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霧の魔
飛行種2
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『助かりましたわ』
「いいですから、他のファルシュに援護に行ってください」
飛び立つ彼女を見送る。他に追い詰められた者がいないか、探していると、他の飛行種と違う動きをしている一群を見つけた。
「まずっ!」
その一群は森を大きく迂回し、施設に飛来してきた。
フォートレスとウィルフレッドが迎撃しているものの、数が多く、少しずつ押されている。
飛行種の対応に忙しく、援護に迎える者は誰もいない。
スパーク中隊は地上の蛇の掃討に忙しく、ユラさんとはにーさんは襲われているファルシュの援護に。その他のパイロットも余裕がない。
僕にも難しい。距離が離れている。
これから急いで戻っても、間に合わないかもしれない。だけど、まだ手はある。
「ドローン、アクティブ!」
待機状態にしていたドローンを起動させると、ガーディフォースのモニターにドローンのカメラの映像が映し出された。
ドローンは防壁の上に設置した四つの機関砲に常駐させている。
ドローンを操作し、機関砲の銃口を上に向けさせる。
「撃て!」
四つの機関砲が近づく飛行種を蜂の巣にしていく。
この機関砲は船や拠点の防衛のために使われている物。ウィルフレッドに装備している物よりも大型で、連射速度も速い。
機関砲は大型の弾倉を備えているから、すぐには弾切れしないけど、無駄打ちはできない。
近づく飛行種にちゃんと狙いを澄ませてから撃ち込んだ。
ガーディフォースの操縦とドローンの操作。
機関砲の操作には一門につきドローンが二機必要になっているため、計八機の操作をしていた。
それと並行して、本部に送る飛行種のデータの作成もする。
データの作成はもう僕しか出来る物がいない。
現場指揮官も含めた第一陣の全パイロットは飛行種の対応に必死でデータを作成している余裕がないのだ。
これらの操作を同時に行うのは正直しんどい。
「でも、まだ行けるかな」
機械コミュの限界行使に比べたら、これぐらいの並列処理は難しくはなかった。
その上、あれは後遺症が酷いけど、VRならそんな心配をしなくてもいい。
「もしかして、こいつらって」
データを纏めながら、飛行種と戦闘しているとあることに気付いた。
僕の気のせいかもしれないから、ユラさんにも確認する。
「ユラさん。飛行種ってもしかして、防御が弱いんじゃないかな?」
『うん。あたしもそう思っていたところよ』
やっぱりそうか。飛行種の防御力は低い。
ミディアムスケールと同サイズだが、鱗の硬さは劣っている。
おそらく、飛行のために軽量化を図っているためだろう。
この情報は大きい。追記してデータを本部に送信した。
飛行種の侵攻は止まる気配がない。
BSゴルゴンから続々と飛び立っている。
BSゴルゴンはこのまま畳みかけるつもりらしい。
敵の大猛攻に、多くのファルシュが犠牲になり、いよいよ第一陣の全滅がちらついてきた。
だけど、ギリギリ持ち堪えている。
ユラさんとはにーさんの活躍のおかげだ。
僕も頑張ってはいるが、彼女たちの活躍に比べてしまうと、月とスッポンになってしまう。
二人とも200体以上の飛行種を単独で撃破している。
これは他のパイロットが撃破した飛行種の合計の八割に相当していた。
紅霞は対ファルシュを想定した対空戦のスペシャリスト。飛行はできないが、空中での近接格闘能力はファルシュ以上。
単体戦闘力がファルシュに劣る飛行種は紅霞の前では無力だった。
飛行種の背後から接近して首を斬り落とし、死体となった飛行種を踏み台にして、別の飛行種に飛びつく。これの繰り返しで、数多の飛行種を地に堕としている。
飛行種は紅霞を取り囲んで撃墜を試みていたが、そうなればユラさんの思うつぼ。
その近接格闘能力で返り討ちにしていた。
はにーさんの活躍もすごい。
高速で戦場を飛び回り、ピンチのファルシュの救援をしつつ、大量の飛行種を撃破している。
弾の温存のために自身の兵装を使わずに、撃墜されたファルシュのパイルガンを回収して使っていた。
パイルガンを両手に一挺ずつ持つ戦闘スタイルだ。
弾切れを気にせず、乱射して、飛行種を串刺しにしていた。
そんなことをしているとすぐに弾切れするんだけど、彼女は弾切れするとそのパイルガンを捨て、新たなパイルガンを調達していた。
これはみんなもやっていることなんだけど、彼女は凄いのは、主を失って落下中のパイルガンを空中でキャッチしているところ。
撃墜されて、空中に散らばったファルシュの破片を躱し、パイルガンを回収してるのだ。
他のパイロットが真似したら、破片に当たって、ダメージを受けてしまうだろう。
彼女もユラさんと同じで一人で10体以上の飛行種に囲まれても、誰も助けも借りずに撃退していた。
「はぁ。FA4は僕のなのになぁ」
はにーさんの活躍を見ていると、ため息が出てしまった。
