哀愁漂う居酒屋

Rina

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哀愁漂う居酒屋~開店~

人生経験多いほど

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ある一角に哀愁漂う居酒屋がある。

中に入るとテーブルとカウンターに
分かれている。
切り盛りするのはマスターだけだ。

常連さんはマスターや旦那。
オヤジと呼ばれている。

このお店に通いだして分かった。
基本はテーブルに座る人が多い。
時たまカウンターに座る人はいるが
何やら悩んでるようだ

俺はカウンターに座ることができない
なぜ?と思うが今は座らない
というのが正しいだろう。

俺は2人用のテーブルに座り
注文してカウンターに取りに行く。

まぁ暗黙のルールというか
注文した品はカウンターで受け取る

めんどくさいなって思うけど
哀愁漂う居酒屋は許される

俺は受け取りテーブルで座る。
今日はハイボールと軟骨の塩唐揚げ
衣はすでに味が付いてるから
そのままで美味い。

ハイボールとお店の匂いを堪能してると
ふっとカウンターに目がいく

あれ?いつのまにか座ってる
サラリーマンかな?残業した感があり
俺も残業したなっと思った。

サラリーマン「マスター。ビール」

マスター「はいよ。」

手際よくビールとおつまみの枝豆がことりと置かれる。

サラリーマン「ふぅ~いただきます。」

勢いよくビールを飲む

サラリーマン「かぁ~残業後は旨い。」

マスター「今日はどうした?」

飲み終わった瞬間マスターが聞き出した。
やはり何かあるのであろう。

サラリーマン「あっ分かる?実はさぁ~俺離婚切り出されてさぁ~」

マスターは聞きつつタバコに火をつける

サラリーマン「なんでかな?って聞いたのよ?なんて言ったと思う?」

マスター「さぁね?」

サラリーマン「なんで分からないの?って泣きながら怒られてさぁ~こっちが泣きたいての!おかわり」

マスター「はいよ。」

マスターは手際よくビールを入れ置く。

サラリーマン「俺なりに考えた!でもよ?理由なんてこれぽっちもないんだぜ?嫁は子供連れて実家に帰っちゃうしよ~」

マスター「たしか最近産まれんだっけ?」

サラリーマン「そうなんだよ!もう可愛くてさぁ~ぷにぷにで本当に俺の子ってぐらい可愛いの」

マスター「顔怖いもんな。」

サラリーマン「マスターひでぇよ」

ビール飲みながら笑う。

サラリーマン「でさぁ~結局理由が分からない」

マスターは答えるかのようにタバコの煙をふぅ~っと吹く

サラリーマン「俺。ちゃんと仕事して残業もしたよ!嫁や俺の子の為にって思ってたよ~」

ちょっと涙目になってるのか声が震えてる。ちょうど1人の女性が入ってくる。

?「マスター。こんばんわ。」

そう言って女性はサラリーマンの横に座る。

マスター「今日はもう閉めた?ののかちゃん?」

美女の名前はののかちゃんっていうのか!キャバ嬢かな?めちゃ可愛ええ!!

ののかちゃん「閉めちゃった。お客さん来ないんだものぉ~」

サラリーマン「綺麗なお姉ちゃんだな。」

ののかちゃん「あらぁ~ありがとう!」

マスターはののかちゃんがいつも呑んでるハイボールを出す。

マスター「いつもの。」

ののかちゃん「ありがとう。」

と飲む。
飲む姿綺麗だな~やっぱキャバ嬢?

