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Wデートのような1
しおりを挟むガチャリと大きな扉を開けてもらうと、そこにはフィア様が優雅にお茶をして待っていたのよ。
でもまだスペリア様は来ていないせいなのか、緊張でフィア様のコップが揺れているのがここからでも見えるわ!!
「エイミー様、お越しくださりとても嬉しいですわ!」
「フィア様、お呼び頂きありがとうございます。とても嬉しいです」
フィア様ったら震えを隠しながらも、いつもと同じように話しかけてくるんですもの、流石侯爵家の令嬢は風格から違うわよね!!
私も見習わないと……!
「とりあえずこちらに座って下さいまし、それからスペリア様が来る前にすぐに作戦会議をしますわよ!」
「は、はい!!」
フィア様の前にスペリア様が座るから、私はフィア様の横に座れば良いみたいね。
「エイミー様よろしくて?作戦手順はこうですわ。スペリア様が来たら、ワタクシがガンガンスペリア様を押しますわ!そしてワタクシがスペリア様に粗相を致しますので、それが庭園へと移る合図ですのよ。その後すぐに護衛のあの方をお呼び致しますから、お二人は先に庭園で待っていて下さいまし!」
「成る程、わかりました!!フィア様達が庭園に来るまでに、護衛さんにアプローチをすれば良いのですね!」
「ええ、その通りですわ!!エイミー様の検討を祈りますわ!」
こうして、私達の長い一日は始まったのです。
そして今、私とフィア様はスペリア様が到着したと聞き、すぐに出迎える準備をしに向かっている最中なのですけど。
「ふ、フィア様!?右手と右足が両方同時に出でますよ!!」
「ふぇっ!?あ、あらいやだわ。ワタクシとした事が……スペリア様に会えると思って緊張しているのかしら?」
フィア様はそう言ってるけど、何処となく顔まで赤くなってるわ!
うひゃぁ~!恋する乙女って感じでメチャクチャ可愛いわよ!!!!
本当、普段の台風みたいな姿と比べたらギャップが凄くて、落ちない男なんているのかしら!?
「ふふ、今日は私もついてますからアピール頑張って下さいね」
「ああ、エイミー様はなんてお優しいのかしら!やはり天使……」
「いや、天使じゃないですから私に向かって祈らないで貰えます!!?それにフィア様、前向いて歩かないと危ない……!!」
「キャっ!」
私の注意も虚しく、フィア様は曲がり角で誰かとぶつかってしまったようだけど……って、そこにいふのはスペリア様じゃない!!?
まさかもうすでにハプニングが!!?
「フィア様、すみません私の不注意で……」
「だ、大丈夫ですわ。それよりも何故スペリア様がこんなところに?今日はすぐにお迎えに向かうと聞いておりませんでして???」
「いや、何故か使用人に早く部屋に向かって下さいって圧をかけられてしまってですね……」
「ああ、しまったのですわ!!今日は使用人にまで伝えきれておりませんでしたのよ……」
二人の話を聴く限り、これはハプニングでは無かったみたい?
でもそうじゃないのに、こんな風にぶつかるなんてまさかフィア様は全て計算した上で動いているというの……!?
そしてその後フィア様のお部屋に戻った私達は、すぐに会話を始めたのですけど……。
「え?スペリア様、従者辞めたいって思ってるんですか??」
「いやぁ、そうなんですよ~。余り大きな声で言えないですけど労働環境がよくなくて……ってこれは殿下には内緒ですよ?」
「は、はい!」
何故か主に私とスペリア様が話しをしていて……って、ダメじゃん!!!??
フィア様とスペリア様の二人で話してもらわないと!!!
って、フィア様ったらニッコリ笑顔で余裕そうに見えるのに、手がすっごく震えていらっしゃるわ!
ここは私が上手く、誘導してさし上げないと!!
「よ、よく見たら私達3人とも、殿下の愚痴をいいたいと思っている3人ですね!!ふ、フィア様も今の話聞いて、殿下に思うところありません?」
「え!?え、ええ。ワタシクは殿下にいつも文句ばかり言っておりますわよ?」
「まあ、そうなんですね?でしたらお二人はそう言う話をした事は有るのですか?」
「ええと……」
フィア様ごめんなさい、話題を広げるのが下手すぎてダメだわこれ!!!??
「そういえば、2人のときは殿下の話はあまりしませんわ……いつも2人になるときは……」
「た、確かに!!2人のときは殿下の話じゃなくて、フィア様自身の話が多いですよねー!」
せっかくこんな話題を広げようとフィア様が頑張って言おうとしたのに、スペリア様が上手く逸らしたように見えたわよ!!??
く、ここで押さないと!フィア様のせっかくの作戦が台無しになっちゃうわよ!!
「そうなんですねー、でもせっかくなのですからフィア様にはスペリア様の横に座って頂いて、お二人のお話が聞きたいな~、なんて!」
少し無理矢理が過ぎたかしら?
でも、今ですよフィア様と私はフィア様にチラッとアピール!
「え、エイミー様それは良い案ですわ!!」
「いや、ちょっと待って下さい!?なんでそんな話に???それに私とフィア様が横に並んで座るのは流石におかしくないですか!!?」
動揺するスペリア様なんて気にせず、フィア様はスペリア様の横に座ろうとしたのに、フィア様が座る直前に盛大に転けたのよ。
「キャっ!!」
「あ、危ない!」
ドサっ!!っと倒れる2人の姿は私から見えないけど、え?すっごいどうなってるか気になるのだけど!!?
まさか今度こそこれが、フィア様のいっていたハプニング!?
「す、スペリア様!!大丈夫ですの!?」
「いや、それはこっちの台詞なんですけど……」
「そうではなくて、紅茶が服にかかってますわよ!!??火傷はされてなくて??」
聞こえてくる声を頼りに、スペリア様のカップをよく見ると確かに倒れてしまっているわ!
フィア様を助けるときに、倒してしまったのかもしれないわね……。
まさかフィア様はそれすらも計算していたというの!!!??
「いや、フィア様は大袈裟ですから早く上からどいてください!!!」
「大袈裟でも仕方がないですわよ、ワタクシのせいで怪我をされては嫌ですわ……」
もう2人が気になり過ぎるから、立ち上がって二人を覗く事をお許し下さい!!
スペリア様の上にはフィア様が乗っていて……つてその前にスペリア様の頭に紅茶かかってるんですけど!!??
「お二人とも大丈夫ですか!?すぐに使用人の方を連れて……」
「エイミー様!思ってたのと違いますけど、作戦Bに以降しますわ」
「え?作戦B????」
いや、そんなネーミングでしたっけ???
「ワタクシ達は少し席を外しますわ!エイミー様はこちらでお待ちになって!」
そう言って二人は部屋を出ていったのだけど、そのときフィア様がウインクしたのを私は見逃さなかったわ!!
よし、次は私の番だから頑張るわよーーー!
それ以前に、フィア様のアシストが上手くいかなかった反省は後回しにしましょう……。
頑張れエイミー!えいえいおー!!
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