100 / 110
おまけ ()内は相手キャラ 主にギャグとイチャイチャ
短編 拐われた話2 (ダン視点)
しおりを挟む新作記念の短編2話目です!
ダン視点です!ここでウルとデオルの関係が少し分かるかも!
─────────────────────
イルが拐われたことに気がついたのは、その日の夜だった。
会議室で、シルが慌ててさっきから叫んでいる。
「ダン、これは緊急事態です!」
「わかってる。俺もあいつの気配を探ってるけど魔法阻害のせいか上手くさぐれねぇ……」
なんでこんなときに限って遠征に付き合えなかったのかと、無理にでもついて行くのだったと後悔していた。
「今回はとても安全な遠征だと言われていたのにどうして……こんなときに限ってイルは誰も連れて行かなかったようですし、運が悪いとしか言えませんね……」
「今は過ぎた事を考えても仕方がねぇ、とりあえずあいつはまだか?」
「正直言ってイルがここにいない以上、スライムとして見ているとはおもえませんが……」
俺が言うあいつとは、もちろんライムのことだ。
ライムは一応神だから、俺よりもイルの場所がわかるかもしれないのだ。
しかし、いつもイルの近くのスライムを通して見ていたりするのだけど、イルが王都にいないためもしかしたら神殿に引きこもっている可能性がある。
「イルが何の目的で拐われたのか分からない以上、急いだ方がいいって言うのによ……」
そうため息をついた瞬間、扉が勢いよく開いた。
「お待たせしました!!見つけましたよ!」
小走りでこちらに駆け寄ってきたのはルーディアだ。その手には紫色のスライムを持っていた。
「本当ですか!」
「よく見つけられたな?」
「いえ、それが……」
言葉を濁したルーディアは、その紫色のスライムを見てすぐに視線を逸らす。
そしてよく見ると、スライムのツルッとしているところに、ライムの顔が見えた。
「私がイルレイン様の危機に気が付かないとでもお思いですか?あなた達みたいな無能とは違うのですよ!何故なら私は神ですから!!」
言い切ったライムを見て、こいつ神になってから態度が明らかにでかくなったなと、苦笑いしてしまう。
「それで、ライムはイルの居場所がわかるのか?」
「薄っすらですけどね……イルレイン様が遠征している町の地図はありますか?」
「それでしたらここに!」
シルがライムに見えるように地図を広げる。
ライムはその地図をじっくり見つめると、赤い点を光で指し示した。
「多分ですがここだと思います。大体なのでここのどこに居るかまではわかりません……」
「こんなところだって?」
その光の点の場所は、町から少し外れた森の中だった。
そのため、捜索範囲は森全体になるだろう。
「その森自体に認識阻害がかけられているため、森の中に入らないとなんとも……しかし、私はスライムを通しても王都から出ることはできません」
「なら、そっからは俺がどうにかするぜ」
「あなたに良いところをとられるのは癪ですが……どうかイルレイン様をお願いします。もし助け出せなかったらこの国を滅しますからね?」
「笑顔で恐ろしい事言うなよ……」
全く物騒なやつしかいないな。
「それで?俺は今から転移するけど、誰を連れて行けばいいんだ?」
「なら、俺達も連れてってよ~!!」
「は?」
いきなり今までいなかった人間の声がして、驚いて変な声を出してしまった。
そこには転移をしてきたウルと、何故かウルに抱えられているデオルの姿があった。
「おい、ウル!いきなりはよくないとあれ程……それから、転移に巻き込むために俺を勝手に持ち上げるのもやめてくれ」
「え~、里帰りしたいっていったのはデオじゃん?」
「俺は別に……」
「でもそのおかげでタイミングバッチリだったみたいだし、やっぱり俺ってもってるよね~?」
「今はそんなことより、ダン!先程そこでイルが攫われたと聞いたんだが!」
ウルから離れたデオルは俺のもとに駆け寄ってきた。その顔は本当に心配しているのだろう、早く詳細を教えろと訴えてきていた。
「今、イルが捕まっている位置はわかったところだ」
「ならば、俺も救いに行く!2人ほど強くはないが役に立つはずだ」
俺とウルが強すぎるだけで、デオルは弱いわけじゃない。というかこの3人でいったら地形変わったりしないだろうかと心配になる。
「役立つどころじゃねぇけどな、じゃあ俺達3人は行ってくる。ここのことは任せたぜ!」
「はい、お任せ下さい。どうかイルをお願いします」
「ダンなら安心です。使い所があるかわかりませんが、これをお持ちください!」
ルーディアが、謎の包みを俺に渡してくる。
「これは?」
「睡眠薬です、燃やして使ってください。匂いを嗅いだ人間はすぐに眠ってしまいますから」
「人が大勢いるところなら使えそうだぜ、ありがとな!」
俺とルーディアは互いに頷くと距離をとった。
そして、俺はウルとデオルがいる場所に近づいた。
「俺はデオを転移させるから、ダンは一人で転移してよね~」
「俺だけ転移できなくてすまない……」
「それが普通だ、気にしねぇほうがいいぜ」
そういってウルを見ると、楽しそうにデオを抱えていた。
まあどっちが転移させても変わらないしな。
それにあの感じだと俺が親切心でデオルをとったら、なんか面倒なことになる気がする……あの二人はそっとしておこう。
そう思い、俺はイルが捕らわれている町に転移したのだった。
────────────────────
あと5話あります!
今回でていた、ウルとデオル二人の新作が現在上がってます!ウル×デオです!!
書いてたらどんどんエロになってしまいましたが、よかったら気になる方は是非読んでみてください!
1
お気に入りに追加
2,134
あなたにおすすめの小説


あと一度だけでもいいから君に会いたい
藤雪たすく
BL
異世界に転生し、冒険者ギルドの雑用係として働き始めてかれこれ10年ほど経つけれど……この世界のご飯は素材を生かしすぎている。
いまだ食事に馴染めず米が恋しすぎてしまった為、とある冒険者さんの事が気になって仕方がなくなってしまった。
もう一度あの人に会いたい。あと一度でもあの人と会いたい。
※他サイト投稿済み作品を改題、修正したものになります

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

【完結】僕の異世界転生先は卵で生まれて捨てられた竜でした
エウラ
BL
どうしてこうなったのか。
僕は今、卵の中。ここに生まれる前の記憶がある。
なんとなく異世界転生したんだと思うけど、捨てられたっぽい?
孵る前に死んじゃうよ!と思ったら誰かに助けられたみたい。
僕、頑張って大きくなって恩返しするからね!
天然記念物的な竜に転生した僕が、助けて育ててくれたエルフなお兄さんと旅をしながらのんびり過ごす話になる予定。
突発的に書き出したので先は分かりませんが短い予定です。
不定期投稿です。
本編完結で、番外編を更新予定です。不定期です。

新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる