やめて抱っこしないで!過保護なメンズに囲まれる!?〜異世界転生した俺は死にそうな最弱プリンスだけど最強冒険者〜

ゆきぶた

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おまけ ()内は相手キャラ 主にギャグとイチャイチャ

新婚旅行に行く話 (ダン)

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ダンとバカンスを楽しむイルの話、糖度低め

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今俺は、執務室で大きなため息をついていた。
それは目の前の書類が全く片付いていないことが原因だった……。

俺の怠慢で書類が片付いていない訳じゃない。
原因は、ダンが俺を数日間王宮から連れ出したためだ。

そう、あの日もこんな風にため息をついていた。



「はぁ、なんか息抜きとかしてみたい……」

俺は日々の書類仕事にそろそろ疲れが来ていた。
だから、少しぐらい現実逃避で言うのはタダだろうと、ポツリと呟いただけだった。

「じゃあ、旅行いくか!」
「は?」

そうダンの声が聞こえたときには、すでに景色が執務室から真っ青な海へと変わっていたのだった。

「って、いきなり海ぃぃいいいいいい!!!」
「おう、いいところだな!」
「ダン、なんだその格好!?」
「新婚旅行といえば、海だろ!!そしてアロハシャツだろ!!」」

そういえば、こいつも転生者だった事を思い出す。
ここに転生した時代がずれているはずなのに、聞いた年代はそんなに離れていなかったのでとても不思議である。
それよりも、今ダンはなんといった?
新婚旅行……?そう聞こえたけど……。

「まて!俺達は結婚してねぇえええ!!!!」
「世間体では結婚してる事になってるから別に良いだろ?」
「よくない!!!だって、俺はまだ一番を選んでないんだぞ……」

だから俺がそれを認めてしまったら、ダンを選んだことになる気がして嫌だった。
そんな俺を見て、ダンはほっぺをポリポリとかいていた。

「まぁ、それはわかってるんだけどよ……なんか気分的になぁ……って、まあ俺が悪かった。でも今日一日だけは俺とバカンスを楽しんでくれねぇか?」

少し寂しそうに言うダンを見てしまったら、ダメなんて言えるわけもない。
それにもしかしたらダンはバカンスに何か思い入れでもあるのかもしれない。

「それぐらいなら、いい。俺だって少し休憩したいと思っていたところだからな」
「ありがとうな、イル」

やはりいつもに比べたら、何処か気落ちしているように見えてしまい、俺はダンに合わせてアロハシャツを着てやる事にした。

「イルの分まで用意しといて良かったぜ」

なんて言うダンに、何で俺の分も持ってたのかとか、この服自分で作ったのかなんて聞けそうになかった。


「それで?ダンはバカンスで何がしたいんだ?」
「いや、それが忙しくてバカンスってした事なくてなぁ……よくわからねぇんだよなぁー」

とても悲しげに言うその姿から、もしかしてダンはバカンスをしてみたかっただけなのか?なんて思ってしまう。
確かダンは過労で死んだみたいなこと言ってたし、憧れていたのかもしれないな……。

「……じゃあ、イルはバカンスってした事あるのか?」
「俺?俺は……」

ほぼ前世の記憶がない俺は、バカンスで引っかかる記憶を思い出そうと頭をしぼる。

「あっ!会社の社員旅行で一度だけあったかも?」

何で社員旅行で行ったのかもよく覚えてないけど、俺はなんかぼっちで過ごした惨めな記憶まで思い出しそうになり、全てなかったことにした。

「おお!どんなことしたんだ?」
「海で泳いだ!ひたすら泳いだ!ああ!!それ以外の記憶がないぃぃいいい!!!」
「なんか、良くない事を聞いちまったみたいだな、すまねぇ……」

凄く同情されてしまい、俺はもう帰りたくなってしまう。
だから、もうヤケクソに言ってやった。

「でも、のんびりできればそれだけでバカンスじゃないのか?」
「まぁ、そうか!じゃあ、ここにコテージを建てるか!」
「今から!!?ってか、ここに建てたら怒られるだろ???」
「いや、ここ無人島だから誰もいないぜ?」

は?

「なんだってぇぇええええええ!!!!」

ダンもニヤリと笑ってんなよ!
まずバカンスは無人島でやるもんじゃねぇええ!!

「じゃあ、早速適当に作るかー」
「だから何で今から!!?」
「え?ほら、ブルーの力でほらこの通り!!」

近くにあった木々が消えたと思った次の瞬間には、ボン!!っと大きい音とともに、小屋が現れた。

「何で!!??」
「思ったより小さいけど、二人で休むだけだしいいよなぁ~?」

そう言いながら呑気に扉を開けて入っていく。
混乱している俺は、ダンに続いて扉を開けると……。
窓から、青く輝く海が目に飛び込んだ。

「うおー!!すごい綺麗だ!!!」
「どうだ?窓の外にサマーベット的なの置けば完璧じゃないか?」
「確かに!!」
「じゃあ早速用意してくるわー」

そう言って窓の外に出たダンを見送って俺は、窓から海を見つめる。
そしてなにかと疲れていた俺は、気がつけば太陽の光が暖かくてウトウトと床で眠ってしまったのだった。


そして、次に目が覚めると……。

「お、起きたからイル?」
「ダン……え!?」

俺は何故かサマーベットの上でダンに抱きしめられて寝ていた。

「いや、なんで!!?」
「それが、二つ作ろうと思ったんだけど材料が足りなくてな……それに、どうせするんだから一緒の方が良いだろ?」
「するって何を!!?」
「え?バカンスって恋人とイチャつくために行くんだろ?ならする事も一つしかねぇよな!」

そんな俺の傷を抉る事をいうんじゃない!!
それに恋人って言うのも実際はおかしいから!!

「別にゆっくりできればよくないか?」
「いや、俺達は新婚旅行だから必ずするぞ」
「だから新婚旅行でもない!!!」
「でも、するだろ?」
「う……こんな外で?」
「無人島なんだから大丈夫だぜ?」

それでも外でしたくない!!
そう思った俺の願いも虚しく、俺はこの後ダンに良いように美味しく頂かれてしまったのだった。


「ああ、もう暫くここにいるかー?」
「いや、早く俺を王宮に戻せ!!!!」

こうして俺は数日この無人島でダンとイチャイチャして過ごしたのだった。



まあそのせいで今の俺は忙しいのであって……。
もう、全てダンのせいだからな!!!??
こうして俺は嘆きながら書類仕事をしていた。

「おう、イルまた何処かに行かねぇか?」
「もういかねぇよ!!!」

その言葉に嫌な予感がした俺は、身構えたのだった。













─────────────────────

こうしてまた最初にループするのです。

おまけは全てこんな感じのギャグイチャメインです。
ギャグ要素高いBL書くまでは隔週ぐらいで更新するかもです。

次はルーディアの話になる予定。
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