やめて!お仕置きしないで!本命の身代わりなのに嫉妬するの?〜国から逃亡中の王子は変態悪魔に脅される!?〜

ゆきぶた

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二章

138、買い物に付き添って(ウル視点)

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デオの買い物について行く話を今回は先にウル視点で2話続きます。

ー  ー  ー  ー  ー



















俺はどうやらデオを怒らせてしまったようだ。
確かにデオはイルの事になると頭に血が上りやすい。
だから絶対に怒る事はわかっていたのに、どうしてもあの時の俺はイルの前でセックスをしたかったのだ。

そんな訳で実のところ俺は余り反省をしていない。
寧ろこれは、今後実際に見せ合いをする時の予行練習だと俺は本気で考えていたのだ。
だっていきなり本番だと、デオの精神がもたない可能性があるからね。
それに予行練習をしてわかった事がある。
やっぱりデオは気持ちいい事にとても弱いので、これなら次が本番でも大丈夫だろうと俺は確信したのだ。

そして俺はその本番に向けて近々イルに、デオと付き合っている事を言うつもりだった。
その結果どれ程イルに文句を言われて引き離されそうになったとしても、俺達はもう引き離せないほど愛し合っている事を知ってもらい、認めて欲しかったのだ。
しかも俺は、できればそれを誕生会の後に言たいと思っていた。

だけどそれをイルへと話す前に、俺はデオが目覚めてから少し様子がおかしい事について、先に確認をしたいと思っていたのだ。
だってデオの本心がわからないままイルに話をして、デオに関係を拒否されたら意味がない。
だからこそ不安の種を先に摘み取る為、俺はデオと話し合いをしなくてはならなかった。
しかしその為には、まず俺がデオと仲直りをする必要があったのだ。

そしてそんな俺は今日、デオと一緒に買い物に行く事になっていた。
つまり、俺に仲直りをするチャンスがやって来たのだった。


そんな訳で俺は今、デオと城下町に来ていた。
実はお城を出るときにイルにバレそうになったりして大変だったのだけど、俺としては中々スリリングな体験が出来たのでよかったと思う。
それにこんなタイミングじゃないと、お城のあんな通路使えないからね……。
そう思いながら歩いてると、いつのまにかデオが俺の服をつかんで怒っていた。

「……ウル、ウル!ちゃんと俺の話を聞いているのか?」
「あー、ごめんごめん。さっきからずっと、デオの姿に見惚れてて聞いていなかったよ」
「また、そうやって誤魔化して……」
「いやいや、見惚れてたのは本当だって~」

確かに俺は考え事をしていたけど、デオに見惚れていたのも事実だった。
だって俺の隣を歩くデオは、いつもと違ってお忍び用の服を着ていたのだ。
何故お忍びなのかといえば、デオが昔から城下町によく来ていたので町の人に顔がバレているからだ。その為、今のデオは明るい金髪が見えないようにキャスケットを被り、綺麗な青い瞳も丸眼鏡で隠していた。

一見その姿は下町にいる気弱な兄ちゃんって感じなのに不思議と似合っているし、いつもの明るい雰囲気とのギャップがあって俺にはとても可愛く見えてしまった。
その為、デオが着替えてすぐの時なんか襲いたくなる衝動を抑えるのが凄く大変だったのだ。
そして俺は今、そんな可愛いデオの話を今度こそ聞く為に少し体を寄せて言ったのだ。

「それでデオは、なんて言ったのかな?」
「いや待ってくれ、なんか近くないか……?」
「そうかな?俺からしたらまだ少し離れてると思うけど……」
「わ、わかったからそれ以上近づくな。それにもう一回だけ言うけから今度はしっかり聞けよ……」

