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おまけ ()内は相手キャラ 主にギャグとイチャイチャ
魔術が使えなくなった話 (ダン)
しおりを挟むダンとイルがほぼキスしてるだけの話
─────────────────────
国王になってから、俺は冒険者を休業していた。
それは、国王になって忙しかったから……それもあるが、本当の理由は別にあった。
「ダン!魔法の使い方を教えてくれ!!!」
それは、俺にとってとても深刻な願いだった。
実は竜人に進化した結果、魔術が全く使えなくなってしまったのだ。
あれは魔素を使って行うものだったが、今の俺は魔素をすぐに魔力へと変換してしまうため、前まで使えていた物が何一つできなくなってしまったのだ。
そうしたら、今まで亜空間ボックスに物を入れまくっていたのに、それが全て取り出せなくなると言う大惨事が起きてしまった。
あそこには俺の大事な物が結構入ってるし、あれがないと着替えとかもできないんだよなぁ……。
いや、服ならいくらでもあるだろとか思われそうだが、なんか国王の服はヒラヒラしたのしか無くて嫌だったのだ!
そんな必死な俺を見て、ベットに座っているダンが一言で言い切った。
「いや、俺も使えないけど?」
「はぁ!!?そんなわけあるか!だって前使ってただろ!」
「あぁ。あれは、ブルーの力だから俺のじゃねぇぞ」
「何それチート!!?」
喚き散らす俺を見て、ニヤリと笑ったダンに何か嫌な予感を感じとった俺は、数歩後ろに下がっていた。
「なんで後ろに下がるんだ?」
「い、いやなんだか嫌な予感がして……」
「おいおい、まだ俺は何もしてねぇぜ?」
「まだ!ってなんだよ!ダンも使えないなら俺はもう行くからな!!」
そう言って部屋を去ろうとした俺の腕を、ダンが引っ張った。
「うおぁっ!!」
ボスン!
焦って声を上げた俺は気がつけば、ベットの上に押し上げられていた。
「よいせっと」
そして見上げるとそこにはダンの顔があったのだ。
「なななな!!なにするんだ!!!」
「イルが逃げるから悪い……」
そういうと、ダンは俺に軽くキスを落とした。
「~~~~~~!!!」
「それと魔法は使えないけど、使い方を知らないとは言ってねぇだろ?」
「だとしても!!キスは必要ないだろ!!?」
「必要だな。俺への労働報酬的なもんさ」
そう言われたら、教えて貰うんだしそれぐらいで済んでよかったのか?なんて思ってしまった。
「それで、どうやったら使えるんだ?」
「魔法とは体に流れる魔力をイメージする事で、指先に魔力を集める事ができるようになる。その指先で魔方陣を刻んだり、手から魔法を放ったりするのが基本的な魔法なのは知っているな?」
「子供の頃習った気がする……」
実習しようとして倒れたから、正直トラウマではある。
「だから、まずはその基本ができるようにならねぇとな。じゃあ俺が魔力を流すから魔力の流れをイメージ出来る様になるんだぞ」
「わかった」
そう言ってダンは何故か俺に再びキスをした。
それも舌をいれてくるやつの……。
「んぅ……」
「ほら、しっかり俺の舌から流れる魔力を受け取れ」
しかもこの男、舌から舌へと魔力を流してくるから俺はそれをしっかり捉えるために、自分からダンの舌に何度も絡み付いていた。
「よし、だいぶ上手くなってきたから次は手に魔力を集めてみろ」
「ちょ、ダンまっんん~~~!!」
もうキスをしなくても良いはずなのに、ダンはまた俺の唇を奪うと、俺の腕を掴んで持ち上げた。
そっちの手に魔力を集中させろと言う事なだろう。
その手に集中したいのに、ダンに舌を絡め取られている俺は気が散って中々上手く出来ない。
「ほらイル、手に魔力が集まってるのがわかるか?」
「わふぅんっ……!」
わかると言おうとしたのに、相変わらずダンは俺から唇を離そうとしてくれない。
もう恥ずかしくて、気持ちよくてどうにかなりそうな俺は、キレた。
もう無理!!ダンのアホは水でも被ってしまえ!!!
