18 / 65
婚約者様襲来1
しおりを挟むああ、何で在校生代表として入学式に参加しないといけないのかしら……そんなわけで今日は新入生の入学式があるのよ。
今年は殿下の婚約者様が入学するからと、見物人が多いのよね。
それよりもなによりも、今日1番大事なのは殿下の婚約者様よ!!
私の存在を何故か肯定していると言う変な人だし、前に一度偶然会ってしまったときもだいぶ変だったもの。
もし私がエイミーだとバレたら、一体何を言われるのかわかったもんじゃないわ!?
なるべくバレないようにコソコソしないと……。
そういえば、婚約者様は成績も優秀らしくて新入生代表として話すみたいなのよね。
やっぱり私と比べたら天と地ぐらい差があるし、殿下は何の不満があるのかしら?
そうね、性格……以外何も思い浮かばないのだけど!?
あ、丁度婚約者様が出てきたわ。相変わらず、美しいプラチナブロンド。今日は特に縦ロールがきまっているわ。それに何て力強い茜色の瞳なの。
きっと何かを決意されているんだわ。
一体何を仰るのかしら……?
「おーっほっほっほっ!!!皆様、ワタクシの為に集まって頂きありがとうございます。皆様もご存知であるワタクシこそ、第一王子クレス・グレフィアス王太子殿下の婚約者である、フィーリア・ブレイズですわ!!」
えっ、すでに挨拶として色々とおかしくない!?
私の周りも同じ事を思ったのか、ポカンと口を開けてフィーリア様を見ている人しかいないわ……。
「そして皆様にひとつ知っておいて欲しい事がございますのよ?実はワタクシ、殿下の事が大キライなのですわ」
えええぇぇええぇえええええ!!!?
ちょっと待って、今の言葉で全ての人が凍りついたわよ!!?
「ですから、ワタクシの前で殿下を持ち上げるような事は無さらなくて結構!ただ不愉快ですわ!それからワタクシは殿下とこのまま婚姻を結ぶつもりもございませんので、もし殿下を狙っている方がいるのでしたら、皆様こぞって奪いに来てくださいませ!おーほっほっほっ!!!!」
もう内容がおかし過ぎて固まっていた人達はすぐに復活したみたいね。でもその人達がザワザワし始めたせいで、婚約者様のお言葉は途中からよく聞こえなかったわ。
ただ殿下を奪っても良いわよ的なニュアンスだけ耳に入った気がするのだけど!?
そのせいなのか前の方では令嬢達が、歓喜の叫び声を上げてるように見えるわね……。
一体フィーリア様は何を考えているのよ!?
私には全くわからないし、とても恐怖を感じるのだけど!??
そしてこの後も、フィーリア様のせいで入学式は滅茶苦茶で、全く進行通りに進まないまま入学式は無事?終了したようで、私は先生方が少し可哀想に思えてきたのだったわ……。
そして今の私は在校生として、新入生を教室へと案内する役目がまだあるのよね。
……本当、早く帰りたいわ。
「エイミー!!」
ほら、帰れないからこうやって殿下と偶然鉢合わせしたり……え?殿下!???
「ででで、殿下っ!?なんでここに?」
つい周りに誰もいないか、確認してしまったわ。
よし、誰もいないからセーフ!!
「僕も入学式の手伝いだよ?ずっと探していたのだけど会えてよかった」
「いや、私は良くないです」
ここは、キッパリ言っておかないとね!
「ははは、また照れちゃって~」
「照れ隠しじゃないですから!!!!」
「ふふふ、そんな照れてるエイミーも好きだよ」
いや、照れてないし告白すんな!!!
しかも殿下も何でか照れ始めたし……照れるなら言わないでよ!?
何か私まで恥ずかしくなってきたじゃない……ダメよエイミー!イケメンの照れ顔に絆されるなんて!!相手はあの殿下のなのよ、気をしっかり持って!!
頭ではわかってるのに、瞳を逸らすことができないわ……それに殿下に手を取られてしまって、なんだか殿下の顔が近づいているような……。
だ、ダメよエイミー!魅惑に負けないで!!
だ、ダメーーーー!!!!
「殿下~!!」
「どちらにいらっしゃるのですかー?」
「私達と少しお話しませんか~?」
令嬢達が殿下を探している声がする!!?
その声で我に帰った私は、咄嗟に殿下の手を振り解いたわ!
一瞬残念そうな顔をした殿下は、私に微笑むと更に顔を近づけてきたのですけど?
ひゃっ!何でさらに近づいてくるの??
これ以上は……だ、ダメなのに!!!
ひぃっ!!
な、何なに?な、なんかオデコに柔らかい感触が……って、ででで、殿下の唇が私のオデコについてない??それは完全にキスじゃない???
混乱する頭の中、ようやく離れてくれた殿下の顔を私が見れるわけなくて、俯いてしまったわ。
きっと顔は真っ赤で、酷い顔をしているもの。
「エイミー、また後で会いにいくからね?」
そう言って去っていく殿下を見送りながら私は思ったのよ。
え?また来るの??もう来なくていいわよ。
だって殿下があんなことしてくるから、私の心臓がもう持たないじゃない!!??
その後も、殿下がいつ現れるのかとハラハラしながら作業をしていたせいで、先生に体調がわるいんじゃないかと疑われたじゃない!!
そのせいで保健室送りになった私は、保健室の先生に何処が悪いのかと聞かれて、それは心です!なんて言えなくてとても恥をかいてしまったわ……。
もう、何もかも全部殿下のせいなんですから、絶対に許しませんからね!
0
お気に入りに追加
100
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた
菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…?
※他サイトでも掲載中しております。

【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中

わたしのことがお嫌いなら、離縁してください~冷遇された妻は、過小評価されている~
絹乃
恋愛
伯爵夫人のフロレンシアは、夫からもメイドからも使用人以下の扱いを受けていた。どんなに離婚してほしいと夫に訴えても、認めてもらえない。夫は自分の愛人を屋敷に迎え、生まれてくる子供の世話すらもフロレンシアに押しつけようと画策する。地味で目立たないフロレンシアに、どんな価値があるか夫もメイドも知らずに。彼女を正しく理解しているのは騎士団の副団長エミリオと、王女のモニカだけだった。※番外編が別にあります。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる