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1章:最悪の旅立ち
夜猫の二拍子舞踏 15
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「ゲホ、ゴホッ――! …………うぅ……」
おそらく気絶していたのは数秒の事だろう。さもなくば、今頃アンシエは溺死していたはずだ。重い甲冑を着けたままの状態では、自然で浮かぶ事もできないのだから。
躊躇いなく甲冑を脱ぎ捨てて水面に顔を出すと、なんとか息を整えつつ、まずは自分が落ちた場所を確認する。
ここはやはり地下水路の中のようだ。わずかに光が差し込んでいるが、それでもかなり薄暗く、ランプがなければ足元が危ういだろう。
その事を確認すると、アンシエは水路から挟むようにして敷かれた石材の床に上がり、とりあえず近くの壁際まで移動し、背を預ける。
それから自分の体に異常がない事を確認する。運が良いのか悪いのか、不幸中の幸いか、怪我はないようだが……。
「急いで地上に戻らなければ……」
アンシエは壁に手をついて立ち上がると、自分が落ちてきた井戸を見上げる。
ロープが切られてしまった以上、ここを登るのは難しいが、予想が正しければどこか別の出入り口があるはずだ。そう考え、先ほど見たものを頭の中から追い出すように首を横に振る。
あの時、確かに井戸の上から自分を見下ろしていたのは――……。
「……後回しだ。まずは、ここから脱出しなければ」
アンシエはそう呟くと、水路の奥へと足を進めようとして――、だが、その足はすぐに止まる事になる。なぜなら――、
「ッ――!!」
獰猛な敵意を感じ、咄嗟に剣を抜いて振り向いたアンシエの目の前に迫っていたのは、明らかに人間ではないなにかだった。
闇に紛れるような黒の毛皮をした二足歩行の狼――、すなわち、
「魔物――、ワーウルフかッ!」
アンシエが叫んだのと、ワーウルフの凶爪が剣とぶつかり合ったのは、ほぼ同時だった。
ガキィィン――!!
甲高い金属音が、地下水路に響き渡る。
一瞬の交錯――、アンシエは剣を振り上げ、ワーウルフの腕を狙う。
だが、相手も本能でそれを読んでいたのか、素早く後ろに跳んで一斬を躱す。アンシエは思わず舌打ちすると、すぐに体勢を立て直すために自分も後退した。
一方、ワーウルフの方はすでにアンシエとの距離を詰め、飛びかかる姿勢をとっていた。
「ハアッ――!!」
しかしアンシエは即座に反応――、身を捻りながら横薙ぎの一閃を放ち、カウンターで頸を落とす。ワーウルフはその一撃で絶命したが、アンシエはそれには目もくれず、次の敵に備えて構える。
「グルルルル――……」
数秒の戦いの間に、どうやら他にも仲間が集まってきたらしい。
視線を向けた先には、さらに六体ものワーウルフの姿があった。いずれも血走り飢えた瞳でこちらをにらみつけている。
(こうなった以上、もはや退路はない。ならば、戦うしかないな……)
アンシエは小さく嘆息すると、改めて剣を構え直し、口を開く。
「……お前達の“飼い主”について問い質したいところだが、魔物にそれを期待するのは無意味か?」
「グゥルアァ――!!」
挑発するアンシエの言葉に反応したのか、ワーウルフ達は一斉に襲いかかってきた。
アンシエは、今度は最初から加護の力を使うと決め、精神を集中させる。
そして――、
「戦神ッ、アルセイドの加護を!」
甲冑で隠されていた胸元の【聖刻】が輝きを放つと同時に、アンシエは迫るワーウルフに向かって突進。ワーウルフ達は一瞬怯んだ様子を見せたが、すぐにアンシエを迎え撃つべく凶爪を振りかざしてくる。
「遅いっ」
しかしアンシエはそれを冷静に見極めると、最小限の動きで攻撃を避け、すれ違いざまに先頭の一体を斬りつけた。そして勢いを殺さず、そのままワーウルフの間をすり抜けるようにして、残りの五体も斬りつけながら駆け抜けていく。
それも致命傷には至らず、遅れてワーウルフ達が振り返るが、もう手遅れである。
駆け抜けたアンシエの気合いとともに繰り出された横薙ぎの一撃は、瞬く間に最後尾のワーウルフの胴を両断していた。さらに返す刃で再び別のワーウルフの頭部を叩き斬ると、続けて取って返す勢いでもう一体の心臓を貫く。
「ギャウウッ!?」
一瞬にして三体――、仲間の惨劇を目の当たりにして、ようやく他の三体が我に返った時にはすでに遅く、アンシエは先ほどと同じ要領で二体を順に斬り伏せていた。
