいた。
誰もが、光を当てられている舞台中央を見ている。
そして、どこからか、誰かが叫んだ。
「俺達のリルルちゃんへの愛は、種族を超えるんだぁぁぁ」
「いくぞ、ヤローども!!」
「俺達の愛を、リルルちゃんに示せ!!」
「「「あいっ らぶっ リルルー!!!!」」」
一段と大きな歓声に応えるように、1人の少女が舞台上に飛び出してきた。
ツインテールで、ヒラヒラした可愛いらしい衣装を纏い、弾ける笑顔で歌い出す。
「「そいや!そいや!せい!せい!セイレーン!リルル!!」」
「「そいや!そいや!せい!せい!セイレーン!リルル!!」」
な、なに、ここ……
みんな熱に浮かされたようにステージの方を見て、時には声を合わせ、動きを合わせ、ステージに立つ一人の少女と一体になるように、この場を共用している。
その光景に、圧倒された。
暗い場所に、サーモンピンクと緑の光が交互に瞬いている。
歌と息を合わせたような点灯で、とても綺麗だった。
「みんなー!声だしてねー!」
舞台中央に立つ女の子が叫び、何かを観客に向け、
「「ユア マイ エンジェール!!!!」」
それに応える観客達。
「「エル オー ブイ イー セイレーン!リルル!!」」
「「エル オー ブイ イー セイレーン!リルル!!」」
歌と歌の合間に、また観客が一体となって声を合わせて叫んでいる。
口を開けて、ただただ、それを見続けていた。
そして何故か横に立つベレトさんは、腕組みをし、舞台上を見つめながら涙ぐんでいた。
ふーむと、ベレトさんは腕を組んで考え込んでいる。
「すみません、ここまでありがとうございます」
一度国に帰るべきか、でも、帰ってしまったら、またここに来るのにお金がかかる。
そのお金を工面するのも、一苦労だ。
「姉ちゃんは、魔の森に入ったと聞いたんだよな?」
「はい」
「しかしだなぁ……」
ベレトさんは、腑に落ちないといった様子でまた考え込んでいる。
「分かった。情報収集にうってつけの場所がある。特別な場所だが、ライラなら連れて行ってもいいと思う」
そう言って案内してくれたのが、地下にある舞台で活躍しているアイドルのライブ会場というものだった。
初めて聞く言葉ばかりで、何を質問すればいいのかも分からずについていく。
「地下アイドル、リルルちゃんの人気はうなぎ登りだ。今では、種族を超えて誰もが虜になっている」
歩きながら、そんな説明を受けた。
やはり、私の頭では、何一つ理解できなかった。
伯爵領にある雑貨屋に案内されて、そこの店内から地下へ続く階段を降りていった。
「魔法がかけられているから、色んな場所からここへの入り口が繋がっている。だが、誰でもこれるわけじゃないんだ。会員証とライブチケットは必須だ」
「は、はい……」
やはり何一つ理解できないけど、ベレトさんは気にした様子もなく私を案内してくれた。
階段を降り切ると、ボルドー一色のベルベットの絨毯が敷き詰めてある場所に出た。
「ライラ、これ着て。これが正規のファンクラブの会員の証なんだ」
物珍しくてキョロキョロと周りを見て、今度は手渡された布を広げて、しげしげと眺めていた。
珍しい形の衣服のようで、うーん?
袖の下が四角い形に広がっている。
「それは、法被だ」
「はっぴ?ですか」
「ライラの会員ナンバーは11。妹のをちょっと細工した。今回は特別だ。ゾロ目のしかも、11は本当に貴重なものなんだ」
「ありがとうございます」
よく分からないながらも、貴重なものを私のために用意してくれたのは理解した。
「とりあえず、今からある分が終わるまで待ってくれ」
両開きの扉を開けてくれて、中に促されて入る。
そこに足を踏み入れた途端に、押し寄せてくる熱気があった。
暗くて広い会場には、たくさんの人がいた。
誰もが、光を当てられている舞台中央を見ている。
そして、どこからか、誰かが叫んだ。
「俺達のリルルちゃんへの愛は、種族を超えるんだぁぁぁ」
「いくぞ、ヤローども!!」
「俺達の愛を、リルルちゃんに示せ!!」
「「「あいっ らぶっ リルルー!!!!」」」
一段と大きな歓声に応えるように、1人の少女が舞台上に飛び出してきた。
ツインテールで、ヒラヒラした可愛いらしい衣装を纏い、弾ける笑顔で歌い出す。
「「そいや!そいや!せい!せい!セイレーン!リルル!!」」
「「そいや!そいや!せい!せい!セイレーン!リルル!!」」
な、なに、ここ……
みんな熱に浮かされたようにステージの方を見て、時には声を合わせ、動きを合わせ、ステージに立つ一人の少女と一体になるように、この場を共用している。
その光景に、圧倒された。
暗い場所に、サーモンピンクと緑の光が交互に瞬いている。
歌と息を合わせたような点灯で、とても綺麗だった。
「みんなー!声だしてねー!」
舞台中央に立つ女の子が叫び、何かを観客に向け、
「「ユア マイ エンジェール!!!!」」
それに応える観客達。
「「エル オー ブイ イー セイレーン!リルル!!」」
「「エル オー ブイ イー セイレーン!リルル!!」」
歌と歌の合間に、また観客が一体となって声を合わせて叫んでいる。
口を開けて、ただただ、それを見続けていた。
そして何故か横に立つベレトさんは、腕組みをし、舞台上を見つめながら涙ぐんでいた。
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