やめて!お仕置きしないで!本命の身代わりなのに嫉妬するの?〜国から逃亡中の王子は変態悪魔に脅される!?〜

ゆきぶた

文字の大きさ
160 / 163
三章までの間話

158、恥ずかしいデート①

しおりを挟む

お久しぶりです。思った以上に遅くなってしまい、すみせん!
デオとウルの短編で後半の話にエロがあります。
三章直前の前日譚的な感じになりますが、結構長くなる+更新に時間がかかりそうなので、時間ある時にまとめて読んで頂けたら幸いです!

ー  ー  ー  ー  ー















イルの誕生祭はもう明日まで迫っていた。

それなのに俺の記憶については、まだ何も解決していない。
何故なら俺を心配するウルが常に側にいたせいで、少しでも怪しく見える行動をとる訳にはいかなかったのだ。

そんな訳で今日の俺も、当たり前のようにウルと一緒にいた。


一緒にいるのはいいのだが……何故俺はまた、例のアイテム屋にいるのだろうか?
俺の右隣にはウルが、その向かいにはサースがいる。そしてこの部屋は、間違いなくこの間俺ので汚してしまった場所だった。
ここに連れてこられただけでもかなり動揺したというのに、更に俺は数日ぶりに見たサースの姿に驚き過ぎて固まってしまったのだ。

二人が主従契約をした事は知っている。しかし今のサースは子供のように小さくなっており、青い髪色と緑色の瞳以外は全くの別人にしか見えなかった。
何をどうしたら突然そんな姿になるんだ……?
少し気にはなるが、俺の無駄話で2人の邪魔をする訳にはいかない。
しかしそう思ってしまうのは、ただ俺がウルに話しかけたくないからなのかもしれない。

だって俺は今、ウルに対して怒っていたのだ。

勿論、それには理由がある。
ウルはお城を出るとき、確か俺に「今日はデートに行こう」とウィンクをしながら言ったのだ。
だから俺も少し浮かれ気分で出かけたというのに、まさかこんなふうに放置されるとは思わなかった訳で……楽しみにしてた俺の気持ちを少しでも返してほしい。

「ねぇ、デオ」

そして記憶を無くす前の事はわからないが、今の俺にはこれが初めてのデートだったのだ。
だからこそ服装にも気合を入れてきたつもりだったが……まさかそれが似合ってなかったのだろうか?

「……デオ?」

今日の俺は少しダボっとした服を着ている。
少しサイズが大きいせいか袖が長い為、手は殆ど見えていない。
それが気になった俺は、服を持ってきたダンに長すぎではないかと聞いてみたのだが、これが今の流行りだからと押し切られてしまったのだ。
しかしどう見ても、この格好は20代半ばの俺には可愛いすぎるような……?

とりあえずウルから見て変じゃなければいいと渋々着てきたというのに、当のウルは俺の服について何も言ってくれなかったのだ。
そんな事を考えながら不貞腐れていたせいで俺は、先程からずっとウルに名前を呼ばれている事に全く気付いていなかった。

「デオ、デ~オ……!ぼーっとして、どうしたのかな?」
「…………へ?」

気がつけば目の前にウルの整った顔があった。
驚いた俺は、声が裏返ってしまう。

「う、ウル!?」
「くくくっ……俺のカッコいい顔に驚かなくてもいいのに~」
「ち、違う。二人の話を聞かないように少し考え事をしていただけだ……」

うぅっ……何故だ。ウルに声をかけられただけなのに凄く嬉しく思うなんて。
そんな事で簡単に怒りが収まってしまった事が恥ずかしくて、俺はつい顔を逸らしてしまう。

「考え事をするぐらいなら、真面目でかっこいい俺の姿を見ていて欲しかったんだけどね~。それに今の話、デオになら聞かれてもよかったんだけど?」
「何を言ってるんだ。無関係な俺が聞いていい話ではない筈だ」

断固として拒否する俺の姿に、ウルと顔を見合わせたサースは微笑みながら俺に言ったのだ。

「今話をしていた事は、デオルライド様にも聞いて欲しいと思っていたので大丈夫ですよ」
「ほら、サースもこう言ってるからさ~」
「だが……」

いや、これはもしかすると俺がいるせいで話が進まないから、遠回しに席を外して欲しいという事ではないか……?
そう思った俺は空気を読んで立ち上がろうとしたのだが、それよりも早くウルがとんでもない事を言い出したのだ。

「だって今俺達が話をしてるのは、新しくこの店の名前を『デオルライド』にしようかって、そういう話だからね?」
「で、デオルライド……?」

───って、俺の名前!?