サラリーマン「お姉ちゃん?どこのお店?」

ののかちゃん「うん?ゲイバー寄っててね?のママよ!」

ゲイバー!!えっ?男の人?
負けた。何に?は言えない。

サラリーマン「ゲイバー?」

マスター「美女だからなののかちゃんは。」

ののかちゃん「照れちゃうじゃないの?本名は『今野 勇』(こんの いさむ)でぇ~す。いさむちゃんって呼んで?」

ウインクの音って聞こえるんだな~っと思いつつハイボールをぐいっと飲む。

サラリーマン「ぬわ。ハハハッ」

ののかちゃん「笑いすぎよ!で?悩み?」

サラリーマン「なぜそれを?」

ののかちゃん「うんまぁ~カウンターに座る人って何かしら悩んでたりするの」

なるほど!だから俺はまだ座れないのか。

サラリーマン「なるほどな~まぁ離婚切り出されて嫁と子供は実家に帰っちゃって理由が見つからないんだよ」

ののかちゃん「あるあるね!」

サラリーマン「あるあるなのか?」

ののかちゃん「あるあるよ。嫁の為に!子供の為に!って頑張ってきたのに理由が分からない!でしょ?」

サラリーマン「あるあるなんだな!」

ののかちゃん「そうよ。マスター!この子にビールと私にビール!」

マスター「はいよ。」

ビール2杯がカウンターに置かれる。

ののかちゃん「飲みながら話は聞いたあげる。奢らないけどね」

サラリーマン「ありがとう」

ののかちゃん「乾杯」

カチンっとグラスがぶつかる音が聞こえる。
俺はいつのまに聞き専になったんだ?っと軟骨の塩唐揚げを食べる。

ののかちゃん「奥さん可哀想よね?仕事して偉いとか掃除しろ。とかスーツも脱ぎっぱなし!」

サラリーマンはビックリしたようにののかちゃんを見る。

ののかちゃん「あとは。そうね~土日は後輩連れて居酒屋ってことくらいかな?」

サラリーマン「いや、だいたい合ってるけど家では俺が偉いとか言ってない」

サラリーマンの声が大きくなり少しびっくりする。
クスクスっとののかちゃんは笑う。

ののかちゃん「そいう人多いの!だから実家に帰ってやる。とか離婚。って言われるの!」

サラリーマン「俺は嫁のために」

ののかちゃん「だから!それだっての!」

サラリーマン「えっ?」

ののかちゃん「俺は稼いでるから偉い!って言ってるの!」

サラリーマン「そいうつもりは」

ののかちゃんはマスターにタバコいい?っと聞き火をつける!

ののかちゃん「ふぅ~。外で働いてるから偉いとかないの!奥さんも偉いというか凄いの!帰ったら当たり前のようにご飯があり部屋も綺麗!なのにそれが普通にというか何も思わないようになってる。」

サラリーマン「俺はそいうつもりでは」

ののかちゃん「そいうつもりではない!って言うのよ。でもよくよく考えてみな?毎日お昼にお弁当食べれて暖かいご飯食べれて朝まできっちり寝れる」

サラリーマン「それは俺がしろっとは言ってない」

ののかちゃん「言ってなくても!そうするのが貴方が外で頑張ってくれてるっていうありがとうなの!ありがとうの一言言ったことある?」

サラリーマン「ないかも?」

ののかちゃん「はい。アウトぉ~!!一言あれば良いって事じゃないけどたまに子供の面倒みたり家事を軽く変わってあげたりする!」

サラリーマン「俺。家事とかしたことない。」

ののかちゃん「まぁ~無理にしろって言っわけじゃないけど貴方なりにちょっとしてみたら?」

サラリーマン「なにをすれば?」

ののかちゃん「そうねぇ~?ここに居ないでお迎えにでもいって土下座して謝ってくれば?」

サラリーマン「あぁ!そうだな。マスターお会計」

と言いビールを呑んでお金をカウンターの上に置く。

マスター「ちょうど。」

ののかちゃん「まぁ慌てずやりなさいよぉ~」

サラリーマン「ありがとう。また来るよマスター!」

と早口でいいドアを開けて家に帰って行った。

ののかちゃん「ふぅ~マスター。ハイボール頂戴。」

マスター「はいよ。」

ののかちゃん「いいのよ。お礼は」

えっ?マスター?今お礼言った?

ののかちゃん「色んな男女見てきたけど不満は色々とあるの!でも家族だからって吐き出すことはないのよ?不満は溜まるけど吐き出す所がないとゴミのように溜まってゴミ屋敷になっちゃう」

吸っていたタバコは灰皿に押し付ける。

ののかちゃん「男性は吐き出す所はあるけど女性はないからね!ましてや育児や家事!さっきみたいな甘やかされた男が居ればなおさら」

マスター「まぁな。」

ののかちゃん「マスターは甘ちゃんな男だと思ってないわよ?」

マスター「どうだか?」

ののかちゃん「そいう所好きなの。」


俺は少し考えた。
だぶん俺は·····

「ご馳走様でした。お会計お願いします。」

マスター「はいよ。」

ののかちゃん「あら?いい男じゃない?」

そう聞こえたがいつかは聞いてもらおうと思い笑ってお辞儀をした。

外に出ると人並みは少なく明日に向かって歩くのだった。
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