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エイミー自分でピンチになる3

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 殿下とデートという呪われた日がついにきてしまったわ。
 本当はすぐに帰ろうと思ってたのに、なんで……。

 なんで、王宮の庭園でデートなのよ!!!

 これじゃあ、殿下はお帰りになった方がいいですね作戦が使えないじゃない!!
 こんなところじゃ勝手に帰る事もできないし、どうしたらいいの!?

 でもまって、殿下とのデートは夕方までよ?
 今は庭園でティータイム中だもの。そのまま殿下の会話を流して、ちょっとお茶して帰ればいいだけじゃない!
 それまで頑張って耐えて見せるのよエイミー!

「エイミー、少し庭園を見ながら話をしないか?」

 なんで!!?人がせっかく方針を固めたところなのに、予想外の事をしてくるのよ!

「エイミー、お手をどうぞ」
「まだ私行くとは言ってないのですけども?」
「ははは、そうかエイミーは僕とのデートで照れているんだね?困ったオカメインコちゃんだ!」

 なんでオカメインコよ!!?
 そのチョイスなんなの!!!!

「オカメインコのほっぺが赤いから照れてる君のようだろ?」
「いや、照れてませんから!?」

 殿下の例えに付き合ってられないわよ……。
 それにしても、この庭園……昔来たことあるうえに、私の嫌な思い出の場所なんじゃないかしら?

 私、昔ここで王子様に会った事があるのよね。
 そのときは王子様に憧れていたからとても喜んでわ。
 でもその話をお母様にしたら、『王子様に憧れるのは5歳までよ』なんて言われてしまって当時10歳の私は大いにショックを受けたのだったわね……嫌な思い出だわ……。


「ぼーっとしてどうしたのエイミー?」
「っで、殿下!?」

 凄いお顔が近くて危うく、突き飛ばすところだったわ……ビックリした。
 殿下の綺麗な顔で、いきなり近づいてこないでほしいわよ!!いつもいつも、心臓に悪いんだから!

「はい、エイミーには花が似合うよ!」
「花……?」

 そっと耳に花を挿してもらったけど、どんな花か見ていないから似合ってるかもわからないわ……。
 でも、なんだか少しだけ可愛くなれたかしら?
 別に殿下に見て欲しいわけじゃないですけど!

「エイミー大変だ!」
「え、なんですか?」
「僕からしたらエイミーが可愛すぎて、花が引き立て役としては物足りないかもしれない!!!」

 もう、いつもの病気発症してるわよ!!?
 ちょっとカッコいいとこあると思ったのに、やっぱりおかしいわよこの王子!!

「それに、やっぱり僕はエイミーが好きだ」
「殿下は、婚約者いるからダメです!!」
「でも僕は必ずエイミーが納得いくような結果をだしてみせるから……だから僕を信じて待っていてくれないか?」
「信じるも何も、私殿下のこと好きじゃないから待ってないですよ?」
「エイミー、辛辣っ!!?」

なんと言われようが、私は殿下の事を好きになんてならないので、そこは自分に安心できるわね!

「ところで、なんでデートを庭園にしたのですか?」

 わざわざデートするのに、王宮内なんて殿下らしくないわ。殿下ならデートプラン完璧に組んで私が逃げ出す隙を与えなさそうなのに。
 いや、でもこれも逃げ出せないから同じなのかもしれないけど……。

「……ねぇ、エイミー。この場所覚えてる?」
「この場所?」

 よく見るとここは、あの記憶の場所じゃない!?
 何で殿下はこの場所を??

「ここは、僕とエイミーが初めて会った場所なんだよ?」
「え、そうでしたか……?」
「あの日エイミーは僕に、王子様といってキスをしてきた」

 へ?なんで殿下はそのときの話を知っているの?
 まさか、王子様は…………。

 本当にいたの???夢じゃなくて?

 しかも今の話だと、殿下は私と王子様が出会ったところを偶然見たんだわ!
 ということは、殿下は私の王子様の正体をしっているわけね!!