「何度聞いても、素晴らしい名前ですね」
「サースもそう思うだろう?そんな訳で、二人の意見が一致したからさ、あとはデオに名前の使用許可を貰いたくてね~」
「ま、待ってくれ!本当に俺の名前なのか?」
「そうだよ。ほら、よくオーナーの愛する人の名前を店の名前にしたりとかさ。俺、そういうのに憧れてるんだよね~」
「あ、愛する人!?いや、でも俺は一度国から追われた身だ……そんな人物の名前を店名にするのはよくないと思わないのか?」

……ウルの大事な店に、罪人である俺の名前なんて相応しい訳がない。
そう思ってウルを睨みつけていると、正面で俺達のやりとりを見ていたサースが優しく俺を諭すように言ったのだ。

「いいえ、デオルライド様が気にされる事は何もありません。この町ではデオルライド様の評判は良いのですよ?なにせ、迫り来るドラゴンを追い払った英雄として、とても有名なのですから」
「英雄だって!?だがそれは、俺ではなくウルの事だ……」
「確かにもう一人、黒髪の男がいたと言われておりますが、その人物は名乗ることはありませんでしたからね。どちらかと言えば、民に顔を知られているデオルライド様の噂が広まったのでしょう」

確かに俺はあの時、竜と戦いはしたが攻撃を防ぐのが精一杯で数体しか倒せていない。
それなのに英雄などと大層な名で呼ばれているなんて、俺は恥ずかしくて仕方がなかった。

「デオは知らないかもしれないけど、デオの指名手配を早めに解除できたのは多くの人々が嘆願書を国に出したからなんだよ」
「っ!?……そう、だったのか。それなのに俺は町の人達へ感謝もせず、今までのうのうと過ごしていたわけか。俺はなんて恥知らずなんだ……」
「ううん、そんな事ないんじゃないかな~。町の人が感謝してたのは竜の事だけじゃないと思うよ。だってデオは昔からずっと、この町の人達を助けていたんだろ?だからこれは、今までのお返しだって皆思っている筈だよ」
「本当に、そうだろうか……?」
「そんなの町の人に聞けばすぐにわかる事だよ……だから、デオが英雄って話が嘘じゃないって信じてくれる?」

……俺は、そんなふうに思われていい存在ではないとわかっている。しかしここで俺が信じなくては、俺を助けてくれた多くの人々の思いを踏み躙る事になるだろう。
それならばと、俺はウルを見てコクリと頷いた。

「わかってくれたなら、よかった~。それにさ、町の人達に好かれている英雄の名前から付けたアクセサリー屋は、絶対に流行ると思うんだ。しかも、本人がこの店の常連だって言えば宣伝効果にもなるしね~」
「そうか……俺の名が少しでもウルの助けになるのなら、いくら使ってくれても構わない」

その返事に二人は凄く嬉しそうに顔を見合わせていた。
そしてサースはすぐ俺に向けて頭を下げたのだ。

「デオルライド様、ありがとうございます!」
「ありがとう、デオ。店の名を愛する人の名前にできるなんて、俺は幸せ者だよ~」
「そんな事でウルが幸せになれるなら、俺の名前なんていくらでも使うといい」

堂々と言ったのはいいが、よく考えたら『ウルの愛する人』として俺の名が刻まれるのは恥ずかしい気がして、俺は少しずつ赤くなる顔を隠そうと俯いてしまった。
ウルはそんな俺の頭を撫でながら、今は話しかけて欲しくない俺の気持ちを読みとってくれたのか、サースと話しはじめたのだ。

「そういえばさ、今の名前って何なんだっけ?」
「『サースアクセサリー工房』ですよ。シンプルなのが一番、というのは嘘で本当は名前をつけるのが面倒だっただけです」
「面倒って……でも、それに比べたら今の方が断然良くなったね。看板には大きく『デオルライド』とつけて、その上に小さくアクセサリーショップ&付与工房とつけるのはどうかな?」
「とてもいいですね。それでは、看板については私が発注しておきます。とりあえず今日決めるところはこのぐらいにしておきましょう。実はもうすぐお客様との予約の時間がありまして……。私はこの部屋を離れますが、マスターは部屋をお好きに使って頂いてかまいません。出るときも私への挨拶は結構ですので……どうぞ好きなだけここでお過ごしくださいね」

そう言ってサースは部屋を後にした。
それにしても、あの少年の姿で今まで通り接客をしている事に驚いてしまう。
周りのスタッフは何も言わなかったのだろうか……気になるけど俺が聞くのも変だろう。
そう思いながらぼーっと扉を見つめていると、突然ウルにグイッと引き寄せられたのがわかった。

「ちょっ、ウル!?」

気がつくと俺はウルの膝の上に乗っていた。
見下ろしたウルはとても嬉しそうにニコリと笑い、俺の耳元に唇を寄せると何故か小声で言ったのだ。

「───デオ、ようやく二人きりになれたね」

そのくすぐったい声にここでした事を鮮明に思い出してしまった俺は、顔だけでなく身体中が熱くなっていくのがわかったのだ。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

処理中です...