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令嬢達の集い(スザナ視点)

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エイミーのリボンをなおしてくれた令嬢、スザナ様視点です。
完全ツッコミ不在のですので、心でツッコミをしながら読んでください。ツッコミ入れるところないかもですけど……。

ー  ー  ー  ー  ー  ー









 ここはノーランヒルセン学園にある教室。
 休みの期間にも関わらず薄暗いこの部屋で、何故私たちが集まっているのか……それには、訳があるのですわ!!

 そんな私の名前はスザナ・エリミナル。
 そう!カリスマといえばこの私!!
最近の流行の最先端を走り、今やこの学園で私を知らない存在はいないカリスマ的存在ですわ!!
 そんな私には野望がありましてよ?それは富を得ることですの。
 そのためなら、このようにして世論だって操作してみせますわ!

 そして今日、私がこの薄暗い教室に10人もの令嬢を集めたのには訳がありますのよ?
 まあ、この方達は私の取り巻きなのですけどね……。
 でも今はそんなことよりも、大事なことがありますわ!!

「皆様、お集まり頂きありがとうございます」
「頭を下げないでくださいませ。私達はスザナ様のためでしたらどこへでも行きますわ」
「そうです!スザナ様のために私達はいるのですよ!!」
「私もですわ!!」

 令嬢達のその言葉に、私のボルテージは更に高まってきましたわ!

「いいですか皆様、私達『殿下の初恋を応援するための令嬢達の会』はついに……、ついにお相手を見つけましたのよ!!」
「ほ、本当ですの!?」
「流石スザナ様ですわ、素晴らしい!!」

 そうです、もっと私を褒め称えるのですわ!!
 フフフフフ……。

「そして、そのお方は誰なのですか?」
「もしや今噂で流れている金髪に桃色の瞳をもつ女性かしら?」
「気になるわ~」

 集まっている令嬢達のテンションも上がって来ましたわね、タイミングは今しかありませんわ!

「皆さん、お静かに!今からお伝えする相手は、絶対に誰にも言っては行けませんわよ?」
「はい!わかっておりますわ」
「もちろん、誰にもいいません」
「私達はスザナ様のお言葉が絶対ですもの!」

 私に心酔しているこの方達なら、信じられそうですわね。

「では、お相手をお伝えしますわ。殿下の初恋のお相手、そして殿下の想い人とは……」
「「「とは……?」」」
「…………それは、エイミー・ミューシアス伯爵令嬢ですわ!!」

 その名前を聞いた令嬢達はどうやら名前を聞いても、一瞬誰だったか思い出せなかったようですわね……。
 仕方ありませんわね、エイミーさんはとても地味ですもの。

「え、エイミーさんって、あのエイミーさん?」
「確かにパーティーでは殿下からいじめられてないのかと、心配されていましたけど……」
「ウワサの人とは全く違って地味ですよね」

 ……思ったよりも、これは酷い言われようですわ!!
 しかしこのままでは、良くありませんわね。

「皆様、相手が誰であろうと私達はお二人を陰ながら応援する事を誓った仲ですわ!!そして、よく考えてくださいませ。地味な女性が煌びやかな男性から一途に思われ……そして恋に落ちる。それはまさしく素晴らしきラブロマンスではありませんか?」
「……確かに、そうですわ!」
「これこそ私達が求めていた恋物語!!」
「流石スザナ様ですわ!!」

 そうよ、さすが私ですわ!
 令嬢をその気にさせるなんて、お手の物ですのよ?
 さあ、仕上げをおこないましょう!

「皆様、私達がする事は1つだけですわ!」
「「「それは……?」」」
「それは、私達の仲間を増やすことですわ!!」

 ビシッと決まりましたわね。
 そして反応はどうかしら?

「素晴らしい考えですわ!!」
「ああ、なんて瞬間に立ち会えたのかしら……」
「私も頑張りますわ!」

 フフフフフ……どうやら反応もいいみたいですわね!
 今回令嬢達に集まってもらったのは、私の同志を増やすことが目的ですもの、賛同して頂かないと困りますわ。

「では皆様、ともに頑張りましょう。そして私達は陰ながら二人の存在を慈しむのですわ!」
「ええ!もう今から楽しみですわ……」
「本当に、素晴らしいことです!」
「一体どんな大恋愛が起きるのかしら?」

 盛り上がってきたところ悪いけど、しっかり手綱を持つのも私の役目ですわよね。

「いいですか、私達は絶対にエイミー様にバレてはいけませんからね!私達がすることは、陰ながらひっそりとですわよ?」
「もちろんですわ!!」
「そして、エイミー様と殿下が素敵な恋に落ちるように、守るのですわ!!」
「「「はい!!」」」

 フフフフフ……。皆様、もうすでにウットリしていますわね!これはきますわ!絶対にきますわ!!

 新たなる流行の最先端が!!!!

 このカリスマの目をもつ私に狂いはありませんわ!
 そして、カリスマの私に不可能という文字もありませんわ!!

「さあ、皆様!エイミーさんと殿下の幸せを願って頑張りますわよ!!!」
「「「はい、スザナ様!!」」」


 こうして、私の新たな道は開かれるのですわ!!
 例えこれが成功しても、失敗しても……これは殿下の初恋という美しいストーリーとして語り継がれることが既に決まっているのですわよ?
 そして歌劇や、小説となってブームを巻き起こす!そのことこそが私の役目!!

 フフフフフ……。
 これで一財産儲けてみせますわ!!!

 すでに新年度に向けた計画は実行中、そしてこの間のパーティーにて殿下からお心遣いも頂いてしまいましたからね。
 ここからはやるしかないのですわ!!

 ですが、先程も言ったとおり私に不可能と言う文字はありませんのよ?
 エイミーさん、待っていて下さいね。
 すぐに殿下への花道を作ってみせますわ!!!


 その前に、私もエイミーさんと友達になりたいものですわね……。
 でも今はまだそのときではありませんのよ?
 フフフ、フフフフフフ……!!!

 今日も素晴らしい話し合いが出来て私は満足ですわ!
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