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ザマァしてやったと思ったらザマァされてた
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ベイヤー王国ノートン公爵家の娘、フェリシア・ノートン。
それが私の異母妹だった。
私は、一つ下の腹違いの妹にずっと虐げられてきた。
妹の母親は他国の公爵家の生まれ。
私の母親は子爵家の生まれ。
だから、私達親子はずっとその親子から別邸に追いやられるようにして暮らしていた。
唯一の救いは、父が私達を愛してくれてずっと一緒に暮らしてくれてたってこと。
そして父の庇護の下、何不自由なくやりたい事をやらせてくれたってことだ。
決められた婚約者が何だっていうのだ。
母と父は愛し合っていた。
それが全てのはずなのに、フェリシアの母親は両親の愛を引き裂いたんだ。
だから罰が下されて、フェリシアの母親は死に、私達はお父様と一緒に晴れて公爵家の本邸に住めることになった。
でも、私の母が公爵家の女主人となったのに、なのに、フェリシアは、傍若無人に振る舞って、私達を馬鹿にし、蔑んで、私達にいちいち難癖をつけてくる。
言って理解できない者には、鞭を使うくらい当然のことなのに、生意気にもそれを邪魔してきた。
自分の支配を離れ、こっちに使用人が従うのを嫌がった為だ。
だからとうとう屋敷の使用人達までもが子爵家出身の母を馬鹿にして、言う事を聞かなくなったほどだ。
どこまで私達親子を虐げたら気が済むのか。
だから私は、あの子に復讐をする事にした。
まずは私達の味方である父にあの子の悪口を散々言ってやった。
その内容に真実が含まれるかは、重要ではない。
要は、お父様が私の言う事を信じてくれさえいればいいのだから。
もちろんお父様は、可愛い私達の言う事を信じてフェリシアに罰を与えていた。
それが、気を失うくらい殴りつけたり、食事を与えなかったりしたからちょっとやり過ぎかな?って思ったけど、結局、使用人達はますます私達の言う事を聞かなくなったから、あれくらいして良かったんだ。
でも、使用人達は別にいい。
気に入らなければ、辞めさせればいいのだから。
お母様が、ある使用人を平手打ちしてクビにしたら、あの子ったら顔を真っ青にして家から飛び出して行ってた。
何をそんなに恐れるというのか。
私達は、公爵家だ。
お母様は公爵夫人で、私は公爵家令嬢だ。
富も権力も思いのままだ。
怖いものなんか無い。
季節は巡り、社交界デビューすることになった私に、お父様がとても素晴らしいドレスを用意してくれた。
あの子が羨ましそうに見てたから、気分がスッとしたわ。
それから、そのお披露目の場であの子をエスコートする王太子様に近付いた。
王太子様はフェリシアの婚約者で、気が強くて生意気なあの子に辟易していたから、すぐに私と打ち解けてくれた。
彼と仲良く親密になることは、お母様もお父様も応援してくれた。
どんどん私達は仲を深めていき、あの日、ついに王太子様は婚約破棄をあの子に言い渡した。
泣いて縋る姿を見れるのかと思いきや、あの子は口を真一文字に結んで、それを受け入れていた。
やせ我慢しているのは目に見えて分かったから、いい気味だと思った。
婚約破棄という傷がついたあの子は、どこぞの貴族の後妻として嫁がされることが決まり、逃げようとしたものだからお父様が追手をつけたそうだ。
それが、ちょっと、いや、だいぶ柄の悪い連中だったのが気になったけど、嫁ぐ予定だった相手に恥をかかせたとかで、お父様もたいそう立腹されていた。
何か、生死を問わないとか、毒を使えとか言っていた気がしたけど、使い道があるのにさすがに殺しはしないでしょ。
結局、フェリシアが行方不明になったと聞かされて、それから何日か過ぎた頃、改めて私の婚約者となった王太子様とお茶をしながら楽しいひと時を過ごしている時だった。
王宮にドレッサ王国の遣いの者がきて、無事な姿でフェリシアを渡さなければ、すぐに戦線布告をすると言ってきたのだ。
ドレッサ王国の王弟がフェリシアの祖父で、フェリシアの婚約破棄を聞いて激怒していると言うものだった。
ベイヤーとドレッサの力は拮抗している。
だから、そう簡単に戦争になるはずがないと、王家もノートン公爵家も高を括っていたのだけど……
ドレッサと争いになる直前に、何故か王都に無数のワイン樽が降って、その混乱の隙にドレッサの侵攻を受けた我が国はあっさりと負けることとなった。
交渉の材料となるフェリシアの行方は分かっていない。
責任を取らされたお父様はドレッサに連れて行かれ、ノートン公爵家は取り潰し。
何とかっていう伯爵家が、率先して王家とノートン公爵家を糾弾してきた。
伯爵家のクセにって思ったのに、追随する有力貴族が後を絶たなかった。
家や使用人達は、そっくりそのままドレッサから来た、戦後処理をする者達にもっていかれた。
私とお母様は路頭に迷い、追われる身となった。
王太子様を含めた、力を失った王家は助けてはくれなかった。
私達は、切り捨てられたのだ。
あの子がいれば、あの子が見つかれば、私達を助けてもらえる。
そう思い、私は、父が雇った者達を探しだして、フェリシアの行方を聞いた。
なのに、あの子の事を教えてくれないばかりか、私は………
ゴロツキ達の根城にノコノコ行った私の末路は、悲惨なものだった。
囚われの身となった私のもとに代わる代わる訪れる何人もの男達に、媚びなければならなかったから。