「殿下は、その王子様をご存知で?」
「いやいや!!今の話の流れだと、王子様は僕だよね!?」
「いや、ないです。ありえませんよ!!!私の王子様がこんなんなわけが無いじゃないですか!?」

 そうよ、絶対に気を引くために言っている嘘に決まってるわ!

「エイミー、そんなぁ~」
「それに、王子様と聞いて一瞬喜びかけましたけど、私もう王子様を望む年齢ではないのですよ?」
「で、でも僕との思い出は??」
「いいですか、私の前で二度と王子様の話はしないで下さい!!」

 それは私の恥ずかしい過去なの!
 今すぐに封印しなくてはいけないものなの!!!

「そ、そうか……わかった。エイミーが望むならこの話はもうしないよ」

 キツく言い過ぎたかしら、少しションボリしてしまったわ。
 でも殿下がいけないんだわ、突然私の王子様は自分だなんて言うんだもの……!


「だけど、エイミー……」
「な、何でしょう?私の事嫌いになったと言うなら今ですよ?」

 酷い女である私を見せつけて幻滅させる作戦が勝手に発動したみたいね!
 さあ、殿下。早く言ってください!幻滅したよ、エイミーと!!

「エイミー…………」

 ゴクリ。

「今度の卒業パーティーで、僕にエスコートさせてくれ!!!」

 なんでよ!!?
 殿下のメンタルどうなってんのよ!?
 しかもどっからその話きたのよ???
 それ以前に……。

「殿下は婚約者様のエスコートがあるじゃないですか!!?何、寝ぼけた事いってるんですか???」
「いや僕は寝ぼけてないよ?お目々ぱっちりで、エイミーの可愛い姿もしっかり見る事ができるぐらいベストコンディションさ!!」
「つっこんで欲しいところはそこじゃないんですけど!!??」

 殿下の思考回路はどうなってるのよ!?
 もう、誰か助けて!!!

「ああ、フィアのことか……あいつはまだ在学生じゃないから、今回のパーティーは顔見せ程度ですぐに帰る予定だ。だからその後でも!」
「絶対に近づいてこないで下さい!!!!」
「ええ!?そんなぁ~」

 そんなぁ~、じゃない!!
 なんで、大丈夫だと思ったのか教えてほしいぐらいなんだけど!!?

「それに、私のためを思って頂けるのでしたら今はやめてください。最近、殿下に思われ人がいると噂になっているのですよ?」
「ああ、それ僕が流してるから」
「なんで!!!!???」

 私が危険になってるのは、殿下せいなんじゃないの!!
 好きだと言うのならもっと誠意を見せてほしいものだわ……。

「一応はエイミーの隠れ蓑用にだから、見た目は全く違う人物像が伝わっているはずだよ?エイミーには迷惑をかけない、そう言っただろ?」

 殿下、私の手を勝手にとってそんなカッコよく言われても、別にドキドキなんてしませんから……。
 でも少しは私のこと考えたくれてたみたいなので、感謝はさせてもらいますけどね。

「殿下、ありがとうございます」
「え、エイミ~~!!!ああ、僕はやはり君のことが好きだ!!僕と結婚してくれ!!」
「待って、今のでなんで告白されるの!!?」

 しかもなんか結婚してくれって聞こえた気がするのだけど……気のせいかしら???

「ああ、すまない。君の微笑みを見たらこの想いをいますぐに伝えないと、と思ってしまって……」
「いや、私……微笑んでました!?」
「ああ、凄く美しい笑顔だったよ」

 そんな眩しい笑顔で言われても信用できないわ!
 きっと殿下の妄想ね……。

「じゃあ、改めて……僕は君のことが好きだ!」
「いや改めないで!!!何度言われてもお断りいたしますから!!!」


 叫ぶ私は、一瞬でも殿下の事をいい人だと思ったのが間違いだったのよ……。
 だから殿下の前では二度と笑わないようにするわ!
 そう心に決めて、今日のデートは幕をとじたのでした。
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