そして、最後に残った一体を――、
「グオォ――!?」
「これで終わりだ!〈戦牙衝波斬〉!!」
アンシエが剣を振り下ろすと、刀身から放たれた衝撃波が拡散して、最後のワーウルフの全身を包み込む。その威力たるや凄まじく、吹き飛ばされたワーウルフは壁に衝突し、肉塊となって弾け飛んだ。
「……ふぅ」
アンシエは軽く息をつくと、剣についた血を払うように振って鞘に収めようとするが、またしても近づいてくる別のワーウルフ達の気配を感じる。
「そう甘くはなかったようだな……、流石に私の実力は分かっているか……」
ワーウルフ達の“飼い主”なら当然かと納得しつつ、アンシエは今度は迎撃せず、この場を離れる事を決断した。
落水の衝撃で全身を強く打っている上に、コンディションも万全とは言い難く、本能に訴えかけるつもりで実力差を見せつけてみたが、どうやらあのワーウルフ達は本能よりも“命令”を優先しているようだ。
相手にするだけ体力を消耗するだけだと判断したアンシエは、自分を追ってくる四体のワーウルフ達を引き離すべく、水路の奥へと走り出す。途中、水路中に響き渡る金属的な衝撃音が聞こえたが、構わず足を動かし続ける。
だが、アンシエがどれだけ必死に逃げてもワーウルフの方が速いようで、徐々に距離が縮まっていくのを感じた。背後からは獣の足音と荒い息づかいが聞こえる。
このままではいずれ追いつかれる。そう判断し、アンシエは取って返すと迎撃の構えを取る。地下水路の正確な構造を知らない以上、いずれ追いつかれる逃走を続けるのは得策ではない。
ならば、ここで迎え撃つまで――。
アンシエは覚悟を決めると、ワーウルフ達の凶爪をギリギリまで引きつけて――、刹那に身体を捻り、渾身の力を込めて刺突を放った。それは見事に一体の首を貫き、致命傷を与える事に成功する。
必殺ができたのは、カウンターを狙ったからだ。当然警戒されるため二度目は狙えず、そこからは残る三体の攻撃を剣捌きでいなしつつ、隙を探っては斬りつけるという攻防を繰り返す。
しかし――、
「ぐっ……!!」
ワーウルフは仲間を盾にするように、アンシエの前に躍り出た。地下水路が薄暗い事が災いし、闇に溶け込むような体毛に紛れて、相手の姿を正確に捉えられていなかったのだ。
不意の一撃が肩口に命中し、アンシエは痛みに顔をしかめる。
(しまった――!!)
そう思った瞬間には、別のワーウルフがすでに腕を振り上げており、咄嗟の防御も間に合わないタイミングで鋭い爪撃を繰り出してくる――!
だが、そこで思わぬ事態が起こった。
「ギャンッ!?」
突然、光弾が目の前にいたワーウルフを撃ち抜いたかと思うと、視界の端に小さな人影が現れたのである。
驚きつつも反射的に剣を構えると、アンシエは新たな敵かと警戒する。
しかし、そこにいたのは――、
おそらく気絶していたのは数秒の事だろう。さもなくば、今頃アンシエは溺死していたはずだ。重い甲冑を着けたままの状態では、自然で浮かぶ事もできないのだから。
躊躇いなく甲冑を脱ぎ捨てて水面に顔を出すと、なんとか息を整えつつ、まずは自分が落ちた場所を確認する。
ここはやはり地下水路の中のようだ。わずかに光が差し込んでいるが、それでもかなり薄暗く、ランプがなければ足元が危ういだろう。
その事を確認すると、アンシエは水路から挟むようにして敷かれた石材の床に上がり、とりあえず近くの壁際まで移動し、背を預ける。
それから自分の体に異常がない事を確認する。運が良いのか悪いのか、不幸中の幸いか、怪我はないようだが……。
「急いで地上に戻らなければ……」
アンシエは壁に手をついて立ち上がると、自分が落ちてきた井戸を見上げる。
ロープが切られてしまった以上、ここを登るのは難しいが、予想が正しければどこか別の出入り口があるはずだ。そう考え、先ほど見たものを頭の中から追い出すように首を横に振る。
あの時、確かに井戸の上から自分を見下ろしていたのは――……。
「……後回しだ。まずは、ここから脱出しなければ」
アンシエはそう呟くと、水路の奥へと足を進めようとして――、だが、その足はすぐに止まる事になる。なぜなら――、
「ッ――!!」
獰猛な敵意を感じ、咄嗟に剣を抜いて振り向いたアンシエの目の前に迫っていたのは、明らかに人間ではないなにかだった。
闇に紛れるような黒の毛皮をした二足歩行の狼――、すなわち、
「魔物――、ワーウルフかッ!」
アンシエが叫んだのと、ワーウルフの凶爪が剣とぶつかり合ったのは、ほぼ同時だった。
ガキィィン――!!