そして、飽きて殺されない為にも、何でもしなければならなかった。
それが私の異母妹だった。
私は、一つ下の腹違いの妹にずっと虐げられてきた。
妹の母親は他国の公爵家の生まれ。
私の母親は子爵家の生まれ。
だから、私達親子はずっとその親子から別邸に追いやられるようにして暮らしていた。
唯一の救いは、父が私達を愛してくれてずっと一緒に暮らしてくれてたってこと。
そして父の庇護の下、何不自由なくやりたい事をやらせてくれたってことだ。
決められた婚約者が何だっていうのだ。
母と父は愛し合っていた。
それが全てのはずなのに、フェリシアの母親は両親の愛を引き裂いたんだ。
だから罰が下されて、フェリシアの母親は死に、私達はお父様と一緒に晴れて公爵家の本邸に住めることになった。
でも、私の母が公爵家の女主人となったのに、なのに、フェリシアは、傍若無人に振る舞って、私達を馬鹿にし、蔑んで、私達にいちいち難癖をつけてくる。
言って理解できない者には、鞭を使うくらい当然のことなのに、生意気にもそれを邪魔してきた。
自分の支配を離れ、こっちに使用人が従うのを嫌がった為だ。
だからとうとう屋敷の使用人達までもが子爵家出身の母を馬鹿にして、言う事を聞かなくなったほどだ。
どこまで私達親子を虐げたら気が済むのか。
だから私は、あの子に復讐をする事にした。
まずは私達の味方である父にあの子の悪口を散々言ってやった。
その内容に真実が含まれるかは、重要ではない。
要は、お父様が私の言う事を信じてくれさえいればいいのだから。
もちろんお父様は、可愛い私達の言う事を信じてフェリシアに罰を与えていた。
それが、気を失うくらい殴りつけたり、食事を与えなかったりしたからちょっとやり過ぎかな?って思ったけど、結局、使用人達はますます私達の言う事を聞かなくなったから、あれくらいして良かったんだ。
でも、使用人達は別にいい。
気に入らなければ、辞めさせればいいのだから。
お母様が、ある使用人を平手打ちしてクビにしたら、あの子ったら顔を真っ青にして家から飛び出して行ってた。
何をそんなに恐れるというのか。
私達は、公爵家だ。
お母様は公爵夫人で、私は公爵家令嬢だ。
富も権力も思いのままだ。
怖いものなんか無い。
季節は巡り、社交界デビューすることになった私に、お父様がとても素晴らしいドレスを用意してくれた。
あの子が羨ましそうに見てたから、気分がスッとしたわ。
それから、そのお披露目の場であの子をエスコートする王太子様に近付いた。
王太子様はフェリシアの婚約者で、気が強くて生意気なあの子に辟易していたから、すぐに私と打ち解けてくれた。
彼と仲良く親密になることは、お母様もお父様も応援してくれた。
どんどん私達は仲を深めていき、あの日、ついに王太子様は婚約破棄をあの子に言い渡した。
泣いて縋る姿を見れるのかと思いきや、あの子は口を真一文字に結んで、それを受け入れていた。
やせ我慢しているのは目に見えて分かったから、いい気味だと思った。
婚約破棄という傷がついたあの子は、どこぞの貴族の後妻として嫁がされることが決まり、逃げようとしたものだからお父様が追手をつけたそうだ。
それが、ちょっと、いや、だいぶ柄の悪い連中だったのが気になったけど、嫁ぐ予定だった相手に恥をかかせたとかで、お父様もたいそう立腹されていた。
何か、生死を問わないとか、毒を使えとか言っていた気がしたけど、使い道があるのにさすがに殺しはしないでしょ。
結局、フェリシアが行方不明になったと聞かされて、それから何日か過ぎた頃、改めて私の婚約者となった王太子様とお茶をしながら楽しいひと時を過ごしている時だった。
王宮にドレッサ王国の遣いの者がきて、無事な姿でフェリシアを渡さなければ、すぐに戦線布告をすると言ってきたのだ。
ドレッサ王国の王弟がフェリシアの祖父で、フェリシアの婚約破棄を聞いて激怒していると言うものだった。
ベイヤーとドレッサの力は拮抗している。
だから、そう簡単に戦争になるはずがないと、王家もノートン公爵家も高を括っていたのだけど……
ドレッサと争いになる直前に、何故か王都に無数のワイン樽が降って、その混乱の隙にドレッサの侵攻を受けた我が国はあっさりと負けることとなった。
交渉の材料となるフェリシアの行方は分かっていない。
責任を取らされたお父様はドレッサに連れて行かれ、ノートン公爵家は取り潰し。
何とかっていう伯爵家が、率先して王家とノートン公爵家を糾弾してきた。
伯爵家のクセにって思ったのに、追随する有力貴族が後を絶たなかった。
家や使用人達は、そっくりそのままドレッサから来た、戦後処理をする者達にもっていかれた。
私とお母様は路頭に迷い、追われる身となった。
王太子様を含めた、力を失った王家は助けてはくれなかった。
私達は、切り捨てられたのだ。
あの子がいれば、あの子が見つかれば、私達を助けてもらえる。
そう思い、私は、父が雇った者達を探しだして、フェリシアの行方を聞いた。
なのに、あの子の事を教えてくれないばかりか、私は………
ゴロツキ達の根城にノコノコ行った私の末路は、悲惨なものだった。
囚われの身となった私のもとに代わる代わる訪れる何人もの男達に、媚びなければならなかったから。
そして、飽きて殺されない為にも、何でもしなければならなかった。
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