そう言うデオの顔は少し赤くなっていた。
それを見て嬉しくなってしまった俺は、デオの瞳を見つめてさらに顔を近づけたのだ。

「うん。ちゃんと聞くからもう一回教えて?」
「……もう、近いって言ってるだろ!それに恥ずかしいから、見つめるのはやめてくれ……」

どうやら見つめ過ぎたのか視線に耐えられなくなったデオは、顔を真っ赤にして俯いてしまったのだ。
だけどその姿は今の格好と相まって、あまりにも可愛かった。
だから俺はつい肩を抱きそうになってしまった手を引っ込めると、今のデオを見ないようにしてもう一度聞いたのだ。

「ほら、もう見てないから話してくれる?」
「あ、ああ……。それならさっきの話だけど、俺は今から南商店街へ向かうけどいいか?と、ウルに聞いたんだ」
「あー、南商店街ならいいんじゃないかな。あそこは質の良い高級品を扱ってるお店が揃ってるからねぇ~」

デオが言う南商店街は名前の通り王都の南側にあるお店通りの事で、そこの近くには貴族の居住地もそれなりにある場所だった。
その為、俺からしたら商店街というよりは高級店が並んでるイメージなんだけど、何故か名前だけは南商店街という不思議な場所なのだ。
でもそこでデオがプレゼントを選ぶというのなら、俺もデオの好感度を上げるために、イルへの誕生日プレゼントを一緒に買った方がいいだろう。

「実は俺もイルへの誕生日プレゼント買おうと思うんだけど悩んでてさ。その参考にデオが何を買うか聞いてもいい?」
「一応俺は、アクセサリーを買う予定だ。……実はこのあいだ読んだ手紙の中にあったんだが、イルは竜人の姿になるとツノと尻尾が出るらしくて、その姿に困ってると書いていた。だから俺はそれを抑えられるようなブレスレットを探そうかと思っているんだ」
「成る程、実用的な物だね。それなら俺はイルに指輪でも買おうかな~。なんて……」
「それは、イルにつけて欲しいからか?」

少しムッとしながらこちらを見たデオに、俺は少し驚いた。
俺はただ、イルに状態異常を無効に出来そうな指輪を贈ろうと思っていただけなのに、この反応だと普通の指輪を贈ると思われてる気がするのだ。
これはもしかして俺があげたアクセサリーをイルに身につけてほしくない……という事かな?
つまり、アクセサリーを付けさせる=俺の物みたな発想でデオが嫉妬してる可能性がある!?
そう思った俺は、嬉しくなってしまいデオに近づくと耳元で言ったのだ。

「もしかしてデオは、俺がイルにアクセサリーを贈るのが嫌なのかな?」
「そ、そうじゃない……!って、近いから離れてくれ。それにさっきから普通に話してるけど、俺はまだウルを許したわけじゃないからな」
「それはわかってるよ。でもデオが嫌って言うなら身につけるタイプのアクセサリーをイルへ贈るのはやめておくね」
「別に、俺は嫌なんて……」

そう言いながらも少し嬉しそうなデオはあまりにも可愛くて、今の俺は理性と必死に戦っていた。
だってデオのこんな姿を見てしまったら、俺はもう耐えれそうになかったのだ。
今すぐにでもデオを抱きしめて、その唇に噛み付くようにキスをしたい!だけど今は、我慢しないと仲直りから遠のいてしまう……。
それがわかっている俺は、どうにか理性との戦いに勝利するとデオから一旦離れたのだ。

「……そういえば、デオの望む効果を付与をしてくれそうなアクセサリー屋さんが南商店街にあるよね。もしかしてそこが目的地だったりする?」
「ああ、そうだ。噂で前に聞いた事があって、一度行ってみたかったんだ」
「ふーん、デオはちゃんとリサーチしてて偉いね」
「まあ、弟の誕生日プレゼントだからな。それだけは誰にも負けたくないから……」

そう真剣に話すデオを微笑ましく見ながら、俺は南商店街に流れる嫌な噂を思い出していた。
確か南商店街のアクセサリー屋には、接客が怪しいお店があると聞いた事がある。
デオが今からいく所が、そこのお店じゃなければいいとのだけど───。

そう思っていたのに、俺達が辿り着いた所はいかにも怪しいお店だったのだ。
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