『今日も世界で誰かが虚しくなっている。卒業式編』

岩崎史奇(コント文学作家)

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『今日も世界で誰かが虚しくなっている。卒業式編』

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私が6年間通った小学校の卒業式が行われている。


「卒業証書授与」


五十音順に卒業生が校長先生から卒業証書を授与されていく。


そして私の順番が来た。


私は卒業証書を受け取る際に気になってしまった。


アレ?
校長先生ってこんなに顔のアブラのテカリ凄かったっけ?


顔面が餃子の王将の床じゃん。


校長先生には悪いけど、ちょっと気持ち悪いな。


私は席に戻っても校長先生の顔のアブラのテカリが気になり続けた。


校長先生も緊張して汗が出ているのかな?


今日は3月なのに気温が20度近くあって暖かいから
汗ばんでいるのかな?


それとも壇上でライトが当たって暑いのかな?


もしくは全部?


小学校生活最後の校歌を歌ってる最中も私の視線は校長先生の顔のアブラのテカリを捉えている。


見たこと無いけど油田って校長先生の顔みたいな感じなのかな?


顔を洗ってきてほしいけど卒業式の最中だし、さすがに無理だよね。


汗拭きシートとか持ってるのかな?


せめてハンカチで顔のアブラを抑えてくれたらマシになるのになぁ…


「卒業生退場」


アレ?
私以外の卒業生の女子みんな泣いてる…
涙してる卒業生のお父さんやお母さんもいるわ。


アレ?
私、校長先生の顔のアブラのテカリが気になって全然卒業式に集中できてなかったって事?


アレ?
私の大切な6年間が校長先生の顔のアブラのテカリで終わり?


アレレ?


マジかぁ…


『今日も世界で誰かが虚しくなっている』




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