FA4は僕の機体。なのに、はにーさんの方が使いこなしている。
ついつい嫉妬してしまった。
「いいですから、他のファルシュに援護に行ってください」
飛び立つ彼女を見送る。他に追い詰められた者がいないか、探していると、他の飛行種と違う動きをしている一群を見つけた。
「まずっ!」
その一群は森を大きく迂回し、施設に飛来してきた。
フォートレスとウィルフレッドが迎撃しているものの、数が多く、少しずつ押されている。
飛行種の対応に忙しく、援護に迎える者は誰もいない。
スパーク中隊は地上の蛇の掃討に忙しく、ユラさんとはにーさんは襲われているファルシュの援護に。その他のパイロットも余裕がない。
僕にも難しい。距離が離れている。
これから急いで戻っても、間に合わないかもしれない。だけど、まだ手はある。
「ドローン、アクティブ!」
待機状態にしていたドローンを起動させると、ガーディフォースのモニターにドローンのカメラの映像が映し出された。
ドローンは防壁の上に設置した四つの機関砲に常駐させている。
ドローンを操作し、機関砲の銃口を上に向けさせる。
「撃て!」
四つの機関砲が近づく飛行種を蜂の巣にしていく。
この機関砲は船や拠点の防衛のために使われている物。ウィルフレッドに装備している物よりも大型で、連射速度も速い。
機関砲は大型の弾倉を備えているから、すぐには弾切れしないけど、無駄打ちはできない。
近づく飛行種にちゃんと狙いを澄ませてから撃ち込んだ。
ガーディフォースの操縦とドローンの操作。
機関砲の操作には一門につきドローンが二機必要になっているため、計八機の操作をしていた。
それと並行して、本部に送る飛行種のデータの作成もする。
データの作成はもう僕しか出来る物がいない。
現場指揮官も含めた第一陣の全パイロットは飛行種の対応に必死でデータを作成している余裕がないのだ。
これらの操作を同時に行うのは正直しんどい。
「でも、まだ行けるかな」
機械コミュの限界行使に比べたら、これぐらいの並列処理は難しくはなかった。
その上、あれは後遺症が酷いけど、VRならそんな心配をしなくてもいい。
「もしかして、こいつらって」
データを纏めながら、飛行種と戦闘しているとあることに気付いた。
僕の気のせいかもしれないから、ユラさんにも確認する。
「ユラさん。飛行種ってもしかして、防御が弱いんじゃないかな?」
『うん。あたしもそう思っていたところよ』
やっぱりそうか。飛行種の防御力は低い。
ミディアムスケールと同サイズだが、鱗の硬さは劣っている。
おそらく、飛行のために軽量化を図っているためだろう。
この情報は大きい。追記してデータを本部に送信した。
飛行種の侵攻は止まる気配がない。
BSゴルゴンから続々と飛び立っている。
BSゴルゴンはこのまま畳みかけるつもりらしい。
敵の大猛攻に、多くのファルシュが犠牲になり、いよいよ第一陣の全滅がちらついてきた。
だけど、ギリギリ持ち堪えている。
ユラさんとはにーさんの活躍のおかげだ。
僕も頑張ってはいるが、彼女たちの活躍に比べてしまうと、月とスッポンになってしまう。
二人とも200体以上の飛行種を単独で撃破している。
これは他のパイロットが撃破した飛行種の合計の八割に相当していた。
紅霞は対ファルシュを想定した対空戦のスペシャリスト。飛行はできないが、空中での近接格闘能力はファルシュ以上。
単体戦闘力がファルシュに劣る飛行種は紅霞の前では無力だった。
飛行種の背後から接近して首を斬り落とし、死体となった飛行種を踏み台にして、別の飛行種に飛びつく。これの繰り返しで、数多の飛行種を地に堕としている。
飛行種は紅霞を取り囲んで撃墜を試みていたが、そうなればユラさんの思うつぼ。
その近接格闘能力で返り討ちにしていた。
はにーさんの活躍もすごい。
高速で戦場を飛び回り、ピンチのファルシュの救援をしつつ、大量の飛行種を撃破している。
弾の温存のために自身の兵装を使わずに、撃墜されたファルシュのパイルガンを回収して使っていた。
パイルガンを両手に一挺ずつ持つ戦闘スタイルだ。
弾切れを気にせず、乱射して、飛行種を串刺しにしていた。
そんなことをしているとすぐに弾切れするんだけど、彼女は弾切れするとそのパイルガンを捨て、新たなパイルガンを調達していた。
これはみんなもやっていることなんだけど、彼女は凄いのは、主を失って落下中のパイルガンを空中でキャッチしているところ。
撃墜されて、空中に散らばったファルシュの破片を躱し、パイルガンを回収してるのだ。
他のパイロットが真似したら、破片に当たって、ダメージを受けてしまうだろう。
彼女もユラさんと同じで一人で10体以上の飛行種に囲まれても、誰も助けも借りずに撃退していた。
「はぁ。FA4は僕のなのになぁ」
はにーさんの活躍を見ていると、ため息が出てしまった。
FA4は僕の機体。なのに、はにーさんの方が使いこなしている。
ついつい嫉妬してしまった。
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