やめて抱っこしないで!過保護なメンズに囲まれる!?〜異世界転生した俺は死にそうな最弱プリンスだけど最強冒険者〜

ゆきぶた

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おまけ ()内は相手キャラ 主にギャグとイチャイチャ

短編 拐われた話2 (ダン視点)

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新作記念の短編2話目です!
ダン視点です!ここでウルとデオルの関係が少し分かるかも!

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イルが拐われたことに気がついたのは、その日の夜だった。
会議室で、シルが慌ててさっきから叫んでいる。

「ダン、これは緊急事態です!」
「わかってる。俺もあいつの気配を探ってるけど魔法阻害のせいか上手くさぐれねぇ……」

なんでこんなときに限って遠征に付き合えなかったのかと、無理にでもついて行くのだったと後悔していた。

「今回はとても安全な遠征だと言われていたのにどうして……こんなときに限ってイルは誰も連れて行かなかったようですし、運が悪いとしか言えませんね……」
「今は過ぎた事を考えても仕方がねぇ、とりあえずあいつはまだか?」
「正直言ってイルがここにいない以上、スライムとして見ているとはおもえませんが……」

俺が言うあいつとは、もちろんライムのことだ。
ライムは一応神だから、俺よりもイルの場所がわかるかもしれないのだ。
しかし、いつもイルの近くのスライムを通して見ていたりするのだけど、イルが王都にいないためもしかしたら神殿に引きこもっている可能性がある。

「イルが何の目的で拐われたのか分からない以上、急いだ方がいいって言うのによ……」

そうため息をついた瞬間、扉が勢いよく開いた。

「お待たせしました!!見つけましたよ!」

小走りでこちらに駆け寄ってきたのはルーディアだ。その手には紫色のスライムを持っていた。

「本当ですか!」
「よく見つけられたな?」
「いえ、それが……」

言葉を濁したルーディアは、その紫色のスライムを見てすぐに視線を逸らす。
そしてよく見ると、スライムのツルッとしているところに、ライムの顔が見えた。

「私がイルレイン様の危機に気が付かないとでもお思いですか?あなた達みたいな無能とは違うのですよ!何故なら私は神ですから!!」

言い切ったライムを見て、こいつ神になってから態度が明らかにでかくなったなと、苦笑いしてしまう。

「それで、ライムはイルの居場所がわかるのか?」
「薄っすらですけどね……イルレイン様が遠征している町の地図はありますか?」
「それでしたらここに!」

シルがライムに見えるように地図を広げる。
ライムはその地図をじっくり見つめると、赤い点を光で指し示した。

「多分ですがここだと思います。大体なのでここのどこに居るかまではわかりません……」
「こんなところだって?」

その光の点の場所は、町から少し外れた森の中だった。
そのため、捜索範囲は森全体になるだろう。

「その森自体に認識阻害がかけられているため、森の中に入らないとなんとも……しかし、私はスライムを通しても王都から出ることはできません」
「なら、そっからは俺がどうにかするぜ」
「あなたに良いところをとられるのは癪ですが……どうかイルレイン様をお願いします。もし助け出せなかったらこの国を滅しますからね?」
「笑顔で恐ろしい事言うなよ……」

全く物騒なやつしかいないな。

「それで?俺は今から転移するけど、誰を連れて行けばいいんだ?」
「なら、俺達も連れてってよ~!!」
「は?」

いきなり今までいなかった人間の声がして、驚いて変な声を出してしまった。
そこには転移をしてきたウルと、何故かウルに抱えられているデオルの姿があった。

「おい、ウル!いきなりはよくないとあれ程……それから、転移に巻き込むために俺を勝手に持ち上げるのもやめてくれ」
「え~、里帰りしたいっていったのはデオじゃん?」
「俺は別に……」
「でもそのおかげでタイミングバッチリだったみたいだし、やっぱり俺ってもってるよね~?」
「今はそんなことより、ダン!先程そこでイルが攫われたと聞いたんだが!」

ウルから離れたデオルは俺のもとに駆け寄ってきた。その顔は本当に心配しているのだろう、早く詳細を教えろと訴えてきていた。

「今、イルが捕まっている位置はわかったところだ」
「ならば、俺も救いに行く!2人ほど強くはないが役に立つはずだ」

俺とウルが強すぎるだけで、デオルは弱いわけじゃない。というかこの3人でいったら地形変わったりしないだろうかと心配になる。

「役立つどころじゃねぇけどな、じゃあ俺達3人は行ってくる。ここのことは任せたぜ!」
「はい、お任せ下さい。どうかイルをお願いします」
「ダンなら安心です。使い所があるかわかりませんが、これをお持ちください!」

ルーディアが、謎の包みを俺に渡してくる。

「これは?」
「睡眠薬です、燃やして使ってください。匂いを嗅いだ人間はすぐに眠ってしまいますから」
「人が大勢いるところなら使えそうだぜ、ありがとな!」

俺とルーディアは互いに頷くと距離をとった。
そして、俺はウルとデオルがいる場所に近づいた。

「俺はデオを転移させるから、ダンは一人で転移してよね~」
「俺だけ転移できなくてすまない……」
「それが普通だ、気にしねぇほうがいいぜ」

そういってウルを見ると、楽しそうにデオを抱えていた。
まあどっちが転移させても変わらないしな。
それにあの感じだと俺が親切心でデオルをとったら、なんか面倒なことになる気がする……あの二人はそっとしておこう。

そう思い、俺はイルが捕らわれている町に転移したのだった。












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あと5話あります!


今回でていた、ウルとデオル二人の新作が現在上がってます!ウル×デオです!!
書いてたらどんどんエロになってしまいましたが、よかったら気になる方は是非読んでみてください!
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