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 今日はフィア様とのお茶会の日だわ。
 週に一度だけ行われるこのお茶会は、以前フィア様が没落したいと仰ってた事の作戦会議をするためのお茶会なのだけど……。
 何故かしら?フィア様の様子が変だわ!!?

「フィア様……ソワソワしてどうされましたか?」
「い、嫌だわエイミー様!ワタクシ……そ、ソワソワなんてしていませんでしてよ?」

 いや、めっちゃ挙動不審ですけども!!??
 ……はっ、閃いたわ!こんなにソワソワしているなんて、もしかして恋の話の方かもしれないわ!

「あの、もしかしてスペリアさんのことで何か進展があったんですか?」

 以前好きな人がいると聞いてから、何度か話した結果それがスペリア様である事を私は最近知ってしまったのよ!
 知ったときは凄く驚いたけど、スペリア様は真面目で誠実な人だし何よりも大人な色気がたまにあるものね……きっとそう言うところがフィア様に刺さったのかもしれないわ。

「えっあ、あっ……!そ、そうなんですの!実はこの間、家にお呼びする事がでたのですわ!」
「まぁ、そうなんですね!!」

 フィア様も自分の恋で、ソワソワ動揺しちゃうのね。思ったよりお可愛い方だわ……ふふっ。

「実は、スペリア様をまた今度お呼びしようと思うのですけど、やはり一人では緊張してしまって話せませんの。ですので、よろしければエイミー様が横についてて頂けると嬉しいのですけど」

 ん?……なんて????
 いやいや、なんでよ!私が横にいる必要がどこに!!!?
 驚きすぎで一瞬何を言われたか悩んじゃったじゃない!

「……ダメですか?」

 うっ!そんな首を傾げて可愛くお願いされたら、断れないのでやめて下さい!!!?
 ただでさえ美少女なのよ。もう、フィア様ったら絶対確信犯じゃないのこれ??

「そうですわね……来てくださったら、え、えーっと、そう!護衛さんをまた配備させて頂きますわよ?」
「え!?それなら行きます、行きます!!」

 そんな事言われたら、すぐさま手のひらクルっとしちゃうのは仕方がないのよ!!?
 護衛さんに会える機会なんて、フィア様の家に行かない限りないのよ!!!

「まぁ、本当!?よ、よかったですわ……」
「何がよかったのですか?」
「い、いえこちらの話ですわ!オホホホホ!!!」

 何故かフィア様はホッとしていたけど……もしかして私をどう誘おうかとソワソワしていたのかしら?

「ではワタクシが庭園に行くときにワタクシとスペリア様、エイミー様と護衛さんで別れましょう」
「わかりました!あとは自分で頑張ってみます」
「え、ええ。我が家の護衛がだいぶ変でも許して下さいませ」

 変!?変ってあの護衛さんの事……??

「いや、護衛さんに限ってそんなはず……」
「エイミー様が知っているのは、あの男の超絶真面目な護衛の姿だけですわよね?」
「確かにそうですけど……」
「でしたら、あの男の余りにも変人なところに驚いて恋から醒めない事を祈りますわ!」

 あまりにも変人って何が!!??
 本当にあの護衛さんが変人?
 そんな……って、あら?そんなに気にならないわ!?

「私、護衛さんならそういうところも愛せる気がします!!」
「エイミー様!?護衛全肯定人間になっておりましてよ!!???」
「成る程、愛の力って凄いです!!」
「ええ!!!??いえ、本当に何を言っておりますの???」

 恋をすれば、相手の全てが輝いて見えると聞いた事があるけど……間違ってなかったのね!
 それに今なら殿下が私に対してあんな態度だった理由がよくわかるわ。って、なんで護衛さんの話をしているのに殿下の事を思い出してるのよ私!?

「なんだかエイミー様、殿下に似てきまして?」
「なんて恐ろしい事を言うのです!!!!?」

 自分でもそうかもしれないなんて思ってしまったところなのよ??
 殿下に似てくるなんていやぁぁああぁあ!!!

「え、エイミー様……先程の発言は取り下げますから、落ち着いてくださいまし!今どう見ても女性として、してはいけない顔をしていましてよ!!?」
「はっ!元からひどい顔なのに更に不細工にですって……!!?こんな姿、護衛さんの前で晒せないわ!!?」
「いやでも、殿下なら全肯定しそうだから大丈夫じゃないかしら?」

 確かに!!
 って、エイミー。何が確かになのよ!!!
 今は護衛さんの話をしているのに、なんで殿下!!?

「フィア様!今、殿下の話は関係ないじゃないですか!もう、やめて下さいよ!!??」
「い、今のは間違いですわ!!多分、護衛もエイミー様のその顔を見たぐらいじゃ、嫌いにはならないと思いましてよ??」
「そんな訳ないじゃないですかぁ~!!!」

 絶対、ぜ~ったい凄い不細工なのよ??
 護衛さんだってドン引きして、嫌うに決まってるわ!!

「ゴホン。とりあえず、当日は何があっても護衛のせいにして下さいまし?」
「え?あ、はい……」

 何があっても……とは?
 何か起きる事前提なのかしら??

「エイミー様。一緒に恋のため頑張りましょうね!!」
「は、はい!!」


 こうして私達の恋の作戦会議は終わったのです。
 没落するための作戦会議は?と一瞬思ったのですけど、それよりも護衛さんに再び会える事が嬉しくて、どんなオシャレをして行こうかなんて浮かれてしまったのよ。
 それなのに何故か護衛さんの事を考えるたび、頭の片隅に殿下の顔がチラチラしてしまって、何で!?と頭を抱える日々を過ごしてしまっただけど……。

 いや、本当に何で護衛さんの頭の部分に殿下の顔が思い浮かんじゃうのよ!!?
 私、殿下の顔がタイプだったの???
 何でよ、ありえないんだから!!!!
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