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8.無言の威圧
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ベレトさんには、姉が行方不明になったことを説明した。
自分の事のように心配してくれて、見つかるまで協力するとまで言ってくれて、姉以外の優しさに触れる機会は少ないので、嬉しかった。
ベレトさんの協力があれば、町の人に話を聞いて回るのは、とても楽ではあった。
どこで誰に聞いても、その人の対応はやたら丁寧で、それは腕を組んで仁王立ちしているベレトさんが、私の背後に立ってくれているおかげだと思う。
ベレトさんも別に威圧しているわけではないのだけど、立っているだけで迫力があるから仕方がないのかな。
今ではわたしも、ベレトさんがとても穏やかな人なのはわかる。
でも、どれだけ聞いて回っても、姉の姿を見た人はいなくて、途方に暮れる。
「あとは、冒険者ギルドか?まだ行ってないんだろ?」
本当は、一番最初にそこに行くべきだったのだけど、
「私は資格がないので、他国のギルドには入れなくて」
「あー……じゃあ、ちょっと待ってて」
そう言って軽い調子でギルドの建物の中に入ると、ものの10分程で冒険者証を発行してもらっていた。
驚く私に説明してくれた事は、ベレトさんは、魔力持ちの魔法使いでもあるそうだ。
希少な魔法使いは優遇されるし、この地の領主でもある伯爵家の方なら身元が保証されているから、さらに手続きが早い。
だから、こんなスピード発行も可能なのかな。
ベレトさんに促されて一緒に中に入ると、ギルドの入り口で身分証の提示を求められた。
ベレトさんが私のことをツレだと話すと、無遠慮な、好奇な視線が向けられた。
私を見る彼等は、ツレ、つまり、愛人とか愛玩用とかって風に変換したのだと思う。
私はそんな風に見られることには慣れているけど、ベレトさんが謂れのない侮辱を受けるのは嫌だった。
忘れていたフードを深く被り、俯いて目立たないように、ベレトさんの背中についていく。
あまりにも可愛い可愛いと手放しで何度も言ってくれるものだから、ベレトさんといる時だけは自分が獣人だということが気にならなくなって、フードも被り忘れていたようだった。
気を付けないと、余計な迷惑をかけてしまう。
忌み嫌われ、差別される存在。
獣人は、神から罰せられた為に、獣の姿に変えられたというのが、アリアフルト聖教会の教えだ。
だから、獣人は生まれながらにして、罪を背負っているから、償わなければならないのだと。
人として扱われない事が贖罪で、洗礼を受けたものだけが、救われる機会を得ると。
「ライラ、姉ちゃんの名前と、登録番号が分かるならそれも教えてやってくれるか?」
カウンターで受付の人と話していたベレトさんが、私を呼んだ。
呼ばれるままに行き、必要なことを伝えた。
「Aランクの方が行方不明になっているのですか」
対応してくれた、受付の女性が驚いた声をあげた。
私相手でも、丁寧な姿勢を崩さなかった女性が、眉を寄せている。
「それなら、情報が得やすいはずですが、まだこちらには何も入ってはいませんね。何か分かり次第、ベレト様にご連絡をさしあげます」
よろしくおねがいしますと言って、ギルドを後にしていた。
自分の事のように心配してくれて、見つかるまで協力するとまで言ってくれて、姉以外の優しさに触れる機会は少ないので、嬉しかった。
ベレトさんの協力があれば、町の人に話を聞いて回るのは、とても楽ではあった。
どこで誰に聞いても、その人の対応はやたら丁寧で、それは腕を組んで仁王立ちしているベレトさんが、私の背後に立ってくれているおかげだと思う。
ベレトさんも別に威圧しているわけではないのだけど、立っているだけで迫力があるから仕方がないのかな。
今ではわたしも、ベレトさんがとても穏やかな人なのはわかる。
でも、どれだけ聞いて回っても、姉の姿を見た人はいなくて、途方に暮れる。
「あとは、冒険者ギルドか?まだ行ってないんだろ?」
本当は、一番最初にそこに行くべきだったのだけど、
「私は資格がないので、他国のギルドには入れなくて」
「あー……じゃあ、ちょっと待ってて」
そう言って軽い調子でギルドの建物の中に入ると、ものの10分程で冒険者証を発行してもらっていた。
驚く私に説明してくれた事は、ベレトさんは、魔力持ちの魔法使いでもあるそうだ。
希少な魔法使いは優遇されるし、この地の領主でもある伯爵家の方なら身元が保証されているから、さらに手続きが早い。
だから、こんなスピード発行も可能なのかな。
ベレトさんに促されて一緒に中に入ると、ギルドの入り口で身分証の提示を求められた。
ベレトさんが私のことをツレだと話すと、無遠慮な、好奇な視線が向けられた。
私を見る彼等は、ツレ、つまり、愛人とか愛玩用とかって風に変換したのだと思う。
私はそんな風に見られることには慣れているけど、ベレトさんが謂れのない侮辱を受けるのは嫌だった。
忘れていたフードを深く被り、俯いて目立たないように、ベレトさんの背中についていく。
あまりにも可愛い可愛いと手放しで何度も言ってくれるものだから、ベレトさんといる時だけは自分が獣人だということが気にならなくなって、フードも被り忘れていたようだった。
気を付けないと、余計な迷惑をかけてしまう。
忌み嫌われ、差別される存在。
獣人は、神から罰せられた為に、獣の姿に変えられたというのが、アリアフルト聖教会の教えだ。
だから、獣人は生まれながらにして、罪を背負っているから、償わなければならないのだと。
人として扱われない事が贖罪で、洗礼を受けたものだけが、救われる機会を得ると。
「ライラ、姉ちゃんの名前と、登録番号が分かるならそれも教えてやってくれるか?」
カウンターで受付の人と話していたベレトさんが、私を呼んだ。
呼ばれるままに行き、必要なことを伝えた。
「Aランクの方が行方不明になっているのですか」
対応してくれた、受付の女性が驚いた声をあげた。
私相手でも、丁寧な姿勢を崩さなかった女性が、眉を寄せている。
「それなら、情報が得やすいはずですが、まだこちらには何も入ってはいませんね。何か分かり次第、ベレト様にご連絡をさしあげます」
よろしくおねがいしますと言って、ギルドを後にしていた。
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