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一章

新ミレイちゃん

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エリサと作戦を話し合ったあと、疲れて眠ってしまった私は、翌朝いまさら初めて鏡をみた。

おおぅ。美少女!
睫毛長っ!てか睫毛もピンクなんだね。そりゃそうか。
瞳はグレーで、ピンク髪の可愛らしすぎる印象をうまく落ち着けている。
髪は緩くウェーブしていてセミロングくらい。
黙っていればどこか儚げな、透明感のある美少女。

オリジナルミレイちゃんの行動、言動からは、明るい小動物系美少女かと思ってたけど、儚さまで携えちゃってるわ。

なるほどぉ。これで男性を4人も手玉にとったのね!

「4人じゃないわよ?」

「エリサってエスパー?」

「声に出していたわよ、貴女」

マジか。どっからだろう。
自分の顔に見惚れてる実況を聞かれるとは。

「4人じゃないってのは、実は3人だったり…?」

希望を込めてきいてみた。

「いいえ。4人どころじゃないってことよ。もっと家格が低くて、あの4人に混じれないでいる貴女の信奉者は少なくないわね」

秒で希望を砕かれた。
マジか。オリジナルミレイちゃん恐るべし。



卒業パーティーの後からしばらくは学期の変わり目で学園の授業はお休みらしい。
自宅に帰る生徒もいれば、寮に残る生徒もいるそうだ。

だから、カルテットも全員は揃わないかもしれないと思ったけど、杞憂だった。
もともとオリジナルミレイちゃんが寮に残ると言っていたから、カルテットも残る気満々だったようだ。
や、帰りなよ。親に顔見せてやりなよ。女にうつつ抜かした間抜け面を。
まあ、今日に限っては全員一度に集められて都合が良かったけど。

「皆様、休暇中お呼び立て致しまして申し訳ございません」

「構わないよ、ミレイ。だが、どうしてローゼ嬢も?」

殿下がローゼ嬢を見やる。
ちなみに殿下は金髪碧眼だ。王子様って感じだね!

「それはローゼ様にも聞いていただきたいお話だからです。その上で謝罪させて頂ければ、と」

「ミレイが謝る必要などない!」

内容も聞かずに言い切れるなんて、傲慢すぎないかい、王太子殿下さんや。

「いえ、私は謝らねばならいと思います」

「…ミレイ?」

お。いくら脳内お花畑でも違和感を感じてるのかな?

「まず、皆様に聞いていただきたいのは、

私が記憶喪失になってしまったということです」

「「「「「記憶喪失!?」」」」」

あれ?
もしかして、今、アル様も喋った??

「はい。自分がミレイという人物であることも、失礼ながら殿下達のことも、ローゼ様のことも、さらには魔法やこの国の一般常識さえも、全て覚えていないのです。同室のエリサに、私がこの学園の生徒であることなどは教えてもらいました」

「何も…覚えていないのか」

「はい、何も」

「では、私の悩みを聞いて励ましてくれたことも、私が贈ったリボンをその場で嬉しそうに髪に飾ってみせてくれたことも、2人の秘密の場所で将来について語り合ったことも!?」

うっわぁ。オリジナルミレイちゃんたら★
それにしても婚約者の前でバラしちゃいけないことバラしてますよ殿下?あ、元婚約者なのかな?結局婚約破棄は完了したの?ローゼ様には殿下よりもいい人いると思うなぁ。ああ、ほら、殿下が勝手に色々自白するから、ローゼ様の表情筋がフリーズしてます。

「はい、申し訳ありませんが、覚えておりません。あの…殿下、失礼を承知で申し上げますが、婚約者がいらっしゃるのに他の女性と秘密の場所で2人きりになっていたんですか?最低です。」

「さ!?べ、別にいかがわしいことはしていない!」

「何をしていたにしても、その状況だけで不誠実です。軽蔑します。まあ、片棒担いでいた私が言えたことではないのでしょうけど」

あ、殿下が魂抜けたみたいになってる。軽蔑しますが効き過ぎたかな?あとで不敬罪で牢屋行きとかならないよね、私?大丈夫かな?



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