と思った瞬間、俺の手から何かが飛び出しビチャっと音がした。
「うっわ、水かかったぞ……一体なんなんだ?」
それはどうやらダンに当たったようで……。
「……もしかして今のは水魔法!?」
「あー、確かにそうかもしれねぇな。でも何で水の魔法……」
俺が水でも被れと思ったからなんて言えない……。
それにしても、ダンは白いシャツしか着ていなかったので、水に濡れて透け透けで俺は目のやり場に困ってしまう。
「ふーん。イルはエッチだなぁ。俺のこの姿見て興奮してんのか?」
「そんなわけあるか!!」
「ああそうか!、わざとだったか~」
「ち、ちが!!!」
そう思ったときには俺はダンに襲われていた。
本当にわざとじゃなかったのに!!
ダンの馬鹿やろー!!!!
まあその後は大変だったけど今はそれはおいとく。
とりあえず俺は、魔法が使えるようになったのだと、次の日からウキウキで魔法の練習をするようになった。
しかし、何度練習してもあの時みたいに上手くなにかを出す事ができない。
何でだ!?と憤った俺は、またダンの元へと向かってしまったのだった。
「ダン!!魔法が出ない!!!」
「今度はなんだぁ?って魔法は昨日出来るようになっただろ?」
今日も、相変わらずベットに座っているダンに俺は懲りずに聞いていた。
「でも昨日ダンに言われた通りに練習したけど、できなくて……」
「はーん、そうか……」
そういうと、またニヤリと笑ったダンに嫌な予感がした俺は、今度は逃げないように前に出た。
「お、今日は逃げなかったなー」
「昨日みたいに押し倒されたりしないためにな!」
「残念、今日は前から抱きしめてやるぜ!」
「うわっ!!!」
突然抱きしめられた俺は、体勢を崩しダンの上に座ってしまう。
「なんかデジャヴ!!!」
「ほれ、魔法出してみろ」
「そんなこと言われても……」
「うーん。そうだなぁ、前と同じ環境のが良かったりするよな」
前の環境?
そう思っている間に、俺は気がつけばダンに唇を奪われていた。
「んんんんん~~!!!」
文句を言おうとしたのに俺の舌はまた絡め取られていた。
頭を押さえられているせいで動かすこともできない俺は、早く終わらせるために魔法を発動した。
とにかく簡単なの!部屋が明るくなれ!!
そう思った瞬間、部屋がカッと明るくなった。
魔法ができたからなのか、ダンはすぐに俺を離してくれた。
「出来るじゃねぇか。じゃあ、次はそのまま魔法使ってみな」
「おう!俺はやればできる!!」
俺は手に魔力を集中させて、部屋が明るくなるように念じた。
「……………………」
おかしい。
何故か手は全く光らない。
「おかしーなぁ。じゃあもう一度……」
そしてまたダンは俺にキスをする。
同じように俺は念じると、今度は明るくなった。
「……なんで、そんなまさか!まだ諦めないぞ、もう一回だもう一回!!」
こうして俺は何度もダンとキスして光を灯し、ダンとキスをしないと何も起こらないを繰り返してしまった。
そしてわかったことはただ一つ。
「ダンとキスしてないと魔法が使えない……!?」
そのことだけだった。
それから俺は魔法を使う事を控えた。
そのため俺は最弱の名を捨て去る事ができなくなってしまった。
そして現在、亜空間ボックスを使うときだけは、ダンとキスをするようになったのは仕方がないことなのだ。
でも俺は諦めない!
見てろよダン!密かに魔法の訓練をして、今にも目にもの見せてやるんだからな!!
そう思いダンの元へと突撃しては、またもや滅茶苦茶にされている俺が今日もいたのだった。
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おまけは全てこんな感じのギャグイチャメインです。
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