甲高い金属音が、地下水路に響き渡る。
一瞬の交錯――、アンシエは剣を振り上げ、ワーウルフの腕を狙う。
だが、相手も本能でそれを読んでいたのか、素早く後ろに跳んで一斬を躱す。アンシエは思わず舌打ちすると、すぐに体勢を立て直すために自分も後退した。
一方、ワーウルフの方はすでにアンシエとの距離を詰め、飛びかかる姿勢をとっていた。
「ハアッ――!!」
しかしアンシエは即座に反応――、身を捻りながら横薙ぎの一閃を放ち、カウンターで頸を落とす。ワーウルフはその一撃で絶命したが、アンシエはそれには目もくれず、次の敵に備えて構える。
「グルルルル――……」
数秒の戦いの間に、どうやら他にも仲間が集まってきたらしい。
視線を向けた先には、さらに六体ものワーウルフの姿があった。いずれも血走り飢えた瞳でこちらをにらみつけている。
(こうなった以上、もはや退路はない。ならば、戦うしかないな……)
アンシエは小さく嘆息すると、改めて剣を構え直し、口を開く。
「……お前達の“飼い主”について問い質したいところだが、魔物にそれを期待するのは無意味か?」
「グゥルアァ――!!」
挑発するアンシエの言葉に反応したのか、ワーウルフ達は一斉に襲いかかってきた。
アンシエは、今度は最初から加護の力を使うと決め、精神を集中させる。
そして――、
「戦神ッ、アルセイドの加護を!」
甲冑で隠されていた胸元の【聖刻】が輝きを放つと同時に、アンシエは迫るワーウルフに向かって突進。ワーウルフ達は一瞬怯んだ様子を見せたが、すぐにアンシエを迎え撃つべく凶爪を振りかざしてくる。
「遅いっ」
しかしアンシエはそれを冷静に見極めると、最小限の動きで攻撃を避け、すれ違いざまに先頭の一体を斬りつけた。そして勢いを殺さず、そのままワーウルフの間をすり抜けるようにして、残りの五体も斬りつけながら駆け抜けていく。
それも致命傷には至らず、遅れてワーウルフ達が振り返るが、もう手遅れである。
駆け抜けたアンシエの気合いとともに繰り出された横薙ぎの一撃は、瞬く間に最後尾のワーウルフの胴を両断していた。さらに返す刃で再び別のワーウルフの頭部を叩き斬ると、続けて取って返す勢いでもう一体の心臓を貫く。
「ギャウウッ!?」
一瞬にして三体――、仲間の惨劇を目の当たりにして、ようやく他の三体が我に返った時にはすでに遅く、アンシエは先ほどと同じ要領で二体を順に斬り伏せていた。
そして、最後に残った一体を――、
「グオォ――!?」
「これで終わりだ!〈戦牙衝波斬〉!!」
アンシエが剣を振り下ろすと、刀身から放たれた衝撃波が拡散して、最後のワーウルフの全身を包み込む。その威力たるや凄まじく、吹き飛ばされたワーウルフは壁に衝突し、肉塊となって弾け飛んだ。
「……ふぅ」
アンシエは軽く息をつくと、剣についた血を払うように振って鞘に収めようとするが、またしても近づいてくる別のワーウルフ達の気配を感じる。
「そう甘くはなかったようだな……、流石に私の実力は分かっているか……」
ワーウルフ達の“飼い主”なら当然かと納得しつつ、アンシエは今度は迎撃せず、この場を離れる事を決断した。
落水の衝撃で全身を強く打っている上に、コンディションも万全とは言い難く、本能に訴えかけるつもりで実力差を見せつけてみたが、どうやらあのワーウルフ達は本能よりも“命令”を優先しているようだ。
相手にするだけ体力を消耗するだけだと判断したアンシエは、自分を追ってくる四体のワーウルフ達を引き離すべく、水路の奥へと走り出す。途中、水路中に響き渡る金属的な衝撃音が聞こえたが、構わず足を動かし続ける。
だが、アンシエがどれだけ必死に逃げてもワーウルフの方が速いようで、徐々に距離が縮まっていくのを感じた。背後からは獣の足音と荒い息づかいが聞こえる。
このままではいずれ追いつかれる。そう判断し、アンシエは取って返すと迎撃の構えを取る。地下水路の正確な構造を知らない以上、いずれ追いつかれる逃走を続けるのは得策ではない。
ならば、ここで迎え撃つまで――。
アンシエは覚悟を決めると、ワーウルフ達の凶爪をギリギリまで引きつけて――、刹那に身体を捻り、渾身の力を込めて刺突を放った。それは見事に一体の首を貫き、致命傷を与える事に成功する。
必殺ができたのは、カウンターを狙ったからだ。当然警戒されるため二度目は狙えず、そこからは残る三体の攻撃を剣捌きでいなしつつ、隙を探っては斬りつけるという攻防を繰り返す。
しかし――、
「ぐっ……!!」
ワーウルフは仲間を盾にするように、アンシエの前に躍り出た。地下水路が薄暗い事が災いし、闇に溶け込むような体毛に紛れて、相手の姿を正確に捉えられていなかったのだ。
不意の一撃が肩口に命中し、アンシエは痛みに顔をしかめる。
(しまった――!!)
そう思った瞬間には、別のワーウルフがすでに腕を振り上げており、咄嗟の防御も間に合わないタイミングで鋭い爪撃を繰り出してくる――!
だが、そこで思わぬ事態が起こった。
「ギャンッ!?」
突然、光弾が目の前にいたワーウルフを撃ち抜いたかと思うと、視界の端に小さな人影が現れたのである。
驚きつつも反射的に剣を構えると、アンシエは新たな敵かと警戒する。
しかし、そこにいたのは――、
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