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おまけ ()内は相手キャラ 主にギャグとイチャイチャ
短編 拐われた話3
しおりを挟む新作記念の短編3話目です!
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あの男達がこの部屋から去ってもう何時間経っただろうか、体感3時間ぐらいだろうか?
そしてオークションは多分時計がてっぺんを過ぎてからなのだと思う。それまでは俺は商品として傷つけられる事はないなずだ。
とりあえず今の俺の状況をおさらいすると、何かからの闇オークションの出品物らしいことはわかった。
しかし問題は何のオークションなのかだ!
人身売買?奴隷とか?それとも性奴隷……。
いや、俺ってば前世の嫌らしい本の記憶しか出てこない!!
でも実際に俺が今舐めさせられてるのは、媚薬の入った飴だったはずだ……。
本当に性奴隷の線はありえるから困る。
でも今のところ体が少し敏感になったぐらいで、余り効果は出てないと思う!ルーディアと特訓した甲斐があったな……まぁ、特訓じゃないけど。
ルーディアとのアレコレを思い出しそうになって、俺は顔が赤くなりそうになり首を振る。
一回深呼吸して落ち着いた俺は、とにかく魔力を感じるために集中した。
誓約している誰かと通信できてくれ!!
俺に今できることは、それぐらいしかなかった。
『ザ…ザザ、い、イル!!聞こえるか??』
少しノイズが聞こえたけど、間違いなくダンの声が俺の耳に聞こえてきたのだ。
『だ、ダン??聞こえてる!聞こえてるよ!』
『イル!!無事なのか……?』
『今は、体をぐるぐる巻きにされているだけだから無事と言えば無事だけど……なんか、この後オークションに出されるらしいよ?』
『オークション!!?』
まあ、驚くよね……普通王様をオークションに出そうとするアホはいないよな……?
いやいや、オークションに出される王も普通はいないから!!
なんて自己ツッコミを入れてしまう。
ダンと通信が取れただけでこれだけ余裕が出来たということだろう。
『今いる場所はわかるか?』
『俺は薄暗い部屋に閉じ込められてるから、室内ってことぐらいしか……あ、でもこの部屋窓がないから地下にあるのか?』
『成る程なぁ。そこは森の中にあるみたいなんだが、もしかすると建物全部地下にあるって可能性もあるのか……』
なにそれ、凄い金持ちが作った建物なの?
それとも盗賊のアジト的な……。
『よし、今の情報であらかたの目星はついたぜ。それにわかりやすくさっきから人の気配が増えて来てるしな』
『オークションの人が集まって来てるってことなのか?』
『そう見たいだぜ……まあ、こんな森の中に地下施設、それもオークション会場があるなんて普通思わないよなぁ~』
確かにここが森の中だとは、俺も思っていなかった。町のどこかにある家の地下だと思っていた。
それと、気になった事が一つある。
『集まってる人に貴族はいるか?』
『俺が見た感じでは3割貴族、5割商人、後はわからんって感じだな』
『上手く制圧できればその貴族も摘発できそうだから、乗り込んでくるのは俺がオークションに出されてからにしてくれ』
『は?なにいってやがる!俺はすぐにでもイルを連れ出す!!』
ダンの怒りも、もっともだ。
でも俺はチャンスがあるなら、クソな貴族を粛正していきたいのだ。
俺が囮になってでも今回のはやる必要がある。
だって、このオークションで人身売買的な事が行われている可能性が高いのだから。
『ダン、俺のことを心配してくれてるのは嬉しい。だけど俺はこの国の王になったんだから、役に立てるなら自分から囮ぐらいになってやる』
『それでイルになにかあったら……』
『何言ってるんだ、俺には心強い仲間がいるんだ。だからお前らを俺は信じてるから、安心して囮にもなれるんだ』
ちょっと俺いい感じのこといったけど、ダンと通信繋がるまでは本当に助けに来てくれるか疑心暗鬼だったけどな!
でも信じてはいたから、間違ってはないはず……。
『イル、わかったぜ。お前が頑張るって言うなら俺はその意思を尊重する。ただし、もしお前との通信が取れなくなった瞬間に俺達はすぐにでもそこに突入するからな』
『俺達?ダンの他に誰か来ているのか?』
『ウルと、デオルが一緒にいるぜ。たまたま里帰り予定だったらしい』
なんて物騒な二人を連れて来てるんだ!?
正直な話、この規模の制圧ならダンと捕縛する為の騎士が何人かいれば済む話なのに、こんなのが3人も集まったら町ごと吹き飛ぶ可能性がある。
『えーっと、地形は壊さないようにとしっかり伝えておいてくれ……』
『わかった、そこは任せろ』
ダンと丁度話終えた頃、部屋の外では複数の足音が聞こえて来ていた。
もしかすると、オークションの準備のためにそろそろ商品を、移動させているのかもしれない。
と言う事は、この部屋に人がくるのも時間の問題だろう。
『そろそろ準備に入るみたいだから、いったん通信を切る』
『イル!』
『どうした、ダン?』
『お前は俺が救ってみせるから、大人しくお姫様しててくれよ?』
『誰がお姫様だ!!』
『はは、でもそんな可愛いお前のことを愛しているんだぜ、イル』
そんな恥ずかしいことをいって、ダンは通信を切っていった。
不意打ちに言われたせいで、俺は恥ずかしくて顔が赤くなってしまったのだ!
でもそのおかげで俺を移動させて来た奴らは、俺にちゃんと媚薬が効いていると思ってくれたようだ。
その事を忘れかけていた俺は、媚薬が仕込まれたフリしなきゃ!
っと、よくわからないやる気を見せたのだった。
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あと4話あります!
新作が現在上がってます!ウル×デオです!!
よかったら気になる方は是非読んでみてください!
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